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研究と社会をつなぐこと。一年を振り返って
2024年も終わりが近づいてきました。今年は本を出版する機会に恵まれたほか、年末にはラグビー選手会の皆さんとの「よわいはつよいプロジェクト」が「日本財団HEROs AWARD 2024」を受賞するという名誉あるイベントがありました。本の出版やAWARD の受賞は、研究を通じて得られた知見を社会へ還元するための大きな励みとなりました。直近ではアカデミックポストの異動先探しに苦戦していますが、仲間や周囲の支えを感じ、良い方向に向かう転機を得られた一年だったと思います。いつもそばで支えてくださる皆さま、本当にありがとうございます。
私の研究テーマは、思春期の若者やアスリートを中心に人々のメンタルヘルスケア行動を促すことです。この分野は、現代社会のニーズにマッチしていて、比較的身近で理解しやすいテーマなので、実践的な還元がしやすいと言えます。一方で、現代社会では課題やニーズが次々と変化するため、研究成果が商業的に短期間で消費されてしまう可能性も否めません。
元々の臨床経験で感じた課題に対応するために研究を始めたこともあり、「その時代に必要とされる研究をすることには意味がある」と思う一方で、効率を過剰に求める社会を助長しているのではないかという葛藤を抱くこともあります。もちろん、自分の研究や実践がそこまで大きなインパクトを与えるわけではないかもしれませんが、同様の役割として社会の一部で機能しているかもしれないという思いがあります。
こうした葛藤を抱えつつも、時代の要請に応える応用研究だけでなく、人類に普遍的な知見を未来に向けて残す基礎研究の重要性を改めて感じています。歴史を振り返れば、多くの重要な発見は基礎研究から生まれています。この分野を深めることで、次世代や後世に価値ある成果を残せると信じています。来年は、こうした基礎研究にも力を入れつつ、より広い視野で新たな挑戦を進めていきたいと考えています。
また、今年は地元の岐阜新聞で連載をもたせていただく機会にも恵まれました。毎週のコラム執筆は、日々の活動や研究の意義を改めて見つめ直す機会を与えてくれました。研究者として専門的な論文を書くことも重要ですが、一人の人間として日常の視点や自分自身の思いを表現する機会を得られたことは、非常に貴重な経験でした。文章を書くこと、心の様子を言葉にすることは、私にとって非常に心地良い習慣となりつつあります。
今年も支えていただいた皆さまに心より感謝しつつ、来年も新たな挑戦を続けてまいります。どうぞ良いお年をお迎えください!今年も一年間ありがとうございました。
『10代を支えるスポーツメンタルケアのはじめ方(大和書房)』
重版決定しました。
『よわいはつよいプロジェクト』