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[エンジニアを知れば、採用が変わる]-エンジニア採用・育成に14年間携わって思うこと。

-エンジニアを知れば、採用が変わる。
TechTrain代表の小澤(おざまさ)です。サイバーエージェントで採用育成を8年間、その後TechBowlという会社を創り、採用育成支援を6年間、合計14年間エンジニア×採用育成に携わる中で見えてきたことをまとめてみました。このnoteは、主にエンジニア採用や育成に関わる経営層・人事の方に読んでいただけると嬉しいです。

1.自己紹介

2010年にサイバーエージェントに入社し、エンジニア採用・育成の担当を約8年間経験しました。最後の2年新卒採用責任者として多くのチャレンジをさせていただきました。その後、2018年に株式会社TechBowlを創業しました。「エンジニアになりたい人は増えているが、企業が求めるエンジニアが増えていない」という問題を解決するために、TechTrainというサービスを展開しています。「エンジニア採用を知れば採用が変わる」と言い続けている「おざまさ」というヤツ、と覚えていただけると嬉しいです。ハムの人ならぬ、エンジニア採用の人、です。

2.エンジニア採用市場について

エンジニアといっても幅広いので、ここでは「IT(ソフトウェア)エンジニア」に限った話をします。(以下ITエンジニアとします。)
下記の図はよく見るものですが、改めて書くと、ITエンジニアは2030年に79万人不足するといわれています。(経済産業省調べ)

出典:経済産業省「ITベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業」

また、東京労働局管轄(東京ハローワーク)が公開している「職種別有効求人・求職状況」によると、東京都のIT関連職業の有効求人倍率は2.01倍となっており、そのうちエンジニアを含むIT技術関連職の有効求人倍率は3.17倍です。職種全体平均(1.48倍)に対し、約2.1倍あり、IT人材は従来と変わらず非常に需要が高いことがわかります。

一方、エンジニアを目指す人も増えています。日本におけるITエンジニアの人口は約144万人と言われており、アメリカ、中国、インドに次いで世界で4番目に多い規模です。エンジニア、といってもどこまでを指すのかがやや曖昧なのが日本の特徴ではありますが、数が多いことは確かなようです。新卒についても就活生は毎年約40万人、うち情報系学生が2万人、ITエンジニアとして就職する人は約4-5万人といわれています。この数字はここ10年で2倍になっています。

闇雲にエンジニアが足りていない!と煽るつもりはありませんが、生成AIやノーコードツール等、技術が進化するから、エンジニアなんていらない!といきなりなるかでいうと、決してそんなことはありません。

3.エンジニア採用がうまくいかない理由とは

エンジニア採用・育成担当を経験したことや、数百社の企業のエンジニア採用・育成支援をしてきた中で、「エンジニア採用がうまくいかない理由」がいくつかあると思います。この理由を今回は採用人事視点で書いてみます。
(※ここからはデータというよりは、これまでに話した候補者や人事からの声をもとにあくまで私の所感で記載することにします。)

採用人事視点で、エンジニア採用がうまくいかない理由

大前提としてここで言う「採用人事」はエンジニアではない(またはエンジニア経験がなく、技術がよくわからない)方を指します。エンジニア出身の方が人事をやるのは最強ですが、なかなかそうもいかないと思いますので、今回は非エンジニア(俗に言う採用人事)とします。
採用人事視点から見て、エンジニア採用がうまくいかない理由は下記3点です。

①採用人事は忙しい。

「人事っていつも忙しそうだけど何やってんの?」と思う方も多いと思います。タスクベースで書くとこんな感じかな、と思います。(思いつくがままに書いたのでごく一部です)

・経営陣の採用に対する温度感や方針を確認
・年間採用戦略計画
・採用予算計画
・候補者への連絡
・日程調整
・面接間の面談(選考状況ヒアリング、懸念払拭etc)
・面接
・説明会準備(社内で机や椅子を並べ替えたり、名札を置いたり)
・会社プレゼン
・選考管理システムへの合否付加
・現場社員や役員のアサイン
・配属調整
・研修(内定者研修、入社後オンボーディングetc)
・インターン設計
・内定者アルバイト
・内定者研修
・オファー面談
・PC手配、入社申請
・会社案内、オフィス見学アテンド

湯水の如く仕事が湧き出る採用担当は、物理的に毎日忙殺されています。そして土日もイベント、出張、インターン、会食が続きます。
中途採用担当は平日夜、土日、新卒採用担当は土日がむしろ勝負なケースも多い気がします。私自身も採用担当時代、朝9時から夜6時まで30分×18人と話す日もあり、コーヒーばかり飲んでると胃もたれするので、合間でラッシーとか飲んで、候補者から変な目で見られたこと日が懐かしく感じます(笑)

会社説明をマシンのように作業としてやっているだけでは非効率です。効率化できるところも沢山ありますが、相手(候補者)は「人」なので、慎重に効率化していかないと候補者の気持ちはすぐ離れます。そもそも採用は「無関心な人を振り向かせる仕事」なので、わりと神経を使います。ちょっとした一言で離れてしまったり、SNSにも簡単に書かれる時代なので慎重に進めなくてはいけません。そして絶えず候補者と話し続けているので、季節の変わり目は声枯れします。私の場合は毎年決まって10月になると声が出なくなりました。人酔いして、オフの時は誰も話しかけないでくれ〜と思うこともあります(笑)

少し脱線してしまいましたが、すべての事業の仕入れである採用の仕事は、未来の会社の成長を左右するとても大切で、とても神経がすり減るもので、とても大変な仕事だと思います。エンジニア採用専任の方が少なく、総合職採用を兼務したり、採用+研修を兼務するケースも多いと思います。

総合職採用、技術職採用、研修、配属、いろいろある中で、どうしてもあまり知見がない技術職採用の優先度が心理的に下がってしまう。経営陣からエンジニア採用強化だ!といわれても他に忙殺されたり、技術がよくわからず、結果夏休みの宿題のようになってしまうのだと思います。こういう人事の方は多いのではないでしょうか。採用人事は技術がわからない。これは今も昔も変わらない事実です。そして、これをどうにかする、というのは現実的に難しいと思います。人事がプログラミングを学べばいいのか。スクールに通えばいいのか。それができれば最高ですが、現実問題そこはなかなか難しいと思います。


②(無意識のうちに)総合職と同じようにやってしまう。

採用担当あるあるですが、多くの場合、自分自身が総合職採用で入社しているので、同じ感覚でやってしまいがちです。下記に該当する場合は要注意です。

・総合職と同じ会社説明資料を使い回している。
・技術というよりカルチャーマッチです。地頭を見ています。が口癖。
・自社に対する志望度が高い人(ファン)だけを採用しようとしている。

総合職で通用することが必ずしも技術職で通用するわけではありません。特にスキルが高いエンジニア候補者はミッション、ビジョン、バリューと同じくらい「どういう技術を使って」「何を作っているのか」「希少価値が高い技術分野に対する評価(報酬)はどのくらいか」を見ています。
会社の方針によって、技術力だけで採用するケースもありますが、大半の場合は技術力とマインドの両方を総合的に見て採用します。繰り返しますが、「技術力」と「マインド」の両方をみて採用します。マインドやカルチャーマッチというのは一概に言語化しにくい部分であり、かつ、その会社「らしさ」を表現するものなので、あえて無理に言語化する必要もないものですが、ここと向き合うのは採用人事がやるべき基本所作です。ただ、技術面が全くわからない、知らない状態で、マインドだ!カルチャーマッチだ!と言っている人事からはエンジニア候補者はどんどん離れていきます。

総合職に比べてエンジニアは母数の観点でも多くないので、最初から(自社に)入社したい!と思ってくれるエンジニア候補者なんているわけはない、なんなら知ってもらえてるわけがない、というぐらいの気持ちで始めたほうが良いと思います。エンジニアが自分の会社を全然調べていない!だから質問もあまり出ず、コミュニケーション能力も高くないので見送ります。という話を先日もある人事からいただいたのですが、それは違います。ブーメランなわけで、「あなたはエンジニア候補者がどういう技術で何を作ったのか、そしてその技術が自社でどう活用できるのかを調べましたか?そこが聞ければ、もっと質問が返ってきたかもしれませんね。」と伝えました。

技術職と総合職は全く違います。技術職だから〜、と変に厚遇する必要はありませんが、少なくとも採用する時点では、技術力とマインド、この両方が大切です。技術力についても最低限のことは、人事がもっと勉強して、把握しておくべきです。

では具体的に採用人事が勉強しておくべきことは何か。例えば下記のようなものです。

・自社で最もよく使われている技術は何か。そしてなぜか。
例えばですが、動画等、容量が重いものは処理スピードを早くしたいからGoを使う、スタートアップで少人数で早く作りたいからRails、多くの人員が必要なので、人口が多いPHPを採用する、といった様々な理由があります。
また技術を新しく入れ替える(リプレイス)をするシーンもあります。その時もどういう理由で行なっているのか、概要はざっくりでいいのでエンジニアに聞いておくと、候補者も興味を抱き、2回目、3回目の接点に繋がります

・最近入社した人がどういう経歴の人か。そして決め手は何だったのか。
営業でいうところの「実績」です。入社した人がどんな人で、どういうバックグラウンドで、何がきっかけで入社してくれたのか。他社にはなく自社にあった魅力は何か。を聞いておくと、採用したい人材の期待値調整が自然とできますし、候補者にも事例として伝える武器が増えます。

・最近内定辞退した人がどういう経歴の人か。そしてなぜ辞退したのか。
営業でいうところの「コンペに負けた」という状態です。他社より年収が低かった、事業に対する興味がわかなかった、技術的な側面、働き方など様々な要因が混在しています。ここも「いつかまた弊社にきてください!それまでにもっと会社をよくしたいので、参考までに今回他社様に決められた決め手があればお差し支えない範囲で教えてください」と聞ける関係性を候補者と築けているかが重要です。エンジニアを知れば、採用が変わります。

他にも多数ありますが、この辺りは今後またイベントやセミナーでも発信する場を設けたいと思います。

③社内のエンジニアをよく知らない。

技術力とマインドの両方をみて採用するにも関わらず、採用人事が社内のエンジニアと距離が遠かったり、サービスの説明はできるのに、使っている技術やその背景が全く説明できないケースが結構あります。「エンジニア採用するのになんで知らないの?そこを勉強して、現場の代わりに伝えるのがあなたの仕事でしょ〜!」というのが私の考えです。料理でいうと、「うちはフワッフワのオムライスを作ってる洋食レストランです!」は言えるのですが、どういう調理方法でふわふわにしているのか、他の洋食レストランと何が違うのか(レシピ、作っているシェフの考え方、厨房の様子等)を聞かれると、全く答えれない…そんな感じです。これは申し訳ないですが、採用人事、エンジニアを採用したいんだったら、もっとエンジニアに聞こうぜ!勉強しようぜ!エンジニアを知れば、採用は変わるぜ!と思う部分です。下記に該当する場合は要注意です。

・社内のエンジニアのことを「エンジニアさん」と呼んでいる
・困った時にすぐに相談・質問できるエンジニアが1人もいない
・社内で使っているメインの技術や言語を知らない、読めない、わからない
・社内のサービスで使われている技術の採用理由を知らない
・エンジニアが気になる部分にアンテナを貼っていない。(JavaScriptをJavaと呼んだり、求人票の中で技術用語の大文字小文字、スペースがあっていない)
・エンジニアの採用イベントなのに、人事だけで行ってなんとかしようとしている(エンジニアを誘ってすらいない、という意味です。)
・エンジニアがJava5年以上、と言っているので、5年未満はダメです。と言った返信を機械的にしている。

採用人事が技術がわからない、というのはある程度仕方ないことです。ただ、だからと言って、勉強しなくていいわけではありません。

「自社でJavaを使っているのはなんでなの?」
「React.jsを使っている人じゃないとダメ?スカウトツールで見ると候補者が5人しかいないから、Vue.jsかける候補まで広げてもよい?」
「うちの会社で活躍するエンジニアはどんな人?」
「うちの会社でエンジニアとして働く楽しさはどんなところ?」
「(入社したエンジニアに)入社の決め手になったのはどういうところ?」

上記を少し乱暴かもしれませんが、料理に例えるとこんな感じです。

「うちのオムライスで、卵も野菜も茨城県産を使っているのはなんでなの?
「美味しい味噌汁を作ったことがある人は5人しかいない。美味しい野菜スープを作れる洋食のシェフにも声かけてもいい?」
「うちの■■さん(シェフ)ってどんな人?」
「ほかのレストランにはないうちならではの魅力はなんだろう」
「最近入社した■■さん、他はどんなお店を受けてて、なんでうちに決めたんだろう」

料理人を採用したいなら、料理人に聞きましょう。
同じようにエンジニアの採用はエンジニアに聞きましょう。


4.エンジニアを知れば、採用は変わる。

採用人事はとても大変な仕事です。毎年リセットされる新規開拓営業に近いと思います。周りからは華やかな仕事に見られがちですが、実態は泥臭い裏方の仕事も沢山あると思います。
そして、セミナーや面接など表舞台に立つと、なんとなく強くなった感じになってしまう時もありますし、会社の代表であるべき!と自分で鼓舞したい(しなきゃいけない)時もあります。

気をつけないといけないのは、この意識が候補者に対して、良くも悪くも働く、ということです。

エンジニアを知れば、採用は変わります。

エンジニア採用に限っては、人事が話せる内容を話すのではなく、まずは「聞く」。学生なら研究内容や個人で作ったものを聞く。触れるものがあればその場で触ってみる。得意な技術、フレームワーク、ライブラリ。聞いて、聞いて、社内のエンジニアに伝えて、魅力を引き出す。最初は何を言ってるのかさっぱりわからないと思いますが、言われた言葉をメモして、エンジニアに聞いて、謎解きしてもらう。これを50件くらい繰り返すとなんとなく見え始めます。エンジニア採用は謎解きが好きな人に合いそう。そんな仕事だと思います。

5.エンジニア採用、育成ならTechTrain

TechTrainは開始から5年で約10,000名のエンジニアの方に使っていただくサービスに成長しました。会社としては7期目。このタイミングでロゴを刷新し、サービスもフルリニューアルしました。
本日PRESSリリースも公開しましたので、ぜひ覗いてみてください。

7つのサービスに分け、それぞれを環状線のように紡ぎながら、
エンジニアリングで日本の国力を上げます。

事業法人様には「TechTrain採用支援」「TechTrain企業研修」の2つをご提供しています。

①TechTrain 採用支援

・エンジニアを採用したい。
・エンジニア採用始めるけど何からしていいかわからない。
・コスパのよいエンジニア採用の方法を探している。
・社内にエンジニアがいない中で、人事が技術採用をしないといけない。
・エンジニア採用の市況感が知りたい。

という方は採用支援よりお問い合わせください。

②TechTrain 企業研修

・社内のエンジニアを育成したい。
・非エンジニアのデジタルスキルを向上させたい。
・プログラミングスキルというより、上流から下流までの仕事の流れを把握させたい。
・助成金を活用して、コスパよく社内人材をリスキリングしたい。

という方は企業支援よりお問い合わせください。

参考文献

本記事を記載するにあたり、下記サイトを参考にさせていただきました。
ありがとうございました。

みずほ情報総研_IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果


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