【note1.「グローバル化」という言葉について、バカなりに考えてみた】
本エントリの概略。
①:「グローバル化」ってなんじゃらほい?
②:高すぎる日本の労働力
③:じゃあどうしたらいいの?
【①:「グローバル化」ってなんじゃらほい?】
Q.グローバル化ってなんですか?
A.年齢性別人種国籍を問わず、あらゆる商品やサービスが、「世界市場」での価格競争に晒されることです。
2017年11月20日、「働き方改革」の一環として、正社員労働者の副業・兼業を認めるよう促すガイドラインを厚生労働省が安倍政権に提出した。
(リンク:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf)
長時間労働の対策という名目だが、当然経団連側の要請もあるのではと推察される。
つまり
『日本の企業は、もう満足な賃金を払うことはできない(or払うつもりはない)から、各自賃労働以外の方法で稼いで、それぞれ勝手に生き延びてください or Die』
ということだ。
終身雇用と企業年金によって、国家が担うべき社会保障を担保してきた本邦において、これは「サラリーマン棄民政策」であると筆者は認識した。
経済成長著しく、人件費が急上昇していると言われる中国だが、現在のところの製造業の賃金は、最高でも64452元(約105万円)、最低で597元(約9,750円)。カンボジアやベトナム、ミャンマー等の国だと、更に下がると思われる。
(→リンク:https://jp.tradingeconomics.com/china/wages-in-manufacturing)
(*2018年10月10日段階での人民元/日本円レート、16.33円で計算)
インターネットの進化により、これらの生産力や労働力に、個人でさえ容易にリーチすることが可能となった。
国内の企業であっても、何らかの製品、あるいはサービス、あるいは労働力が必要となったとき、母国の企業から買う理由も必要も、全くない。
筆者自身も、輸出入業で取扱う商材をAli-Expressで購入したり、e-Bayで販売したりしている。
PayPalやAliPayのような優れた決済手段の出現により、決済の点の不安も解消された。
企業も個人も、世界市場で売買を行う環境が整い、世界は急速にそれに適応しているのだ。
世界中に相見積もりを出して、一番安いところに発注できる時代に、より有利な価格でモノやサービスを販売したいと思えば、製品のクオリティや納期の速さが考えられる。
バブル以降の日本企業は、主にその点でアドバンテージを有してきたが、残念ながら昨今は、その座を中国に明け渡しつつある。
前職・前々職にて、複数の中国企業との折衝を担当し、品管も行ってきたが、製品のクオリティもサービスも、今や日本以上だ。レスポンスも、驚くほど早い。
歩留まりの点では、まだ日本製品に分があるが、グローバル基準では日本の製品は「オーバークオリティ」であり、ぶっちゃけ「そこまでもとめてない」国がほとんどだ。
どの業界でもそうなのかはわからないが、筆者が働いていた業界の場合、中国本土の業者は、ある程度まとまったロットで購入すれば、購入数の1〜2%程度余分に製品を送ってくる。
「不良品がない」ことを前提とするのではなく、「不良品があったら、これで充当してくれ」という意味だし、日本のように、製品の個体不良があるたびに、一々クレームを言ったり、書面による改善案を求めたり、場合によっては菓子折り持って謝りに行ったりなどという非効率なことは行わない。
輸送コストも、驚くほど下がっている。
筆者が商品として中国から輸入したアクセサリーは、輸送費込で100円を切るものもある。
これは自分のビジネスにとってはマイナスになりかねないので、あまり明かしたくはないのだが、本件の説明にはうってつけなので、紹介する。
Amazonの検索窓で、「アクセサリー ノンブランド」と検索し、価格の安い順に並び替えてみるとわかるが、販売価格が数十円〜数円、1円という商品すら存在する。
更にその後、製品画像を保存し、Googleの画像検索を行うと、輸出入業というものがどういうものかを、ダイレクトに認識することができると思う。
コンビニや居酒屋、建設現場からも日本人が駆逐されてきている。
必ずしも高度な日本語能力を必要としないからだ。
ちなみに、中国人は減ってきている。
中国人にとっては、もはや、日本で働くことも、日本の学校で学ぶことも、ワリに合わないのだ。
欧米ではタクシー運転手が、移民の就く職業としてポピュラーになっているので、日本のタクシー業界も早晩そうなることだろう。
あるいは自動運転にシフトする可能性もあるが、Uberですらあんなにモメた以上、業界団体の抵抗は必至だろう。
【高すぎる日本の労働力】
日本だけでなく、世界中の労働者は、これら安価な労働力(とAI)との競争の只中にある。
そんな中、最低でも時給985円、月給15万円/月という日本の労働力は「高すぎる」のだ。
(*2018年の東京都の最低賃金より算出。958(円)*7(時間)*22(日)=151,690≒15万)
(資料:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/topics/2011/20110805001_00003.html)
最初に挙げた、人件費が高くなってきていると言われている中国の製造業の、最も高い水準でさえ、日本円にして8万円強。
成果物のクオリティが同じ(下手をすればよりハイクオリティ)である限り、発注者(あるいは雇用者)が、2倍弱のお金を拠出する理由は、何一つない。
個々の人間が認識していなければならない「グローバル化」の中身がこれだ。
「良い」「悪い」、「困る」「生活できない」ということではなく、「そういう時代になった」というだけの話だ。
シャッター商店街が問題だといっても、現代人は、Amazonからものを買うことをやめない。
店頭で販売されているものと同じものが、6〜7掛け程度の価格で買える上に、自宅まで届けてくれ、送料さえ場合によっては無料になる。
発送も迅速で、翌日か、場所によっては当日中に商品が届く。
この圧倒的な安さと利便性の前には、生半可な地域保護の志は、折れてしまっても仕方がない。
固定電話を使って国際電話をかけるひとはもうほとんどいない。
LINEやSkypeの無料通話の方が、安価(というか無料)の上に、使い勝手も良いからだ。
1対1で、声でしかコミュニケートできない上に高額なサービスが、複数の人間と、顔を合わせてコミュニケートできる無料のサービスに叶うはずがない。
消費者としてのみ生きられるのであれば、現代は楽園だ。
「便利」と「ラク」が、労働を駆逐していく。高生産性が低生産性を駆逐していく。
そういう時代に、我々は生きている。
だが、消費のみで一生を終えることができるほどの資本を持つものは、そこまで多くはない。
現代のこの世界で、毎年生産性ワーストの日本の労働環境が、日本の労働者が、今後維持される理由はないし、世界が保護する義務もない。
外国語の障壁も崩れつつある。
TOEICの最高点数が520点程度の、極めて残念なレベルの筆者の英語力でも、Google翻訳を駆使すれば海外との折衝が可能だし、実際筆者もやっている。
Googleが翻訳した英語で、非英語圏の業者と非英語圏の顧客が売買をする時代なのだ。
ネットワーク越しの折衝では、意味と意図さえ伝われば、必ずしも完璧である必要はない。
(勿論、正確に伝わるに越したことはない)
【③:じゃあどうしたらいいの?】
「どうやって市場から、中間搾取なしに、ダイレクトにお金を稼ぎ出すか」を模索し続け、それと同時に「月8万円で暮らしていける方法」もまた、真剣に考える必要がある。
繰り返すが、「良い」「悪い」「嫌だ」「困る」という話ではなく、もうそういう時代なのだ、ということを、認識しなければならない。
霞を食っては生きられない我々は、この時代に適応しなければならない。
それは、取りも直さず「自分のビジネスを持つこと」と、「生活にかかるコストを極限まで削ぎ落とす」ことにほかならない。
8万円しかもらえないなら、8万円で成り立つ生活をする。
足りないなら、自力で稼ぐ(あるいは公助に頼る)。
極めてシンプルな話になる。
無論、8万円で生活をするのは、かなり難しい。というか、不可能だし、フルタイムで勤務して10万円を切るような給与であるなら、それは労基に駆け込むべき案件だが、気持ちの上では、そういう方向を志向していかないと、いずれ詰む。
実質的な初エントリだというのに、随分ノー・フューチャーな話になってしまった。
この窮状を脱する手段を、考えていきたいと思う。