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2024年10月 - 今月のスナップとエッセイ


時候の挨拶

 金木犀が散り、地面には黄金色の絨毯が広がっている。ほんの少し前まで、あの甘い香りが風に乗って漂い、周囲を秋色に染めていた。香りを感じるたびに秋の終わりを感じられて好きだったけれど、最近はその余裕さえも失っている自分に気づく。

 今、わたしは半袖の上に薄手のカーディガンを羽織っている。そんな自分に「もうすぐ11月なのに、まだ半袖を着てるなんて」と、少し呆れている。この街は本当に暖かい。遠く北の地では初雪の便りが届いているというが、その寒さがまるで遠い世界の話のように思えてしまう。

 衣替えもまた、手間がかかる。寒さが深まるにつれ、クローゼットから一枚、また一枚と長袖を引っ張り出し、半袖には来年の夏(あるいは春?)までの別れを告げる。気温に合わせて少しずつ入れ替わるその様子は、まるで季節のグラデーションのようだ。

 皆さんの住む場所では、今どんな風が吹いているだろうか?

充実写真生活

 今月は、写真に満たされた充実の日々だった。

 まず、名古屋で開催されたグループ写真展「THE SNAP 2024」に出展した。これまでにいくつかの写真展に参加してきたが、今回はわたしが撮り続けてきたスナップがテーマ。展示の準備段階から、期待に胸が高鳴っていた。会場は久屋大通駅の地下通路にあるセントラルギャラリーで、多くの通行人が行き交う場所。スナップというジャンルを通じて、通りすがりの人々に写真の面白さを伝えることが展示の目的だった。わたしも会期中に名古屋を訪れ、通路に並ぶさまざまなスナップを目にした。作品が連なる光景はまるで一つの物語を紡ぐようで、それぞれの撮影者の視点が写し出された世界は学びと驚きに満ちていた。

 写真展の醍醐味は、写真がプリントによって全く別物になる瞬間を体験できることだ。サイズ、紙の質感、額装ひとつで写真の雰囲気が大きく変わり、会場の雰囲気やライティングがその作品に命を吹き込む。そして、その輝きは会期中だけの儚いもの。この空間を永遠に残しておきたいと毎回思うが、それは叶わない。むしろ、展示が終わりを迎える切なさこそが、出展者にとっての写真展の魅力なのかもしれない。

 さらに今月は、名古屋だけでなく横浜にも足を運んだ。目的は、コブクロのライブだ。わたしが心から愛するアーティストの結成25周年を記念したツアー。ライブの最中、華やかな演出に目を奪われながら、「この情景が永遠に続けばいいのに」と思った。そして、「それが叶わないからこそ、写真展と同じように一瞬の価値が増すのだろう」とも思った。相手に魅せる空間は、限りあるからこそ輝きを放つのかもしれない。

 ライブが終わり、横浜の街に出ると小雨が降り出していた。その雨に濡れる街を撮り歩き、夜の横浜が醸し出す雰囲気をシャッターに収めた。飲み屋街にはカップルや若者たちが集い、それぞれの週末を過ごしている。わたしはその中を歩き、初めての街の新鮮な光景に胸を踊らせた。見るもの全てが新しく、シャッターを切る手が止まらない。なんて素敵な夜だろう、とそう思いながら歩いた。

体調メモ:2024年10月

 体調がどうもすぐれない。季節の変わり目だからだろう。急に暑くなったかと思えば、また寒くなったりで、寝つきが悪い。けれど最近は反対に、どこか眠りに引き込まれるような感覚が続いている。いくらでも眠れそうなのに、昼間も眠くて仕方がない。「いったい、いつなら覚醒してるんだ?」と思うほどだ。仕事に支障が出ないように、できる限り眠りを優先しているが、そのせいで記憶が曖昧なことが多い。ちょっとした出来事や感情が、ふとした瞬間に指の間からこぼれ落ちる水のように流れていき、心には何も残っていない。この状態も悪くはないと思うが、もっと大切なものまですべて忘れてしまいそうで少し怖い。

 それと、腰が痛い。正確には腰というか、尻や骨盤あたりに鈍い痛みがずっと続いている。どこがどう悪いのかはっきりしないが、なんだかいつも調子が悪い。全部忘れてしまいそうなので、こうしてここにメモを残しておくことにする。

 人生の先輩方に「年を取ると調子がいい日はないよ」と言われるが、その気持ちがわかりたくないのにわかってしまうような日々を送っている。さて、先日遊びに来てくれた友人といかに健康で生きるかについて話をした。
彼女曰く「筋肉が大事」ということだ。それは筋トレという意味合いよりかは、発声や咀嚼、歩行などどいった日常で使われる筋肉を毎日使っていくことだという。よく笑い、よく食べ、よく動く。当たり前のようだが、日常生活を快活に生きることこそ、長く健康でいられる秘訣なのかもしれない。あと生きがいって大事。

 もちろん写真を撮ることも生きがいだよね。
 それでは、良い写真生活を。

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miho
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