2024年8月 - 今月のスナップとエッセイ
時候の挨拶
気がつけば、2024年8月が終わろうとしている。1ヶ月はあっという間である。このようなことをもう何年も言い続けているが、時は待ってくれない。もし月末にエッセイを書いていなければ、1ヶ月という時を振り返ることはなかっただろう。
夏の朝、蝉の声があれほど騒がしく感じられたのに、ある日突然、静かな朝を迎えていることに気がついた。いつものように玄関を開けると、自宅前には蝉の亡骸が転がっていた。その姿は無惨にも頭が半分に割れている。鳥が食べたのだろうか。わたしはそれを避けながら、日常に溶け込んでいった。
「暑い!暑い!」と文句を言いながらやり過ごしていた季節も、終わりを迎えつつある。
そして今宵、雨に濡れた道を歩いていると、リンリンと秋の虫の音が聞こえた。その声は切なく、夜空に響き渡る。「ああ、夏が終わるのだ」とわたしは湿った空気を胸に吸い込んだ。
地球という名の船に乗って
今月は、地震や大雨といった災害に直面する月であった。
2024年8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。それに伴い、南海トラフ地震臨時情報が発表された。ここ静岡県では、何十年も前から巨大地震が来ると言われ続けている。静岡県民は防災頭巾を持ち、授業では地震の恐ろしさを学ぶ。聞けば母の代から同じことで、半世紀近く巨大地震が来ると言われ続けている地域である。わたしも、子どもの頃から地震に備える術を口酸っぱく教えられてきた。今、ついにその時が来たかと、静かに思っている。
さて、大雨も問題である。台風10号の動向が注目を浴びている。連日の豪雨で、道路の冠水や川の氾濫が起き、鉄道や高速道路などの交通機関も乱れている。この台風、名前はサンサンというらしい。太陽を降り注いでくれそうな名をしているが、実際には大雨をもたらし、日本列島を大惨事にしている。台風の影響かは定かではないが、ここ数日、落雷にも見舞われた。夜空がピカッと光ると、すぐに轟音が辺りを切り裂いた。その様子を夫とともに眺めていると、雷鳴で窓ガラスがガタガタと震えた。
雷は、電気を流そうとする力が約1億ボルトにもなるため、空気の中をかき分けて地面に到達する。このとき、雷の周りの空気が一瞬にして約3万℃に熱せられ、圧力を高めて一気に膨張し、この衝撃が周りの空気に伝わり振動させ、大きな音として聞こえてくるのだ。
震える窓ガラスに手を当て、わたしは自然の力強さに圧倒された。
このような自然災害に遭遇すると、つくづくわたしたちは地球に生命を握られているように感じる。まるで、地球という名の船に乗って宇宙を旅しているかのような存在だ。それほどにちっぽけである。それもそのはず、地球が誕生し、地球の一部分から我々が生まれたのなら、我々は地球の持つエネルギーに逆らうことはできない。むしろ、この星に生かしてもらっている存在なのである。
結局のところ、我々は地球に身を委ねることしかできないのだろう。
宇宙に浮かぶ船をイメージしながら、明日の天気予報を見る。まだ新幹線は動かないらしい。途端に現実に引き戻され、わたしは今日を生きることにした。
写真が作品になるとき
ふと思い立って、過去の写真を80枚ほどプリントした。撮りためたスナップ写真。わたしのPCで眠らせてもいいが、やはりモノとして残しておきたくなったのだ。
1000枚撮影すると、現像するのは100枚。そのうち、出来高が6割程度のものをポンポンとセレクトし、L判で印刷した。フォトブックにするなら選ばれないような写真も、どんどん印刷した。
プリントされた写真を見ると、それらはまるで宝物のように輝いて見えた。それそれが「作品」として生きていた。自分の撮った写真が、愛しく思えたのである。
今秋、名古屋で開催されるグループ写真展に参加させていただく。先日、出展作品の発注を済ませた。まだ手元には届いていないが、心待ちにしている。大伸ばしプリントを発注する時のドキドキ感は、何度味わってもたまらない。
デジタルが普及したこの時代にとって、プリントとは自分の写真が作品となる行為だと思う。
そして、今月もカメラ片手に街を練り歩いた。今月は、いつもより多く写真を撮っていたようだ。まだまだ現像が追いついていない。
夕暮れの日、光と影を追いかけた。雨の日、ずぶ濡れになった。無我夢中で写真が撮れるとき、わたしは調子が良い。
「同じ場所をよく撮り続けられるね」と言われる機会が多いが、わたしもそう思う。しかしまた、同じ場所を撮り続けているからこそ見える景色もあるのだ。
さて、雨はいつ上がるかな?
それでは、良い写真生活を。
【お知らせ】写真展“THE SNAP2024”に出展します!
2024年10月8日~20日に名古屋市で開催される写真展に参加します!
スナップ撮影をしている写真家さんが集結!わたしも楽しみです。
ぜひ、お越しください♪
日時:2024年10月8日〜10月20日 各日10時〜21時(最終日は17時まで)
場所:セントラルギャラリー
住所:愛知県名古屋市中区錦3丁目15-13先(地下)
最寄:久屋大通駅
バックナンバー:今月のスナップとエッセイ
─── 過去記事 ───
─── 202X年8月 ───
■ 2023年8月
■ 2022年8月
■ 2021年8月