劇場版ドラえもんを斬る
久しぶりにブログを書いたと思ったら、まさかのドラえもんです。
実はドラえもんめちゃくちゃ好きで、てんとう虫コミックスは全巻持っていたし、劇場版も小6時点ではコンプしてました。
どの話が何巻に入っているとか、独特のセリフの言い回しとか、変な効果音とか頭に入っていて、同じドラファンの友人とドラえもんごっこに興じたものでした。思えば小学生の頃からオタク気質だったのです。
さて、大人になり久しくドラえもんのアニメや映画から遠ざかっていましたが、知らぬ間に(と言っても20年くらい前)声優も一新され、大山のぶ代のドラえもんは遠い過去の遺産に。子供ができて以降は再びドラえもんを見る機会も増え、最初こそは水田わさびドラえもんに強烈な違和感があったものの気がつけばごく自然に受け入れられるようになっていました。声優さんって偉大ですね。
まあ、のび太のママは何度観ても葛城ミサトさんに変換されてしまうんですけどね?(セーラームーンにはならない)
昨年の春には4歳の息子を連れ、初めての映画鑑賞として、「ドラえもん のび太と空の理想郷」を見に行きました。
どうやら彼にとって非常に面白かったらしく、その時から来年(つまり今年)のドラえもん映画を見に連れていけどせがまれており、今日はドラえもん映画「のび太の地球交響楽」を見に行ってきました。
まだ公開中の映画なので話の内容には触れませんが、ストーリーの展開は良く言うと安定感があり、悪く言うと在り来りな印象。
しかしドラえもんはもちろん、普段ヘタレなのび太くんが勇敢に頑張る姿とか、映画になった途端に異様に男前な演出がなされるジャイアンなどをみていると、すごく応援したくなるから不思議です。
結果として、お金出して映画館で見るものとしてはそれなりに価値があり、子供も喜ぶので行ってよかったんですが。良かったんですけど、往年のドラファンとして敢えて苦言を言うとすれば
「誰か、大人が手引きしてるやろ」
というところです。
いや、いいんですけどね?
ドラえもんって、もっと間抜けなはずなんですよ。いざと言う時に道具が故障したり、思い通りにポケットから道具を出せなかったり。
そして何より「ここであれ使えよ!!」って視聴者が総ツッコミしそうな場面でも、何故か登場人物がそこに気づかないという不思議展開。
名作「のび太と宇宙小戦争」などでは地球に侵略してきた小人サイズの宇宙人にスモールライトを奪われてしまい、小さいサイズのままののび太たちが理不尽な苦戦を強いられながら宇宙人と戦うというストーリー。最終的にはスモールライトの効力が切れて、巨大化した(本当は元のサイズ)のび太たちの活躍で圧勝するというものなのですが、話はとても面白い一方で、誰しもが思うことは
「ビッグライトは使わないの?」
「ガリバートンネルとかあったよな?」
「取り寄せバッグで取り返せよ」
「ドラミちゃんに助けてもらえば…」
などなど。既知のひみつ道具を活用したソリューション…笑
ところが優秀なしずかちゃんを擁しながらもそこには誰も気づかないというお約束のご都合主義。なお、劇場版では出木杉君はほとんどの作品でいないものとされます。(魔界大冒険など、例外もあり)
そういうのが子どもの頃はすごくもどかしくて、時にはイライラしたものですが、大人になって感じるのは
「あのイライラが欲しい!」
というパラドックス的な欲求。
ところがですね、最近のドラえもん映画はみんな賢くなっているように思います。
ピンチに陥る場面は必ずあるにせよ、事前に保険をかけておく細かい演出があって、それが後々になって効力を発揮したり。
コミックスで1回出てきただけの道具、登場人物も絶対忘れてるやろ的なものを、まるでレギュラー道具かのように活用したり。
ちょっと違うけど「キレイなジャイアン」なんてのは36巻のひとつのエピソードでちょっとシュールなギャグ的に出てきただけなのに、いつの間にかグッズ化までされてるんですよね。私たち(誰?)からすれば、「何を今さら…」なわけですよ。
そう、つまり仕掛け人側、映画で言えば制作スタッフに間違いなくコアなドラファンがいるんです。そして彼らはしれっとドラえもんたちに手助けをしています。なぜならドラえもんたちはそんなに賢くありません。ひみつ道具オタクがまるで整理されたツールボックスから選んで取り出すように的確な道具を作品中に登場させてしまうわけです。
昔の作品のように、まるで子供の動きを見るかの如くもどかしさを覚えたり手助けしたくなるような不器用さにやきもきしたりすることはあまりなくなってしまい、その代わりに大人が手伝ったことが透けて見えるようなとても立派な夏休みの自由研究の発表を小学生から聞いているような、そんな感覚にとらわれてしまうわけです(何も伝わりません)
言い方を変えると、痒いところに手が届くようになった、とも表現できます。それはそれでいいはずなのに、なぜか求めてしまうんですよね。そこじゃないんだよ!とツッコミを入れるあの感覚を。
などと、四十路のいい大人が本気でドラえもん映画の今昔を語ってみました。次はちゃんとイコラブの話を書きたいと思います。知らんけど。
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