【ユンゲ・フライハイト紙】コロナ危機: COVID-19という疫病: 数値、診断、出口戦略
2020年4月12日
ウイルスの拡大は続いているが、スペイン、イタリア、フランス、ドイツのような人口の多い国々において、新たな感染者の数の増大は、段々と安定化していっている。隔離措置の効果が現れているのである。オーストリアに続いて、デンマークなど、さらにドイツの隣国が、コロナ・パンデミックの抑制に対する措置を、徐々に緩和しようとしている。
他方でスウェーデンにおいては、数値は依然として上昇し続けており、政府では、比較的緩やかであった規制や制限を厳しくすることが議論されている。ストックホルム、マルメー、イエーテボリにおいては、どこかで子供の面倒を見てもらって、両親がともにフルタイムで働くことができることが、経済生活にとって必要不可欠である。
それが、スウェーデンにおいて制限が穏健であった理由なのだが、それがいま再考されなければならなくなっている。子供や学校の集団を経由してパンデミックが広がっているからである。デジタル化の先駆者であるスウェーデン人には、それに必要なホームオフィスやオンライン取引やそれに対応した銀行の支払いシステムのためのインフラが整っている——在宅での生活は大きな転換ではなく、だからこそ制限は規律をもって遵守されている。
中国からの警告はより真摯に受けとめられるべきであった
それに対してザクセン州においては自己規律はあまり信じられていない。隔離状態にいなければならないのに、それが守れない人には、いま厳しい刑が科されることになっている。この州では、精神病院のちょうど24の病室が、警察によっても御しがたいような人々を監視下に置くために開放されている。このような強制的な拘留によって、ひとはそれが「非常に強力な基本権を制限する措置」であることに気づくかもしれない。
シンガポールでは再び感染者数の上昇がみられている。パンデミックに最も準備をできていたはずのこの国は、再び感染の再燃を賢明な仕方で阻止しなければいけなくなっている。韓国や台湾や日本においてはパンデミックは生じておらず、なおも感染の局地的な発生があるのみだが、しかし状況は全体として制御されている。Korean Center for Disease Control and Preventionは、すでに治癒したものと思われていた51人の患者が、再び検査によって陽性になったと報じている。これらの患者は新たに感染したのではなく、ヘルペスの場合と同じように、ウイルスが再活性化したのである。
肺の治療を専門とする病院Moerの主導的な肺医学者たちが、COVID-19の患者にについての最初期の経験について報告している。2004年におけるSARSのパンデミックを教訓として、この病院では、治療に必要となる消耗品が備蓄され、2020年1月から組織的な準備も始まっていた。彼らの報告がいうには、ライン地方のカーニバルの直後に他の諸州にインフルエンザの流行が繰り返し押し寄せていたことに鑑みれば、この場所でのカーニバルが「疫学上の爆発」になりうることは、わかっていたはずであった。今年にかぎっては、中国からの警告に従って、この華やかな催しを中止するべきであったのだ。その病院におけるCOVID-19による致死率は幸いにも高くはないようであり、集中治療のためには、挿管法ではなく、酸素吸入マスクで、ほとんどの場合は事足りているようである。
目標をもって予防措置がおこなわれるべきである
ほんの数日前に、専門家評議会の代表であるFerdinand Gerlach教授が、政策的決定がなされる根拠となっている不十分なデータの質について批判をしている。そこで専門家による文書は、コロナ危機に対する建設的な批判をおこなっている。「社会におけるウイルスの事実的な拡大については、何もわかっていない。統計はすでに過ぎ去ってしまった時期に基づいており、症状のない感染者の多数の隠された数値についても、不透明なままである」。
ロベルト・コッホ研究所の公式な数値は、どれだけウイルスの検査が実施されているかに、「最高度に」影響を受けている。だからこそ、この指標を基準にして「政治的決断をする」のは意味がないのである。それに加えて、どの程度の死者件数が、他の重大な健康上の問題によって説明されるのではなく、事実的にSars-CoV-2を原因とするものであるかも、不透明である。感染者の全体数がわかっていない以上は、致死率についての命題は、過大になっているに違いないのである。
専門家たちは、これまでウイルスにとっての中心的な拡大路となっている養護施設や病院へと、予防措置を向けるべきであると推奨している。さらに彼らによればコロナ感染は、ノルトラインヴェストファーレン州のハインスベルクにおけるように「局地的なクラスター」のうちで特に顕著であり、結果として、そのうちで感染の拡大が生じていた蓋然性が高いようである。
甚大な経済的な帰結
ボンのウイルス学者Hendrik Streeckによるハインスベルク周辺のフィールド研究は、上記のような想定を裏付けるものとなっている。感染の大多数は、カーニバルの集まりのあいだに突如として生じたのであり、それはオーストリアのスキーリゾート地イシュグルや北イタリアのサッカーの試合におけるようなスーパースプレッディングの発生だったのである。それでも、ほとんどがSARS-CoV-2、コロナウイルスと接触をもったであろう、ノルトラインヴェストファーレン州にある自治体ガンゲルトにおいても、致死率は0.37%であり、またその際に市民の15%の感染が実証されている。オーストリアでは最近になってm代表無作為抽出検査が行われ、公式な統計が算出する数の6倍の市民がウイルスに感染している可能性があることがわかっている。
専門家評議会はさらにこう続けている。「たとえばソーシャル・ディスタンシングのような一般的な予防措置は、理論的にはあまり防護作用はなく、その効果も限定されており、またそこにはパラドックスもある(それが効果を挙げれば上げるほど、第二の波の危険性が高まる)。そして、副次的に発生する損害を考慮するならば、それは有効とはいえない」。アメリカのジョンズホプキンズ大学が大型ハンマーでの叩き潰しと名付けた戦略ではなく、秩序ある出口戦略のためには、高齢者や複数の既往症保持者や医者や看護人や局地的な感染クラスターなど、リスク集団にむしろ焦点が絞られるべきなのである。
長期的な景気後退というリスクを冒すのであれば、経済的ないし個人的な損害ないし数百万の人々の経済的破綻によって、家庭内暴力や孤独化とともに、同じくらい深刻な健康上の帰結が生じるかもしれないのだ。
https://jungefreiheit.de/wissen/2020/covid-19-epidemie-zahlen-prognosen-und-exit-strategien/