【風紋 37】固めのオムライス
瞬く間に5月の眼差しがはるか後方に遠退き、6月にがっぷりよつ。油断禁物だけど、よそ見はしてたい。「もう今年も半分すぎるじゃん!」的な言説を耳にすると、意識がかっ飛ばして冬を見据えてしまう。これだから梅雨に足元をすくわれる。これから7月末にかけてなかなか大事な予定が詰まっているのだから、納豆とビタミンと日光、あと湯船、アイスを食べて体を冷やすべからず。
でもアイスコーヒーだけは飲んだっていい。体の冷えを心の温もりが僅差でチンする。ほくほくな心を日光で保温すべく、休憩時間に10分程日光浴をした。揺れる緑の間でお客さんがこれでもかという笑顔で、生命力を満タンにしている光景を眺める。この風景を生む仕事ができていることは、本当に誇らしいことだ。深く頷く。LAMPに来て高揚感が抑えられず、にこやかにソワソワしていらっしゃる方に「分かります、分かりますよ〜〜〜!最高!」とハイタッチしたい気持ちを抑えて、ぎりぎりフロントマンとしての体裁を保てる共感の距離感と境界線を調整できるか挑戦している。
とり大根が食べたい!とスーパーに立ち寄って鶏肉を手にした途端、オムライスが脳裏によぎってまんまとバターを買い足す。オムライスはほんとに最高。卵は固ければ固いほどいいし、チキンライスは赤ければ赤いほどいい。大好きがパンパンに詰まってる。オムライスが好きだから鶏肉と卵とご飯が好きなのか、鶏肉と卵とご飯が好きだからオムライスが好きなのか。鶏が先か卵が先か問答のその先。がらくたな問いも切り口一つで間を欠かない。
エッセイを書くならオムライスをテーマに書きたい。
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