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転機


前回の続きです



【充実した日々】

店舗の売上もよく、
スタッフとの一体感も出てきており、
とても充実した生活が送れ始めていた。

飲食店勤務の特権として、
食費がかからない、ということがあげられる。

賄いとして好きなものを好きな時間に
食べられるので、食費にお金をかけた記憶が
あまりない。

自炊は好きだったが、休みの日に少し凝ったものを
作るくらいで、勤務日はほぼほぼ店のものを
食べていた。

そんなこんなで、貯金もある程度できていたし、
上手くやり繰りしていた。

【推薦】

そんなある日、
店舗のエリアマネージャーが店にやってきた。

割と仲が良かったので、
軽く雑談をしたのち、話があると告げられた。

《〇〇(わたし)を副店長にしたい》
という相談だった。

自分が役職を持つなんて考えたこともなかったが、
給料が上がると聞いて飛びついた。

そして、自分のためにもなるよなぁなんて思いながら、話を前向きに聞いた。

ただし、無条件で上げるわけにはいかないので、
何か功績を残したり、上にアピールできることをしてほしいと言われた。

全く思いつかなかったので知恵を拝借し、
店舗の売上をさらに上げる方法、のプレゼンをした。

なんやかんやあり、
OKを貰え、昇格の権利を得た。


【そういう感じね…】

無事プレゼンが終わり、
内定をもらった状態だったので、
心はかなり軽かった。

今や居心地のいいこの店舗で、
昇格して給料も上がって…楽しいじゃん!と。

そんなある日、
またまたあの恐ろしい掲示板にある投稿がされた。

《辞令》
〇〇(わたし)の異動を命ずる。
異動に伴い、副店長に昇格。

とのこと。

異動かい。異動して昇格かい。
複雑だった。

慣れ親しんだこの店舗で、
さらに売り上げを上げていけると思っていたのに、
別の店舗で副店長としてやっていくことには
かなり不安を覚えた。

なぜなら、
異動先が《全国売上1位》の店舗だったから。


【怖すぎる】

異動の辞令から約2週間ですぐ異動だった。
慣れ親しんだ店舗に別れを告げ、
恐る恐る新しい店舗に足を踏み入れる。

前の店舗よりかなり広いし席数も多い。
全部が大きかった。
ここで副店長か…と震えた。

さすが1位の店舗だな…と思いつつ、
続々とやってくるアルバイトに挨拶をする。

みんなハキハキとしており、
アルバイトがめちゃめちゃ強く見えた。
「バイト怖い…」と思いつつ、
初日の営業開始。

インカムが飛び交う。
何言ってるか聞こえない。
スピード感がすごくて、
会話についていくのに精一杯だった。

「こいつが副店長…?」って多分思われた。

それくらい終始圧倒された初日だった。

終了後に店長からどうだった?と聞かれたが、
「怖いですめっちゃ」と返した。

そして日を追うごとに徐々に出てくる
アルバイトの「クセの強さ」
前回の店舗よりあまり良くない意味で我が強く、
かなり大変だった。

友達として遊ぶ分には楽しくていいけど、
仕事仲間には向いてないな…
という人がいると思うが、そんな感じ。

でも決して悪い子たちじゃないのは分かっている。
ので、辛抱強く教育した。

同い年や年上がたくさんいる中で、
1つ上から物事を見るということが大事だったので、
ひと時も気を抜けなかった。
目を離すとすぐにトラブルが起こる…。
治安が最悪だった…。

【徐々に打ち解けるが…】

今となってはどうやって過ごしていたか
あまりよく覚えていないが、
なんやかんやで新しい店舗でも打ち解けられ、
一緒にディズニーに行ったり旅行に行ったりと
楽しく過ごしていたある年の3月、
あの恐怖が始まった…。


ここまでにします。
次回もよろしくお願いします。





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