【しをよむ096】谷川俊太郎「朝のリレー」——太陽の目をごまかしてみる。
一週間に一編、詩を読んで感想など書いてみようと思います。
谷川俊太郎「朝のリレー」
石原千秋監修、新潮文庫編集部編
『新潮ことばの扉 教科書で出会った名詩一〇〇』より)
これまでのしをよむでも名前を挙げていた作品。
今回堂々と主役に躍り出ました。
初めてこの詩に出会ったのは、確か小学生の頃だったと思います。
突然の「カムチャッカ」は宮沢賢治『やまなし』に出てくる「クラムボン」と同じくらいに不思議ワードでした。
メキシコもニューヨークもローマも知っていますが、「カムチャッカ」とは。
しかもその後に「きりんの夢」というワードが出てくるものですから、
私はしばらく「カムチャッカ」をアフリカ辺りの都市だと思い込んでいました。
正解はロシアの、それも割と日本に近いところでした。
カムチャッカの若者は遠い大地の憧れを夢に見ていたんですね。
グリニッジ標準+9時間のリズムで生きている中でも、
寝起きして活動するタイミングは人によって違っていて。
特にここ最近は時差通勤やフレックス勤務がより広がってきたので
そのバトンもより身近になったように思えます。
もちろん以前からも、命や安全や暮らしを守るために24時間途絶えずに動き続けているシステムはあって、
それを維持する方々はまさに社会をリレーで回しているのですね。
一つの等時帯の中でのリレー、
そして地球全体の、自転速度に合わせたリレー。
ふと思ったのですが、もし太陽が地球を観察していたとしたら、
「この地球全土にいるヒトっていうのは、だいたいずっと起きてるな……」と見えるのかもしれません。
太陽にとっての地球の夜は、地球にとっての月の裏側のように見えないものですから。
「地球のヒト、実は見えてないところで、なんなら地球が一回転する時間のうち 1/3 くらい寝ている」と知ったときの太陽人の衝撃を想像するとちょっと愉快です。
明日からも地球のヒトの一員として、見せかけのずっと起きてる感を太陽にアピールしていきたいと思います。
さて、この記事も太陽の影になっているうちに書き始め、そして書き終えようとしています。
いま朝を迎えようとしている地域の皆様(アメリカあたり?)には
おはようございますを申し上げて、
今晩はそろそろおやすみなさい。
お読みいただき、ありがとうございました。
来週は糸井重里「てつぼう」を読みます。