“国立大学の星”が登場! 静岡大学に現れた本格派右腕の実力とは…
2021年のシーズン開幕はまだ先だが、プロアマ野球研究所ではオフの間も有望なドラフト候補について積極的に取り上げていきたい。今回は地方の国立大学に現れた本格派右腕を紹介する。
2020年11月21日 大学野球オータムフレッシュリーグ
静岡大2-11慶応大
井手駿(静岡大) 新4年 投手 182㎝78㎏ 右投右打 高蔵寺
石田雄大(静岡大) 新4年 投手 173㎝74㎏ 右投右打 刈谷
※学年は今年4月からの新学年
◆井手駿、ストレートの最速は148キロ!
国立大学の中で、ここ数年目覚ましい成績を残しているのが静岡大だ。2014年春には静岡学生リーグ、東海地区の代表決定戦を勝ち抜いて全日本大学野球選手権に出場。2019年のドラフトでは奥山皓太が阪神から育成2位で指名され、静岡大から初となるNPB入りを果たしている。
静岡大で今年注目を集めている選手の一人が本格派右腕の井手駿(新4年・高蔵寺)だ。高校時代は全く無名の存在だったが、大学で着実に力をつけてストレートの最速は148キロをマークするまでに成長している。
井手のピッチングを見ることができたのが、昨年11月に行われたオータムフレッシュリーグというイベントだ。このイベントは、東京六大学から慶応大、立教大、明治大が参加し、静岡県内の大学、高校と交流試合を行うというもの。井手は初日の慶応大戦の先発マウンドに上がっている。
結果から先に書くと、2回までは慶応大打線をノーヒット、無失点に抑えたものの、3回以降は制球を乱し、4回途中5失点で降板となった。ただ、ストレートの最速はシーズンオフにもかかわらず、144キロをマークし、素質の片鱗は十分に見せてくれた。
フォームで良かった点は、左足の着地が安定しているところだ。踏み出した左足がぶれることなく、そこから鋭く体を回転させてシャープな腕の振りにも繋がっている。軸足の右膝が折れるのが少し早いのは気になったものの、全体的なフォームのバランスは悪くない。下半身の使い方についてはまずまずのレベルにあると言えそうだ。
一方、気になったのは上半身の使い方だ。テイクバックでの右肘のたたみ方は悪くないが、速いボールを投げたいという意識が強いせいか、投げる時に肩を回すアクションが大きくなり、どうしてもリリースが左右にばらつくのだ。立ち上がりは丁寧さがあったものの、3回からはどんどん左肩の開タイミングが早くなり、ストライクをとるのにも苦労するほどだった。変化球で腕の振りが緩むのも課題である。
ただ、指にかかったストレートの勢いは申し分なく、高校時代は完全に無名だった投手が国立大学でここまでに成長するというのは、かなりの驚きである。まだ少し細身だがいかにも投手らしい体つきで、筋肉量が増えれば150キロも十分射程圏内に入ってくるだろう。
◆もうひとりの”本格派右腕”石田雄大
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