見出し画像

口内炎だと思ったら「がん」だった話(11)〜さよなら栄養剤!久しぶりのごはん

半年の経過観察は前回書いたとおり何事もなく、通院回数も月2回(2週に1回)から月1回になりました。

ということで!

続きを待っている皆さま、大変お待たせしました!
ひと安心したので「口内炎〜話(9)」の翌日以降を書いていきます。

あらすじ

飲み込み検査(正式名称:嚥下造影検査)の日程も決まり、いよいよ食事を再開する準備となってきました。ここ数日、微熱と平熱を行ったり来たり不安定な状態(主治医いわく感染が疑われるからとのこと)のため週2日(月曜と木曜)体重測定と採血をするはめに。からだは元気なのに〜!

★ 精密検査から告知、手術、最近の通院まで下記から読めます


3月4日(月)

おはよう、月曜日。
週末が明けると、ナースステーションや入院受付がバタバタと忙しく動きます。
今日も受け入れる患者さんが来るのです。

さて、私は6時に起床したら看護師さんが来る前に身長・体重を測ります。(同時に測れるタイプなので身長はおまけ。)
測り終わると計測値が紙でびっーと出ます。この日は34.9キロ。

病室に戻って、看護師さんが来たら先ほどの紙切れを渡します。
受け取ってくれる人もいれば、見て終わりの人も。手元に残った数値の紙をどうしろと!?
いつもどおりの体温と血圧測定に、プラス採血をして白湯、栄養剤を入れます。

栄養剤がもうちょっとで終わるごろ、先生たちの朝の回診。
この日もリハビリのこと(ゼリーの完食時間を短縮すること)を言って去っていきました。おぉ、なんかすごいプレッシャーを受けてる!

9:00〜 リハビリ開始

まず「あいうえお」体操や「さ」「す」の発音・発声練習から。

「さ」や「す」が入る短文(文に意味はなし)を読み上げ、詰まるところを区切って何度も練習します。

例えば、「なばで いに わって いとうの ジューをのむ。」

この1文に「す」が5つ出てくるので、「す」が出てくるたび、気をつけて言うのですが、すなばの「す」とジュースの「す」は息の通り方が微妙に違います。
舌が腫れて上顎との間に隙間がほぼない私にとって「す」の音は難しい。
(リハビリがない)土日に練習したおかげで、ゆっくりなら徐々に言えるようになってきました。

発音・発声練習したご褒美として
・水100cc
・ぶどう味のゼリー
それぞれを制限時間内に完食・完飲します。(早食い競争かよ。)

この日は水が5分、ゼリーが6分で完食・完飲しました!
早く食べるコツとして、下顎(下唇や歯の裏側)に落ちたゼリーを気にしないこと!水で口をゆすぐときに流れていってくれると言語聴覚士さんからアドバイスをもらいました。
そういえば、鏡を見なくてもゼリーをどこに入れれば飲み込めるのかわかるように。進歩、というよりじぶんの身体がこの舌の状態に慣れていっているのかな。

次の日もリハビリを行なってから夕方に飲み込み検査を行なう予定で、ごはんは早くて水曜のお昼から始まるようです。(その日のうちにOKとはならないのだと少しがっかりしました。)
経鼻チューブはごはんを完食できたと確認したら外す(食べた量が半分以下だと栄養剤の投与に戻される)とこれからの流れを説明されました。

ついでに水曜から始まる(だろう)ごはんの説明も。
最初は離乳食5〜6ヶ月目の状態からスタート。ほぼペーストだと言われました。
身近に子どもがいないので、離乳食6ヶ月目の形態がまったく分からぬ。
離乳食ってどんな感じ?

1時間のリハビリが終わり、次はレントゲンへ。
撮るなんて予定を聞いていなかったので、レントゲン室で慌ててブラキャミを外したような…恥ずかしい。
患者たるもの、どんな検査もできるように、パジャマの下は何もつけないのがベストですね。教訓になりました。

レントゲンの次は処置室で診察。
テープの張り替えと、舌の状態確認。
気管支の穴はほぼふさがり、空気が漏れなくなりました。

お昼の栄養剤が終わったら
お部屋のベッド交換が入りました。(マットレスも)

2週間入院して初めて遭遇。
別のマットレスをベッドフレームにのせ、新しいシーツをかける…
仕事ってすごいな。傍らで見ながらそう思いました。

リネン交換の業者さんが去った後にセルフでリハビリ体操を。
その後、あすの検査について説明を聞き、同意書に署名。

夕方、天気が良かったので3階までお散歩。
デッキ(ベンチや花壇がある屋外の場所)に出るのは通院期間も含めて初めて。そこで10分ぐらい外の空気を吸っていました。
あとは売店に来る人を観察したり、空いているいすに座ってSNSを見たり。
病室の外の世界(といっても病院の中ですが)をたまに覗かないと、浦島太郎みたいで不安です。

この日の夜、体温がまた37.4~37.5度に。
こんなに元気なのに微熱?お散歩しすぎたかな?

唾液は口から垂れることは減り、飲み込めるようになりました。
ですが、たんが絡んで喉がガラガラに。

明日、いい状態で検査できるかなー?と少し心配しながら就寝しました。

3月5日(火)

曇りのち雨。飲み込み検査当日。

いよいよ、この日がやってきました。初めての検査なので怖いような。でも、これを乗り越えればおいしいものが食べられるという楽しみも。
嬉しさ半分、不安半分というところです。

朝はいつものとおりに、体温、血圧を測り栄養剤の投与。
この栄養剤も指で数えるほどなんだなーと袋を見てしみじみしました。

そして朝の回診。
主治医から「いよいよ飲み込みの検査だね」みたいなことを言われました。
「うん、わかってるよ。やりたくないけど、やらないと前に進めないからやるのよ」って内心思ってました。

9:00〜 リハビリ

この日も、舌を前後左右動かしたり、さ行の入る短文を音読したりしました。

水100ccとゼリーの成果は…
水100cc:5分
ゼリー:8分(10分以内に完食!)

日に日に上達している感覚。
自分の舌じゃない部分で何かを食べるということをリハビリしながら自分の心とからだに受け入れていったのかもしれません。

リハビリの最後は歌で締めくくり。
この日の選曲は、♪彩り/ King & Prince

YouTubeの動画を観ながら歌うのですが、MVに見入ってほんとに歌っているのか。言語聴覚士さんからも「歌ってねー」と声をかけられる始末に。笑

リハビリから帰ってくると、処置室へ呼ばれます。
この日も特に何もなく、舌を含めたお口の中のチェック、気管のテープ貼り替えぐらい?唾液を自分で飲み込めるようになってきたので、処置をする先生の手袋に迷惑かけなくなりました。(唾液の量が多いころはバキュームで吸いながら処置しました。もう歯医者ですね、この状況。苦笑)

お昼の栄養剤も終わり、母と父が面会に来ました。(なに話したのだろうか?東京スカイツリーが部屋からきれい見られること。あと溜まっている郵便を大事なものかどうか選別したり…あまり覚えていません。)

面会時間が終わるころ、部屋が個室から大部屋に変わることに!
キャビネット(テレビや冷蔵庫の棚)にすべての荷物を乗せて移動しました。看護師さんがその荷物を運んでくれたので、私と母父はそのあとを追うだけ。
はやっーーー!
優雅な個室生活もこれでおしまい。9日間、あっという間でした。

15:00 飲み込みの検査(正式名称:嚥下造影検査)

特別な検査室みたいなところに行くのかと思いきや、ふつうのレントゲン室でした。

(身長が低いため)機械の上に踏み台を置いて、その上に被験者である私が座りました。

ドロドロ状態からサラサラ状態まで、異なる状態のバリウムを混ぜた白いものが入った紙コップを渡されました。(*1 参考写真)
私の場合、サラサラからドロっとした状態まで3段階に分かれていました。

(*1)「VF(嚥下造影検査)とは?」/岩手医科大学附属歯科医療センター口腔リハビリ外来より引用

プラスチック製のデザートスプーンにのせて口に入れます。
匂いはないけど、ヨーグルトぽいなと思ったら大間違い!
胃カメラやったことないけど、めっちゃバリウム味。
食べるものじゃないです、コレ。

担当医や言語聴覚士さんらはガラス張りの向こうの部屋から見ていて、指示の声はマイクを通して行います。(私というよりPC画面・モニターを見ているのかも。)
遠くからちらっと見た限り、モニター(?)にこのバリウムが私の喉を通る姿が写っていました。ハロウィンのスケルトンみたいな感じ。

なんとか1回目(1つ目の紙コップ)を終えて小休憩。(踏み台の位置や私の体の向きを変えました。)
おいしくないことがわかると2つ目、3つ目がしんどくなる。それでも、1口でもいいからごくんと飲み切る。

2つ目のコップのとき、担当医から「もう一回」と言われ、スプーンを持った手が止まりました。(内心、え!?またやるの?って拒否感ありました。)
スプーンの1/3に白い塊をのせて口の中に放り込みました。辛い。

検査全体は30分ほどで終わりました。
胃のなかにあのバリウムが入っているなんて、胃カメラもやったことないのに信じられない。

検査後は歯科の診察へ。
車椅子で研修医のひとりと「退院したら食べてみたいもの」を話しました。
このとき私は生ドーナツたるものを食べたことないかったので、それを言いました。リハビリの励みにもなりそう!

歯科では食事の開始に伴って、食べカスが残りやすい箇所とその部分の磨き方の指導を受けました。
そうか!食事が始まれば、歯磨きも再開するのか!
歯ブラシと手鏡を持って歯を磨くシュミレーション。上の歯より下の歯の裏側や歯ぐきの周り残りやすいみたい。
あと、おすすめの歯磨き粉の情報も。
「高濃度フッ素配合 1450ppm」が歯や歯ぐきを清潔に保つためにいいようです。
いつもドラックストアの歯磨き粉の陳列棚の前でなに買うか悩んでいたので、いいこと知ってよかった!

★「高濃度フッ素配合」の効果・効能など詳細は下記ウェブサイトをご覧ください

…と盛りたくさんの1日でした。
母と父が帰ってから尿もれパットを持って帰ってもらえばよかったと気づきました。いろいろあると忘れちゃうんだな〜。

★一般的な検査内容は下記ウェブサイトをご覧ください。

3月6日(水)

術後からちょうど2週間。ごはんが始まる(かもしれない笑)日

大部屋に移動して最初の朝を迎えました。昨日と変わりなく、血圧と体温を測り、栄養剤を入れる準備へ。
今日で最後の栄養剤と思うとなんかしみじみしてきました。1パック400kcalもあるミルク味が朝、昼、晩と術後から私の体を支えてくれていたのです。
たしかに、固定物を体の中に取り入れていないので食事の時間になるとお腹は空くんですが、点滴の管から鼻を通して胃に直接入れるから満足感がありました。
って、朝食のいい匂いが漂いながらこんな想いにふけっていました。

今日は8時からの回診のあと、形成外科の先生たちの回診も。
舌の縫った部分を見せて、終わり。

10時過ぎに処置室に呼ばれて診察へ。
「気管が閉じてきている」とのことだけど、シャワーを浴びるのに防水用に張り替えず。

11:00 リハビリ
この日は20分で終了。早い。これで回復するの?って感じ。
これまでリハビリで使っていたコップやスプーン(病院で借りました)は不要になりました。食事に移行したからかな?

発音・発声は「す」の練習と「さ行」を重点的にしました。
練習していると口の中が乾くのか、飲み物が欲しくなりました。(術後あんなに唾液が垂れていたのがウソのよう。)

12:00〜 シャワータイム
昼食前ですが、枠が空いているのでリストに名前を書きました。ごはん前にさっぱり!

12:25ごろ〜 昼食
待ちに待ったごはん!やっーと白米が食べられる!と楽しみにしていたのですが、出てきたのがこんな状態でした。

どーーーーーーーーーーーーーーーーん!(効果音)

食事開始1日目の昼食(写真の一部を加工しています)

えっ!?キャベツはどこ?茹で大根サラダは?

頭の中はプチパニックでした。
なぜって、キャベツの黄緑色も、大根の白さもお皿の上にないんですから!

食べている途中、言語聴覚士さんがやってきました。

「さっそく食べてるね」

口をもぐもぐしながらうん、とうなずく私。
そして、ペンライトを使って、口を開けて口の中の食べ物をみました。
食べ物がぐちゃぐちゃの状態を人に見せるなんてー!なんかショック。

リハビリのゼリーを食べる練習のときと同じように、白米の入れ方や口の中の位置をアドバイスいただきました。やってみると楽に飲み込めました。

食事の観察・指導がひと通り終わると、言語聴覚士さんは次の患者さんのところに行きました。ものの5〜10分でした。

食べ物の形はなくても、久しぶりだったので完食しました。
その日の夜に看護師さんから(完食したことを)主治医が喜んでいたと聞きました。(どうリアクションしたらいいか分からない。)

午後は、心理士さんが久しぶりに登場。
大部屋のため同フロアの別室に移動。仕事の復帰について不安なことを話しました。筆談になるかな?と想定していたのですが、いち単語をゆっくり言うと伝わりました。(それでもうまく言えない場合は書きました。)

夕方、歯磨きが再開するためスポンジブラシ(S)と鏡を病院の売店で購入。鏡は食べ物がどこに入ったかみるためです。

18:30〜ごろ 夕食
この日2度目の食事。楽しみなような、憂鬱なような時間。

食事開始1日目の夕食(写真の一部を加工しています)

夕食でいちばん驚いたことは、すまし汁がゼリーになっていること!
汁は飲めると思ったら、透明な汁がぶるんぶるんに揺れるんです。(泣)仕方なく、スプーンを使って「食べる」ことにしました。リハビリで練習したゼリーと同じ。だけど少ししょっぱい。

白米のとろみが強すぎてお餅みたいにすっごくもちもちしていました。もちもちしすぎて、舌と歯が合わずお米の塊が噛み砕けない。結局、飲み込むこともできず残してしまいました。

看護師さんから
「ごはんを8割以上食べないと、栄養剤入れなきゃいけないよ」
と言われてしまいました。
追加なんて、出戻りかよ。
経鼻チューブは口から薬が飲めるようになったら外す予定。

寝る前に下剤を(経鼻チューブから)投与をしてもらいました。
食事が開始されたのでお通じも気にしないといけないみたいで、初めは断ったのですが、今日出されたドロドロごはんでは出るものも出なさそうなので念の為。
排便できますように!

つづく