【しをよむ073】コクトー(堀口大學 訳)「シャボン玉」——お庭をあかるい虹色に。
一週間に一編、詩を読んで感想など書いてみようと思います。
コクトー(堀口大學 訳)「シャボン玉」
石原千秋監修、新潮文庫編集部編
『新潮ことばの扉 教科書で出会った名詩一〇〇』より)
「シャボン玉」ということばの無邪気さを味わえる詩です。
このみじかさの中に、芝生やつるばらの庭、おだやかに晴れた空気、つくったばかりのシャボン玉を真剣に見つめる子どもの頬と睫毛、そしてその子と目線をあわせて見守る語り手が自然と見えてきます。
副題に「備忘録断章」とあるのは、もしかしたらこの子どもの姿を形に残しておきたかったのかも。
「おにわまわってるね」と子どもが言ったのをきっかけにこの詩が生まれたのかも……。
想像がふくらみます。
声に出して読んでみると、うすくて大きなシャボン玉が浮かんで消えるまでの時間にぴったりなようにも思えました。
この先、子どもとシャボン玉で遊ぶ機会があったら、
そっとこの詩をつぶやいて、くるくる廻る景色をいっしょに眺めてみたいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
来週は金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」を読みます。
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