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Photo by
kentauroshappy
小さなチームの大きなキャプテン
それは ほんの少しだけ昔の話
ここより50キロほど西にある
小さな町の小さなチームの
大きな大きなキャプテンのお話です
小さな選手のいる中に
大きな選手がたった一人
はじめは そう
まだ若いコーチに見えました
彼はだって
お世話を焼いていたのですから
胸よりももっと背の低い
その小さな子ども達の
まっすぐに並ぶんだよ
行進が始まるからね
大丈夫だよ 僕の背中を見ていれば
開会式に向かう小さな列は
親鳥に導かれる雛の行列のようでした
安心と誇りに輝く瞳は
大きな背中を真直ぐ見つめておりました
マウンドから投げる彼の球は
とても強く大変速く
ダイヤモンドを
打球が越えることはありませんでした
彼は投げて守って アウトをとりました
小さな子達は
塁上にいるのが精いっぱいでした
大きな彼は
ダイヤモンドの全てを守ります
塁上で待っている幼子にむかい
優しく緩やかなボールを放ります
よくとれたね 上手だよ
ほら あとアウトふたつだよ
できるよ大丈夫 ちゃんとできる
走り回り 褒め続け
小さな子達に
彼は勇気を与えるのです
彼の打球は 遥か彼方へ飛びました
ストライドを大きく伸ばし
あっという間にホームへ戻った彼はまた
投げて 守って アウトをとります
チームの勝利のために
チームのみんなで喜ぶために
彼の背中をじっと見つめて
彼のその大きな存在を
心から信じて守る
小さな子ども達とともに
そのひとつの勝利を 喜びあうために
それはほんの少しだけ昔の話
小さな町の小さなチームの
大きな大きな
ほんとうに大きなキャプテンでした
偶然の出会いが高校野球に繋がり、応援しているアイスホッケーチーム、クレインズにも繋がっているのは、ご縁としか言いようがないのです。彼も、心に残る選手の1人。1992世代の選手です。