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<死>の臨床学 超高齢社会における「生と死」 村上陽一郎 著
あとがきから紹介する
我ながら、厄介な問題に取り組んだと思う。
どうしても、自分のなかで、このテーマを取り上げなければならない、と思い定めたのは、やはり、自分の老いと、それに輪をかけた厄介な病の発覚であった。
通常の嗜みを破って、自分の家にまつわる病と死の歴史をさらけ出したのも、このテーマを扱うことへの躊躇いや「しんどさ」を乗り越えるための、自分への励ましめいた思惑からだった。
とあります。
それが、序章 日本の医療――純個人的な体験記 です。
私事ですが、実は、昭和11年生まれの著者と私の長兄とは同い年であり、その時代背景はとってもわかりやすいものでした。
そういう時代背景があり、第1章 戦後の医療改革――患者側からの瞥見
検査方法の劇的な改変
妊娠中絶は
薬事法の改定
コンピュータ化(その1)(その2)
医療品の革命
医師ー患者関係
経済的な問題
最後に、様々な問題が山積しているが、著者は、社会システムとしての日本の医療の現状は、他の先進諸国と比較して、十分に世界に誇れることができるものと、私は確信していると締めくくっている。
で、最後に「ところが、というのが次章の話題になる」と続けている。
そして、第2章 日本の医療――国際比較のなかで
あるアンケートの結果
もう一つの国際的評価
健康保険制度
アメリカの場合
大きな政府か小さな政府か
日本の現状
臓器移植に関しては
終わりに
著者は、何事も改革ばやりの今日、アメリカの医療事情を前車の轍として、その後を追わない決心を固めるべき時ではないか。これがこの問題に関して現在の私のなし得る唯一のメッセージである としている。
第3章 老いと死の諸相
1老いと死の諸相
2医療における死
第4章 死の援助
第5章 終末期鎮静
第6章 生きるに値する命
この4章では、古今東西における生死にまつわる諸問題を深く掘り下げている。
神仏ではない人間が投げかける問いに対する正解はありえない。
以前読んだ藤原正彦さんの「国家の品格」で知った「不完全性定理」、
岩井克人さん言う「言語・法・貨幣」で成り立つ世の中。
仏教書に出てくる「四苦・八苦」所謂「生老病死」
西欧社会が培ってきた論理ではなく、日本社会が伝統的に培ってきた思考方法・論理の延長線上で、一定の「解」を見つけ出していくしかないだろう。
とはいうものの、同調圧力に弱い日本人・日本社会に中にあって、結局、自分自身で納得出来る「死生観」「諦観」を養っていく不断の努力を自分自身に課せるのが一番良い方法かもしれません(笑)。
終章 ささやかな、ささやかな提案
ですが、著者の謙虚さがさわやかな終章でした(感謝)。
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