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尾瀬のミニ観察~第25回~

前回は、「ルイヨウボタン」を紹介しましたが、今回は「ミズバショウ:雪に守られて」についてご紹介します。

(25)「ミズバショウ:雪に守られて」

 ミズバショウを含めサトイモ科の植物は熱帯を起原としている。同じ科のサトイモやコンニャクの種芋は、秋に畑から掘り出され、納屋でワラなどをかけられて、寒さに害されないよう守られている。
 ミズバショウも同様に、雪という布団をかぶって冬を過ごす。雪の上は零下二桁の寒さでも、雪の下は地熱に暖められ0度よりは下がらず、ぬくぬくと春を待っている。だが雪のない太平洋側には、分布しない。芽が寒中の気温にさらされて枯れ、子孫が残せないからだ。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2016年3月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ヒツジグサ:性転換する花」についてご紹介します!