ノンデジ旅 〜旅の目的地〜 #2
序章
ここ二年ほどは好きなように旅行できない日々が続いた。家を離れることがなく、地蔵のようにただ一つの場所に居座り続けた。退屈な日々だった。自分の中で、何か狭まってきているような感覚だった。
コロナ禍の中で私は高校へ進学することになった。受験前に高校へ思い描いていた夢と希望は水の泡のように消えてしまった。行事や修学旅行がなくなってしまった。ある一種の大きな魅力が生徒から奪われたのである。
狭くなった何かを取り返しに行こう。旅をすることに決めた。
旅の目的地
さてどこに旅をしようか。旅の目的地を決める行動は楽しい。しかしなら、旅をすることの方が楽しいので、早く決めたい。旅行の日程は決まっていた。在校生の特権。その名も受験日に旅行をするのだ。普通、受験日は平日に設定されていることが多い。そのため航空券も安く取ることができるし、とても空いている。より快適に旅をすることができるのだ。
旅の目的地は熊本に決定した。以前10年ほど前に熊本に2〜3週間滞在したことがあった。しかし、私の記憶は怪しくあまり良く覚えていない。今回は、自分の記憶を拾い集めに行く旅である。
旅の手段は飛行機にすることにした。理由は簡単。一番安く、遠くへ旅行できるのである。閑散期では、ANAやJALでも6000〜7000円ほど払えば、全国どこへでもいくことができる。素晴らしい時代である。
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