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2023年尾瀬小屋夕食メニュー

私達、尾瀬小屋はとにかく美味しい食事にこだわり、
『山小屋グルメ』なる挑戦を続け3年目になる。

一般的な山小屋は宿泊者のチェックアウト後から、チェックインまでの隙間時間にランチ営業や売店食事を展開するが、私達は7時から19時まで全てのメニューを提供し続ける挑戦も兼ねている。

山小屋と言えば、厳しい環境下に位置し、物輸手段や人手、設備環境も限られる事から『食べられるだけ有難い』と考える人が多く、私自身、そう考えていた時期もあった。

反面、全国津々浦々の山を登るようになり、登った時に絶景を目の前に食べる食事の感動を覚え、山登りと食事の充実というのは切っても切れない関係にあるのではと考え、いつか山で美味しい食事が食べられるようになったら嬉しいなと漠然と考えていた。

山行の度に作り続けた『山飯』

そんな時に山小屋へのチャレンジのお話を頂き、
山小屋でも都会並み、いやそれ以上の食事の実現が出来ないかと、本気で考え挑戦を始めたのが2020年の時だった。

山小屋グルメへの挑戦

チャレンジを決意するも、果たして山小屋にそのような事が求められているのか?古き良き山小屋のイメージを損なわないかなどの葛藤はあった。
尾瀬というブランドを傷つけることにならないかとさえ考え躊躇した時もあったが、先代が『自分のやり方でやってみなさい。一番の味方でいるから。』その言葉が私の挑戦を大きく後押ししたのは間違いない。

2022年誕生した鹿肉ボロネーゼ

信念を曲げずにチャレンジを続けたスタッフや周囲の支えもあり、この2年間で山小屋グルメというワードが親しまれ、美味しい山小屋という意味では少しずつ評価を頂戴して来た気がします。

一方で、我々の悩みでもあった宿泊者向けの夕食のブラッシュアップが出来ず、頭を悩ませた2年間だった。
その理由はやはり、宿泊者100人を越える夕食を同時に美味しい状態で提供するほどの、電気、ガス、厨房設備がないからだ。これは本当に頭を抱えた。

それでも、カフェレストランメニューに負けない夕食を提供したいという想いでようやく2023年に尾瀬小屋ディナーが完成したのだ。

立ち止まっては考え続けた日々

ここがゴールではないけれど、新たな挑戦の入口に立った気はしている。単に贅沢にする事が目的ではなく、この様な限られた環境下で何が出来るか、どうしたら出来るかという自分自身への挑戦の意味もある。
だから、立ち止まっては進むしかないのだ。

良くも悪くも評価に耳を傾けながら、
これからも山小屋グルメを追及していこうと決心した2023年の幕開けであった。

尾瀬小屋
工藤友弘

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