ギター/ベース初心者に知ってほしい「見た目で選べ」のハナシ

こんにちは、お座敷ギタリストのパーシーです。

今回は「ギター/ベースを買う時は見た目で選べ」というアドバイスに関するお話です。

「見た目で選べ」は無責任

ギター選びをする際のアドバイスとして多いのが「見た目が気に入ったモデルを選ぶのが一番」というもの。

なぜなら

・見た目が好きなギターを持つとやる気が出る、モチベーションが上がる。
・見た目が好きじゃないギターはその逆。いずれ触らなくなる。

という理由があるから。僕も同感です。

同感ですが、全面的に肯定することはできません。

見た目で選べば絶対に後悔しないというわけではありませんし、ギターそのものにモチベーションを下げたり練習を滞らせる原因があっても自分の熱が冷めただけだと誤解しかねないからです。

にもかかわらずそれだけ言って「あとは自分で選びなさい」というのは無責任すぎると思うんです。


「見た目で選べ」に潜むワナ

ギターを続けていくための原動力は「憧れ」です。

あのバンドのあの曲が弾けるようになりたい。

あのギタリストみたいなフレーズが弾けるようになりたい。

あの人みたいな音を出してみたい。

あの人みたいになりたい。

逆に言うと、初めからそういった憧れがない場合は高確率でギターを辞めてしまいます。知人友人の範囲だけで言えば9割超え。

弾きたい曲も好きなバンドもなく、教本の練習フレーズばかり弾いているのでは続けられない方が自然だと思います。

そういう意味では憧れへの熱意を維持するために好きな見た目のギターや好きな人とお揃いのギターを持つことは有効であると言えます。

ところがギターによってはこの「憧れ」へ近づく道程を邪魔をしてしまうことがあるんです。

例えばこんなギター。

右から2番目のギターです。ギブソンのフライングVという人気のあるモデルですね。コピーモデルもたくさん出ています。

これのなにがいけないかと言うと単純に弾きにくいんです。丁寧な言い方をすると自在に演奏できるようになるには労力を要するギターなんです。

単にフライングVを悪く言っているわけじゃありませんよ。フライングVが持つ特徴が初心者にとっては不利に働いてしまうというお話です。

さてフライングVのどんなところが不利に働くかというと、

・ヘッド側(弦を押さえる方)が下へ傾きやすく、演奏しやすい構えを維持しにくい。

・日本人の体型に対してボディが大きい。

・ストラップピン(肩紐を掛けるピン)の位置によってはハイポジション(高い音が出る位置)が押さえにくい。

・座って演奏する際はV字の股に足を入れる必要があり、一般的な膝上にボディを置く構え方ができない。

こんな感じ。

基礎のキも覚えていない時点で弾きにくい要素のあるギターを使っていると練習のハードル自体が上がってしまうんです。目標の実現、憧れへの道程が遠ざかる。最悪の場合は歩みを止めることになる。これは無視できない問題です。

「練習しても全然上手くならないや。ギター向いてないのかな…」

とんでもない!上手く行かないのはあなたではなくギターが原因ということもあるんです。

極端な例ですが、これが「見た目で選べ」に潜むワナです。へ~!と思ってくれた人もいるのではないでしょうか。

ここまで説明した上で選択肢を与えるならまだしも、単に「見た目で選べ」とだけ言って放ったらかしなのは、ぼくとしては無責任すぎると思うわけです。


楽器屋さんに行こう

最終的に見た目で選ぶことになったとしても、その前段階でギターごとの特徴を知っておいて損はありません。

特徴を知りたいのであれば実物を持って肌で感じるのが一番。

ということで、ギターを買う前には必ず楽器屋さんに行きましょう。最近は大型ショッピングモールや駅ビルにも楽器屋さんが入っているので自分が行ける範囲に楽器屋さんがひとつもないということは少ないと思います。

ネットである程度目星をつけておいて、それと同じギターか近い仕様のギターを探しましょう。店員さんに触らせてほしい旨お願いするとセッティングしてくれます。

その際、ギターを全く弾いたことがないことを正直に伝えましょう。親切な店員さんならどんな音が出るか弾いて見せてくれます。

自分で弾かないのに触る意味はあるのか?

もちろんあります。

膝上に乗せたり肩から下げたときの重量感。ギターのボディと自分のお腹の密着感。ネックを握ったときの太さの感覚。これらの違いは未経験者でも感じ取ることが出来ます。ネットの画像やレビューを見ているだけでは分からないナマの体験です。

このとき自分が欲しいモデルの他、少なくとも「ストラトキャスター」と「レスポール」も触らせてもらいましょう。これらはエレキギターを代表する2大モデルのため比較の際の指標になります。

あなたが欲しいギターが変わり種だった場合、ベーシックなモデルと比較すると色々な違いが見えてくるはずです。その違いを感じた上で、見た目で選ぶべきか、それとも使いやすそうな別のギターを選ぶべきか決めることをおすすめします。

お試しが終わったら店員さんによくお礼を言いましょう。試奏用として用意してあるものを除き、店頭にあるギターはすべて商品です。デリケートな扱いが要される売り物を触らせてもらっているわけですから、礼節と感謝を忘れずに。


優先事項を明確にする

「見た目で選べ」が必ずしも最良の判断ではないこと、実物を触ることの重要性、わかってもらえたでしょうか?

大切なのは優先事項を明確にすることです。

好きな見た目のギターを持つことが大事なのか。

快適に練習することが大事なのか。

優先事項をきっぱりと決めることができれば、変に後悔することもないでしょう。

実際にギターに触れた上でよく考えて最初の相棒を選んでみてください。



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