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肉厚なバリュープロポジションキャンバスを書くには - ニーズに合った価値を提案する

フレームワークの説明記事は多くあるのに、それを使ってどう思考しているのかを語る記事が少ないと思い、前回リーンキャンバスの記事を書いたところたくさんスキを頂いたので、調子に乗って続編を書きます。

今日は私が好きなバリュープロポジションキャンバス編です。以下、バリュープロポジションキャンバスをVPCと略します。

30秒で分かるVPC(VPCを知ってる人はスキップ👇)

私はVPCはプロダクト開発の三種の神器だと思っているのですが、知名度が少し低めでもあるので、そもそもVPCとは?について解説します。VPCはその名前の通り、価値(バリュー)を提案(プロポジション)するキャンバスです。

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上図がバリュープロポジションキャンバス(VPC)です。図にあるように向かって右側と左側に分かれていて、右側の丸はユーザーについて書く箱であり、「顧客の仕事」「ゲイン」「ペイン」に分かれています。

右側: カスタマープロファイル
顧客の仕事: ユーザーが達成したいタスク
ゲイン: 顧客の仕事に関連してユーザーが望み、期待する結果
ペイン: 顧客の仕事を達成するための障害になるもの

図の左側の四角はプロダクトについて書く箱で、「プロダクトとサービス」、「ゲインクリエイター」、「ペインリリーバー」の3つから構成されます。

左側: バリューマップ
プロダクトとサービス: カスタマープロファイルに対応して提供する機能
ゲインクリエイター: ゲインを作り出すことができるプロダクトの価値
ペインリリーバー: ペインを取り除くことができるプロダクトの価値

そして、この右に書いたユーザーのニーズと左の提案する価値が整合しているかを確認することで、ユーザーのニーズを満たすプロダクトになっているかを確認できます。

ペラペラなVPCの例

肉厚なリーンキャンバスを書くには」に続いて、今回も食事の配達をするプロダクトを例に取ってみましょう。下図は、肉厚とは対局にあるペラペラなVPCです。

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たとえば、「金額が高い」という右側のユーザーのペインに対して、「低価格」というペインリリーバー(ペインの解決方法)が書かれているなど、右側にあるペイン・ゲインを単純にひっくり返したものが左側にかかれているところがペラペラであると言えます。

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これのどこをどう改善すれば肉厚になるのか書いていこうと思います。

VPCの右と左にある溝を埋める

一般的にフレームワークとは、埋めるだけで型通りの思考ができる枠組みであることが多いです。しかし、VPCはシンプルで汎用性が高いが故に「ユーザーのニーズを元にどんな価値を提案するか」を考える用途においては、枠組みが用意されていないところまで考えなければいけません。

それは、「なぜそのニーズを元に、その価値を選択するのか」というロジックです。例えば、「金額が高い」というユーザーのペインを解決する手段は単純に考えると「低価格」ですが、もっと深く考えると金額以上の付加価値を提案することも解決策になるはずです。つまり、1つのユーザーの課題に対して、それを解決するための方法は何十個もあるはずです。そして、どうしてその1つを選択するのかを慎重に見極めることが重要になり、VPCの外でその検討が必要になります。

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事実→分析→戦略→提案

左右の溝を埋めるためには、下図のように事実→分析→戦略→提案の4つの段階を踏んでユーザーのニーズを分析することで肉厚VPCになります。

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たとえば、先程の食事の配達アプリの事実から提案までの4ステップを書いてみると下図のようになります。

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VPCの右側にあったユーザーのペイン・ゲインを深く観察して、左側の価値を提案するときの戦略として「ユーザーの好みに合わせて食事を考える手間を軽減する」というものを思いつきました。その結果、提案できる価値としては「これまでの注文履歴や食事傾向を元にして、好みや栄養、予算を元に最適な献立を教えてくれる」という価値提案を考えることができます。

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これを、バリュープロポジションキャンバスのフォーマットで書くと、上図のようになります。ペラペラだったVPCの左側に比べて付箋の数は少ないですが、端的に提案する価値が分かり肉厚です。

戦略、提案はたくさん発想し、最適なものを選ぶ

また、先述の通り、1つのペインを解決するための解決策は1つではなく、たくさんある解決策の中から最適なものを選ぶことが重要です。そのため、実際には1つのVPCの右側を元に複数の戦略と提案を思いつくことになります。

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たとえば、配達アプリであれば、先程の戦略以外にも10人前の食事を1つのレストランで用意してもらって10人違う人に配達することでレストランに割り引いてもらうという別の戦略で「低価格」を狙うこともできそうです💪

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こちらの戦略を採用したときのVPCは以下のようになり、肉厚なVPCをもう一つ書くことができました🎉

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この調子で各ペイン・ゲインに焦点をあてて、別の戦略を持った肉厚なVPCを複数作り、それらをSCAMPERの考え方でブラッシュアップしたり、複数のVPCをかけ合わせたりして、プロダクトの提案する価値を考えていくことで、より肉厚なVPCになっていくはずです!

SCAMPERとは、以下7つの頭文字をとったアイデア出しのフレームワーク
S
ubstitute: 代用、Combine: 結合、Adapt: 応用、Magnify, Minimize, Modify: 拡大・縮小・変更、Put To Other Uses: 転用、Eliminate: 除去、Reverse, Rearrange: 逆転・並べ替え

まとめ

ただペインを裏返しただけのペラペラVPCを肉厚VPCにするための考え方について紹介をしました。VPCは綺麗に書いてチームに共有する使い方もあれば、自分の頭の中を書き出して整理をするための使い方もあると思います。ドキュメントとしてチームに共有するときは、ぜひVPCには書かれていない「どうしてその価値を選んだのか」についても合わせて伝わると議論がスムーズになる、というのが私の持論です💪

VPCはとても軽量で利用範囲の広いフレームワークですので、この考え方以外にも活用方法がいくつもあるかと思います。ぜひみなさんのVPCのオススメな使い方についても教えて下さい!

次回以降

今回はVPCの左側を中心にお話しました。次回はVPCの右側のペインとゲインを集めるためのフレームワークについてお話しようと思います。モチベーションが続けば、今後以下の肉厚シリーズも計画中です。

・肉厚なカスタマージャーニーマップを書くには
・肉厚なドキュメント(PRD)を書くには
・肉厚なKPIツリーをつくるには
・肉厚なプロダクトピッチをつくるには

他に、こんなのを読みたい!みたいなのも頂けたらうれしいです。最後まで読んでくださってありがとうございました!

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