土下座なんかすんな絶対
カイジとか半沢直樹でしか見たことない土下座をこの目で見た。
別の部署の二言くらいしか喋ったことのない先輩。
誰が掃除してるか分からないねずみ色の床に手のひらと額を付けて土下座していた。
隣にいた上司はそんなことはやめなさいと慌てて止めた。
土下座された客は満足するわけでも困惑するわけでもなくしらーっとした顔で立っていた。
ただ通りすがった事情も分からない私の体には怒りだけが血液とともに循環した。
なんで土下座した!なんで土下座させた!なにが土下座させた!
土下座させるほど許せない事は、土下座しても許されない。
ごめんで済むなら警察はいらんのだ。ごめんで済まない事は警察に判断を任せればよくて、ごめんで済むなら土下座は絶対に必要ない。
その数秒の姿勢に至るまで、どれだけ心がすり減ったのか、これからその行為を振り返ってどれだけ心がすり減るか。
土下座なんかで満たされるものは何も無く、自分の尊厳だけが失われていく。
Eカードに負けて、銀行ででっかい汚職を働いて、初めて2次元の偶像は土下座した。
土下座なんかすんな、絶対に。
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