愛について、かんがえた【フィリピン・マニラ】
たとえば、もうその人にこれから先の人生で会うことはなくて、どこかですれ違うこともきっとなくて、あげた愛が返ってくることはないと知っていても、人は計り知れないほどの愛を誰かにあげることができるのだろうか?
フィリピンに訪れたのは、人生で2回目。前回はセブへ、そして今回は初めての首都マニラ。
マニラは人がいっぱいで、とにかく治安が悪いから気をつけろ、って出会うみんなが口を揃えて言うもんだからわたしは恐る恐るマニラの空港を小さく走った。
空港の外に出た時、思った。「あったかいなぁ」って。それは気温のことでもあって、フィリピン全体の雰囲気を表す意味でもあった。青い空と懐かしく感じる古っちい匂いと、明るく陽気な人々。
友達のリカコが、ここで働いている。フィリピンの人が、大好きで大好きで「いつかエリカを連れて行きたい」とずっとわたしに話していた彼女に会いにきた。
わたしはついに来たんだ。リカコがずっと、わたしに見せたかった場所。
眩しくて、眩しくて、久しぶりに会ったリカコはとても幸せそうで、それでいて「愛する場所」と、「愛する人」に満たされていた。
すれ違う人でさえ、とびきりの笑顔と、とびきりの愛をくれるんだ、この国は。
フィリピンがくれる愛は、大きくて大きくて、ここに来て数日がたったわたしは、なんだかそれを、受け取れきれていないような気さえした。
見返りなんてきっと求めていなくて、そのとってもまっすぐな愛を、わたしはどうやって受け取ればいいかわからなかった。
そういえば、思い出した。2年前に語学留学でセブにいた時のこと。お別れの時に大好きな先生が、「高価なものはあげられないけど」って、手作りの素敵な言葉がいっぱい貼られた色紙をわたしにくれたんだ。作るのに、何時間かかったかわからない。とても可愛く飾り付けられていたりなんかして。
それをわたしに渡す前に、彼女は「泣かないと約束してね」って、泣き虫なわたしに言ったっけ。
豊かな国に生まれたことが幸せだとか、そんな気持ちをほんの少しでも持っていたわたしを、そんな自分を、恥ずかしく思うような。情けなく感じるくらいに、愛に溢れた国だ、ここは。
わたしはまだ、ここに来てからなんだかずっと、かんがえごとをしている。