蛇神の腹

夜が訪れるのは蛇が世界を飲み込むせい
朝が訪れるのは蛇の卵から世界が孵るせい
微熱のように頭の奥がぼんやりとする帰りしな
コンビニに寄ってアイスクリームを買う
眠って覚めるともう蛇の腹の中だった
世界が端から湿り気を帯びる
私はあくびをひとつして
いつものテレビ番組を無音で見る
蜜柑をむく
歯を磨く
鏡に真っ赤な口と鋭い二本の牙がある
布団の中は温かい
から、ぬくぬくとまた眠る
起きたときにはもう世界は生まれていた
取りきれなかった卵殻や薄膜の欠片が青空に張り付いている
夜と朝を巡らせる永遠の神の蛇
アイスクリームはお気に召したか