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大根──初冬の恵み

 晩秋から初冬にかけては、白菜やカブ、ダイコンなど、アブラナ科の野菜が出回る時期。スーパーで売られるダイコンは葉を落としてあることが多いが、実は葉のほうがダイコン本体(以下・根)よりも栄養価が高い。ビタミンCやミネラルは根より葉のほうがずっと多いし、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンやビタミンKは、葉にしか含まれていない。

 市内にある農協の直売所では、この時期青々とした大きな葉のついたダイコンが並ぶ。それを買ってきて切り落とした葉を使う。近所の畑からおろ抜き(間引き)ダイコンをいただくこともある。根は小さいが葉は立派で、大根菜とでも呼ぶべきか。

 まずは、大根葉のふりかけ。洗った大根葉を5~10mm程度にざく切りし、よく水を切ってからごま油で炒める。合わせるのはちりめんじゃこ(釜揚げより干したものがよい)やカツオ節、干しエビ、細かく切った油揚、鶏や豚のひき肉など。それに輪切り唐辛子とゴマ。ヒジキやワカメを加えればより栄養価が高くなる。味付けは塩に少々のしょうゆが定番だが、ひき肉のときは砂糖としょうゆで甘辛くする。フライパンいっぱいの大根葉がしんなりしてかさが減ってきたら具と調味料を加えて弱火でさらに炒め、水気を飛ばす。全体が少し茶色っぽくなったら完成。ご飯のお供にも日本酒のアテにも。


立派な大根葉


5〜10mmに刻む
具材と調味料を加える
さらに水気を飛ばして完成

 たくさんあって使い切れないときは干葉(ひば)にする。切り口を上にして、4~5日直射日光と雨に当たらない場所に干す。ドライフラワーのようにカサカサになれば出来上がり。水で戻して炒め物や煮物に重宝する。昔は葉物野菜がとれない真冬に欠かせない保存食だった(畑の大根葉も霜にあたると枯れてしまう)。冷蔵庫のある現代なら、干さずともゆでて刻んで冷凍しておけば汁物の実にひと月は使える。

 

大根の干葉(ひば)

 干葉は入浴剤にもなる。干葉を鍋で煮出した汁をお風呂の湯に加えると、血行がよくなり湯冷めしないという。

 もうひとつ、ダイコンが安いときに買って切り干しをつくっておくと重宝する。5mm角の細切りにしてざるに広げ、天気の良い日に数日干す(夜は取り込んでください)。ジップロックに乾燥剤とともに保存すれば、半年はもつ。この時期安いニンジンやゴボウも同様に干して保存しておくと、一緒に水で戻して煮物に使える。切り干し大根を、しょうゆ・砂糖・酢・みりんを等量に合わせ、少々の輪切り唐辛子とともにひと煮立ちさせた漬け汁に漬ければ、即席のハリハリ漬けになる。半日ほどおけば食べられる。


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