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尾瀬のミニ観察~第28回~

前回は、「ミズバショウと熊」を紹介しましたが、今回は「ミツバチを増やすな」についてご紹介します。

(28)「ミツバチを増やすな」

 サワギキョウの花はマルハナバチ媒花だが、セイヨウミツバチも訪れる。だがミツバチは雄しべ雌しべ(矢印)に触れずに吸蜜し、この花には迷惑な昆虫である。
 第2次尾瀬総合学術調査ではサワギキョウの花で、300分間に100匹以上のミツバチが記録された。湿原近くまでミツバチが持ち込まれていたのだろう。1994年からの第3次調査では250分以上観察したがミツバチは来なかった。マルハナバチ媒花の多い尾瀬では花々に悪影響のあるミツバチを侵入させない施策が必要だ。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2016年12月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ズミ(別名 コリンゴ)」についてご紹介します!