人としての器
ユースケ・サンタマリアさんの話から
現在放映しているNHKの大河ドラマ「光る君へ」で、安倍晴明役をしている、ユースケ・サンタマリアさんがテレビで、印象の残る話をしていました。
ユースケさんは以前、大河ドラマで脚本を書いていた大石静さんから、丁寧なお手紙で出演依頼を受け、恐縮しましたが、スケジュールがあわず、お断りしたそうです。
これで大石さんからのオファーはなくなったと思っていたら、今回、安倍晴明役の出演依頼を受けて大変うれしかったと話していました。
それもあってか、台本にはない表情やセリフなども、積極的に提案しているそうで、大変楽しく、熱心に演技をされている様子が伝わってきました。
この話を聞き、丁寧で、熱心で、好待遇の仕事の依頼を断った場合、次の仕事はないと考えるのが、社会の常識だと改めて思った次第です。
「以前断られたから」という、ささいなこだわりを重要視して、依頼しない人が多いのをユースケさんからの言動から推測できます。
器の大きい大石静さん
大石さんがなぜ断られたユースケさんに再び、出演依頼をしたかは、お話を聞いていませんのでわかりませんが、少なくとも断られたことに執着していないのがわかります。
人を評するのに「器が大きい、小さい」というときがあります。
私は大石さんは仕事の面では器が大きいと思います。
ドラマを作る最大の目的はいいドラマを作ることです。
キャスティングはドラマの成否を左右するのに最も重要な要素の一つです。そこで、脚本家を含めた制作陣のささいな感情を優先するのは、ドラマ制作の禁止事項のはずですが、実際には禁止していない人がいるのをユースケさんが間接的に示唆していました。
先生のセコさにがっかり
私は子供のころや、若いころ、世間で偉いといわれている人や、社会的に地位がある人は器が大きいと思っていました。小さなことにこだわらない、せこいことはしないと信じ込んでいました。
小学生のとき、市電や市バスなどの公共交通機関を利用して行う課外授業がありました。生徒からその交通費を集めていたので、バスか電車で行くものと思っていたら、私のクラス担当の二人の先生が、何台かのタクシーに生徒をすし詰めで分乗させ、目的地まで向かいいました。
その頃は定員以上乗せても、タクシー運転手も咎められなかったのでしょう。課外授業先も近くでしたので、タクシーですし詰めで行く方がバスなどより、安く行けたのでしょう。その差額を先生がポケットに入れていたのです。
今では考えられないことですが、私は子供心にもそんなせこいことを先生がするなんて、信じられませんでした。
それを友だちに話したら、その友だちは「あの先生がそんなことをするのは当たり前だよ。先生、野球部の顧問だろ。お前のところの親戚の床屋に散髪に行っているだろ」「そうか、いつもタダで散髪して、お土産まで持たせていると叔父さん、言っていたよ」
父の弟の叔父が近所で理容店をしており、叔父の子供、いとこが野球部の中心打者だった。伯父もその先生が散髪に来るのを嫌がっている様子がなかったので、子供の判断力では、先生の行為が汚いと思わなかったのでしょう。
先生だから・・・しない、偉い人だから、ケチ臭いことはしないなどと考えるのは、子供にとっては当たり前ですが、一方的にそれを裏切る大人が出現してくるのです。世間的には、偉い、尊敬される地位や職業の方々がいるので、驚きます。
ノブレス・オブリージュを日本にも
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