Novelber 19th—寂しがりたがりの君へ
日が暮れたね。ほんのしばらく前までは、光が波に反射して眩しかったのに。
空の底に沈殿しているオレンジ色も、ゆっくり夜に拡散していく。
君はまだ海を見ているね。
ねえ、いつまでここにいたい?
……光がみんな去ってしまうまで?
ふふ。それなら永遠にここにいることになってしまうよ。
太陽が沈んで残光がすっかり掻き消えてしまったら、月や星が輝くもの。
たとえ雲が厚くてその光が届かなくてもさ。
灯台や漁火や遠い遠い街の灯りが、君を真っ暗闇のなか独りぼっちになんてさせるものか。
Novelber 18 お題「残光」
※お題は綺想編纂館(朧)さま主催の「Novelber」によります。
当面、サポートいただいた額は医療機関へ寄付させていただきます。 どうしても稲見晶のおやつ代、本代、etc...に使わせたいという方は、サポート画面のメッセージにてその旨ご連絡くださいませ。