満たされないことも大事
精神分析家のビオンは「考えることの理論」という論文の中でこのような趣旨のことを述べている。
人間の考える能力は母親(おっぱい)がいないことを赤ちゃんが体験し、
その場にいない母親(おっぱい)について考えることから発達する。
(書籍「エピソードでつかむ児童心理学」より引用)
私達が、考える、想像するといった行いの根源は、母親(おっぱい)がいなくて、欲望を満たすことができない状態を経験することから始まるというのである。
なるほどなと思う。
赤ちゃんは、母親のことを想像し、考え、そして、泣くと言った表現で母親に欲望を叶えてもらおうとする。
母親は赤ちゃんを欲望を満たせるように行動する。
そうして赤ちゃんは欲望・心を満たしていく。
これは大人になっても同じで、
思考の発達とはその繰り返しなのかもしれない。
現代は、物や情報に溢れている。
私たちは常に満たされた状態になっているように錯覚する。
その錯覚が、私達から考えることも、想像することも取り上げてしまっているように思う。
満たされていると錯覚することで、
本当は満たされていない自分(心)が見えなくなっていないだろうか。
ある時、心が満たされない状態を知った時、
考えたり、想像する力もなく、耐えられなくなると、人は鬱や心の病になるのかもしれない。
物や情報ばかりに目を向け、頼る習慣を見直そう。
本当は満たされていないかもしれない自分に目を向けよう。
今、本当に自分は満たされるているのか、子供達を本当の意味で満たしてあげられているだろうか、どうすれば満たせるだろうか…
そうやって考え、想像する習慣を持とうと思う。
いじょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?