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同窓会があった日から

この日、同級生3人で夜ご飯を食べた。
このあと、スタバに閉店時間までいて、電車で別れる直前までおしゃべりした。
学生みたい。

その話題は、その日の昼間にあった母校の同窓会のこと。6年間過ごした中学高校の校舎で、仲間と先生が集まった。

その日忘れていた記憶が次々と蘇ってくる度に、
頭の中で溺れそうになるほど色んな感情が溢れてきた。

思い出したこと。

校則のことでよく先生に呼び出され、職員室で立たされたこと。
途中でいなくなってしまった友がいたこと。
カトリックの学校だったのに、ミサの時間が苦痛だったこと。
よく保健室に行って天井を見て過ごしたこと。
いつも先生とうまくいかなかったこと。
先生にいつもがっかりしていたこと。

多感な時期だった。

「校則って何のためにあるんだろう」
「私が生まれてきた意味って何だろう」
そんなことを6年間考えて過ごしていたし、
大人をずっと斜めから見ていた。

だからあの当時のことを思い出すと、
くすぶっていた自分にいつも繋がってしまう。

だけど同窓会の日に、
私はすごく嬉しい再会をした。

それは、みんなと校舎を回っていたとき。
長く続く廊下に、
友達と大笑いしてはしゃいでいた〈 私 〉が突然現れた。

小さなくだらないことで、
涙を流して笑っている私。

すごくダサい青いジャージを着ているけど、
眉毛がすごく細いけど、
立ってられないくらい、
お腹を抱えて笑っている。

そうだった、私はいつもこうやって
友達と笑いころげてたっけ。

「ゆうちゃんていつも大笑いしてたよね」
と友達も声をかけてくれて驚いた。
そんな私を、私は全く忘れていたのだから。

あの頃、家では色々なことがあったけど、
誰にも言わなかった。
学校に行くと笑える。
それで全て救われていたのだ。


同窓会の日、みんなの人生がそれぞれ続いていっていて、今こうして集まれることがとても幸せなことに感じた。
だけどそれ以上に私は、あの当時、
大笑いしながら過ごしていた私を取り戻せたことが嬉しかった。

あぁ、今また、みんなとあの校舎で学生時代を過ごしてみたい(笑)ちょっと制服姿は怖いけど。

今私はあの時より、人生を難しく考えていない

今私はあの時より、大人を難しく考えていない。

今私はあの時より、目の前の事を難しく考えていない。


母校は何も変わっていなくて、
あの頃の私も
今の私も
全部ぜんぶ受け止めてくれた。

先生も、保健室も、クリームペンネも、
ダサいジャージも、ミサの時間も、
本当は全部私を守ってくれていたんだ。


なんだか不思議なことに、
あの同窓会の日から、
お腹を抱えてもだえ笑う日が続いている。

おしまい



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