魔女の望んだキャンバス 1話
桜など舞わない、平凡な大学三回生の始まり。私の志望する研究室の助准教授は、通例より一年早く助教授の地位を得た、優秀な女性であった。
「始めまして、遠野さん。私が助教授の御堂です」
研究室見学に行った時、それはそれは若くて美しい女性が助教授と名乗ったから、私は吃驚してしまった。御堂寧々、それが彼女のフルネームだった。まるで小説の登場人物の様な名前だ。身長は170センチメートル近くあるはずだ。漆黒のロングヘアを無造作に束ねていて、それが白衣によく映えた。
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本になって、私の血となり肉となります