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医師 近藤 誠 &岩井克人 信任

昨日、東大阪市立図書館に予約してあったこの本を受領してきて、早速読み始めています。
和田秀樹さんの本を読んで知った情報です。
和田先生曰く、発展途上である医学の世界に正解はなく、まして「常識」などあるはずがないと。
そのあたりを意識して読んでいきたいと思っています。

近藤 誠

岩井克人 「信任論」

実は、この忠実義務とは、経営者と会社の間だけでなく、たとえば専門家と非専門家の関係にも必要です。両者の間には知識や能力において絶対的な非対称性があるからです。例えば私が病気になって医者に治してもらう時、専門家の医者は私の病気のことを私以上に知っています。医者は、自分の利益のために自分の知識や能力を使うのではなく、患者の命のために、忠実に医療に当たらなければなりません。それではじめて私は信頼して私の身体を医者に任せられるのです。

そして、資本主義が発達した高度知識社会では、技術と知識が複雑になり、世の多くの人間関係は、専門家と非専門家の関係になりつつある。それは、忠実義務という「倫理」の重要性がこれからますます重要になってくることを意味するのです。

信任関係とは
「一方が他方の利益のみを目的とした仕事を信頼によって任される関係」である.
 例として,後見人/被後見人,信託受託者/受益者,取締役/会社,代理人/本人,医者/患者,弁護士/依頼人,資産運用者/投資家などがある.
 それは,相互の自己利益を目的とする契約関係とは対照的に,一方が他方の利益の為にのみ行動すべしという忠実義務によって維持される.
 この倫理的な義務を法的に課すのが信任法である.
 だが信任法にはまだ統一理論がない.
 本論文の目的は「自己契約は契約ではない」いう法原則を基礎に,その統一理論を提示することである.
 同時に,本論文では,倫理を法律で課すのは矛盾だという疑問に対し,信任法は被告の立証責任を原告の反証責任に,期待損失補償を不当利益吐出しに転換することで実践的に解決していること,倫理を法で置換しただけだという批判に対し,信任法の役割は悪人の制裁や迷える人の指針として倫理を補完することであることも示す.

嬉しい限りです。今後ともよろしくお願いします。