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手札

声の良い人は声を
顔の良い人は顔を
スタイルの良い人は自分の体を
歌の上手い人はその歌声を
楽器が出来る人はその旋律を

自分の持てる能力、授かった容姿を存分に披露できる人を私は尊敬している

しかしはじめからそうだった訳ではない

私には何もないから
人の感情を動かす何かを持ち合わせないから
その人達が感じている苦悩なんか考えずに
ただ羨んで、妬んでいた

ナンバーワンじゃなくオンリーワンでいいと言う言葉も、私の胸には響かなかった
だってオンリーですらないのだから、私は量産されたつまらない人間だから
私に渡された手札では、あのキラキラした人たちには到底敵わないことを理解した気になっていた

そうやって自分の置かれた状況や境遇に嘆き、ろくに努力も挑戦もせずに
持たざるものを持っている人間に理由もなく
攻撃的になっていた時期が確かにあった


配信アプリで配信を始めてから、私の声が好きだと言ってくれる人がいた
私の話が面白いと言ってくれる人がいた
私の歌が好きだと言ってくれる人がいた

私はとても単純な人間なので、たとえお世辞だとしても舞い上がってしまって
その言葉達がキラキラと輝いて私の胸に吸い込まれていく事が嬉しくて楽しくて、もっと色んなことを頑張ろうと思えた

もちろん、否定的な言葉もたくさんもらった
その言葉達はとても簡単に私の心を割いていった
自分はやはりこの世には必要ないと思う事もたくさんあった

この世で私は、私が1番好きだけど
それと同じくらい私が1番憎いし嫌いだ

いろんな言葉をかけてもらって、いろんな事を思って悩んだ日々はしんどかったし辛くて、もう全て裏切って、全部真っ白にして居なくなってしまおうと思ったことだって少なくない

その度にいろんな人に支えられて、時には甘やかしてもらって、叱ってもらった
多分私の事を嫌いな人間だって山ほどいるだろう

でもその人達の言葉もまた、今の私を形成している一部なのだ
嫌ってくれて構わない、私に攻撃したいのならそれはそれで構わない
私だって誰かにその矛先を向けてきたのだから
完璧な人間なんて居ないし、私も誰かを傷つけて来たから自分ばかり傷付きたくないというのは都合が良すぎる

ただ、ありがたいことに
私の周りには、私を必要としてくれる人がたくさんいる

その人達の期待に応えたいし、応援してきて良かったと思われたい

自分の承認欲求もあるのかもしれないけど、それだけじゃここまでやってこれなかったと思う
繰り返し同じような事を言ったり書いたりしてるけど、自分自身に言い聞かせてる部分もある

その期待や責任と勝手に感じているものが時折重圧になって潰れそうになるけど
私が自分で選んできた道だし、スタイルは変えたくない
今の私には、みんなからいただいた言葉だったり、自分自身でもぎ取って力にして来た経験なんかが形を成して、十分戦っていけるカードが沢山ある

私は私で良い、誰かと比べて妬むという事はその時点で勝負から降りているんだ
そんなのは勿体ない
そんな後ろ向きな事は手に入れたカードを使い切ってから考えるべきなのだ

初心に戻る意味でもこうやって書かせてもらう
文章が纏まってないのは許してほしい
思いついた事を忘れないうちに書き留めただけだから、もっとカッコよく書き切れたら良かったのだけど

ありがとう
願わくば、これからもよろしく





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