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熟達を楽しむ:燃え尽きない生き方を探す
息子の習い事をきっかけに始めた三味線。これまでとは異なる価値観を学んでいます。
息子が参加するこども歌舞伎では、保護者もお囃子や長唄で参加します。そのご縁で、長唄三味線を始めました。それまでは競技スポーツ、仕事では研究に専念する生活。楽器の経験はゼロ。だからこそ楽器を自在に操る人々への憧れから、挑戦を決めました。
毎週通うお稽古は、近所の旅館の一室で行われます。譜面の読み方も調弦もわからない状態でスタートし、「さくらさくら」や「ひとつとや」を少しずつ練習し、最近は「金比羅船々」に挑戦中です。指の動きが少しずつ音色に変わるプロセスに大きな喜びを感じています。
競技スポーツや研究で成果を重視してきた感覚とは異なり、伝統芸能では熟達を大切にします。この価値観の違いが新鮮で心地よい。特に、熟達を重視する環境は、成果を追い求める日々から離れ、自分自身を整える時間を持てることが魅力です。成果主義と関連するバーンアウト(燃え尽き)から解放される機会、燃え尽きを予防する機会ともいえます。長唄三味線との出会いは、私にとって単なる趣味を超え、精神を整える大切な時間となりました。
音色に耳を傾ける旅館でのひとときは、異空間に身を置くような感覚を生み、時には新たなアイデアを生む瞬間でもある。成果だけでなく過程や熟達そのものを楽しむ価値。熟達を楽しむという視点を共有しつつ、「アスリート×伝統芸能」という異分野をつなぐプロジェクトをやってみるのも面白いかもしれない。