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宝物のように思ってた恋を失って思うこと

しばらく何かを書けるような精神状態になく、過去を振り返ることも、今の気持ちを見つめることも、未来を想うことも出来ないでいた。

9月に大切な人と別れた。
その人と恋人でいた期間はたったの一年と少しだったけれど、人としての付き合いはもっとずっと長かった。
これまで出会った誰よりも深くて濃い関係だったように思うし、人としても恋愛対象としても、とても大好きだった。
これからその人をずっと大切にしたかった。

別れた理由についてはこの場で語るつもりはない。
だけど、生きてきてこれほどに心を揺さぶられる出来事もそうそうなかったので、少し気持ちが落ち着いて日常に戻りつつある今の気持ちを記録に残しておこうと思う。
別れた直後の頭をかち割られるような精神的なダメージは薄れたと思うけど、自分の気持ちを素直に言葉にしようとすると、まだ涙が出てくるので、私の心はまだ悲しんでいるんだなぁ、と実感する。
彼にも彼の事情があったろうし、私に改めるべきところもあったのだろうけど、それはそれとして私は深く傷つき、淋しく、悲しい思いをした。
どの瞬間も楽しかった彼との時間や大切な思い出が、今は思い出すとただただ辛いものになってしまったことがさらに私の心を落ち込ませている。
彼がくれた言葉を心から信じることが出来なくなってしまったこと、彼とのことを良い思い出に出来ない自分がとても悲しく、やりきれない。

私は今誰の恋人でもなく、妻でもなく、母でもなく、特別でもないんだなぁ、と思うと、言いしれない孤独感に襲われる。
これまでの私は、誰かの何かであることに縋ることを嫌悪していた。けれど、その反面誰かの特別になることを羨む気持ちもあって、それは私自身が空虚であるからそういうものに憧れてしまっているんだろう、と自己嫌悪を深めていた。
いくら懸命に生きているつもりでも、私は自分の力では何者にもなれていないことが辛かった。
そういう自分の虚しさを埋めたくて、血の繋がりのない他人の誰かと深いところで心を通わせたかった。
彼は私によく似ていて、でも私とは全然違っていて、そんな彼といると、私はぼんやりしていた自分の輪郭を感じることが出来た。
自分でもわからなかった自分の存在を感じて、安心していたんだと思う。

こうして言葉にしてしまうと、とても不純だ。
だけど、言葉で説明するのが難しいくらいに彼は私にとってとても特別で大切な他人だった。
彼がどう感じていたかはわからないけど、彼への気持ちは唯一私が自信を持てる自分の感情だった。
とにかく、何よりも誰よりも大切にしていきたかったし、しあわせになってほしかった人だった。

でも、もう大切に出来ないんだな。
相手が望んでいないのだから。

あまりに大きな気持ちを向けてきたので、とても今は未来のことを考えることができないけど、恋とか愛とか関係なく、心を揺さぶられる経験や、誰かと心を通わせること、友情でも愛情でもいい、異性でも同性でもいいから、何かを大切にしたいなぁ。

私は自分で思っていたより、ずっと淋しかったんだな。
いつかこの気持ちを振り返っても「大丈夫だったよ」って言ってあげられる自分になれますように。


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