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RaspberryPiとTapoでWebカメラ映像(RTSP)をブラウザにリアルタイム配信する(HLS)

概要

 RaspberryPiを用いてWebカメラ(TP-Link Tapo C200)のリアルタイム映像(RTSP)をストリーミング形式動画(HLS)にリアルタイムに変換しつつ、ブラウザに表示する方法を紹介します。
 この手順によって、通常アプリでしか閲覧できないTapoカメラの映像を、家庭内のPCやスマホのブラウザでリアルタイムに表示してみます。

 通常、ブラウザへリアルタイム配信するときは、WebRTCなど高度な技術が必要になります。
 しかし、今回はそれらは使用せずに、FFmpegを使ってRTSPをHLSに直接変換しながら配信することで、シンプルな仕組みでリアルタイム配信を実現します。全体の構成図は以下の通りです。

全体システム構成

 さらに、配信サーバー(RaspberryPi)は2つの機能を持っています。FFmpegでHLSを変換してローカルディスクに保存する機能と、次にそれらの保存されたファイルを読み込んでWebサーバーで配信する機能です。

配信サーバー構成

必要機材

  • 配信サーバー: 今回はRaspberryPi5 8GBモデルを使いましたが、それ以外のシリーズ(3, 4, Zero)、またはUbuntuを搭載したPCなど何でも構いません。

  • Webカメラ: 同様に代用可能で、ほかのTapoシリーズなどRTSP配信に対応しているモデルであれば何でも代用できます。

事前準備

配信サーバー(RaspberryPi)

  1. Raspberry Pi OSをインストールする

  2. "sudo apt update", "sudo apt upgrade" コマンドをターミナルで実行して、パッケージ類を最新状態に更新する

  3. "sudo apt -y install ffmpeg" コマンドをターミナルで実行して、FFmpegをインストールする

  4. (任意) IPアドレスの固定する
     頻繫に配信サーバーのIPアドレスが変わってしまうと不便なので、IPアドレスを固定することをおすすめします。

必要なパッケージをインストール
IPアドレスの固定(任意)

 以上でRaspberryPiの事前準備は完了です。
 参考ですがVNC, VSCodeを利用するとリモートデスクトップ環境での開発がしやすいので、これらもセットアップすることをおすすめします。

Webカメラ(Tapo)の設定

  1. こちらの記事に沿ってカメラアカウントを作成する。(TapoシリーズのWebカメラを使用する場合のみ対象。)

  1. (任意)IPアドレスを固定する
     頻繫にカメラのIPアドレスが変わってしまうと不便なので、カメラのIPアドレスを固定することをおすすめします。Tapoシリーズはカメラ側でIPアドレスの固定ができないので、カメラのIPアドレスを調べてルーター側でIPアドレスを固定する必要があります。

RTSP受信テスト(任意)

 ここまで完了したらいったんVLC Media Playerを使って、カメラのRTSP配信に接続できるかテストすることをおすすめします。(任意)

 Tapoシリーズの場合、URLは
"rtsp://(ユーザー名):(パスワード)@(IPアドレス)/stream1"です。例えば、"rtsp://username:password@192.168.1.20/stream1"のように入力します。ユーザー名、パスワードは前の手順で作成したカメラアカウントのものです。

 もし他社のWebカメラを使っている場合は配信URLが異なりますので、各メーカーのRTSP配信URLを調べる必要があります。

(本題)ライブ配信の構築

FFmpegでRTSPをHLSにリアルタイム変換

 適当なフォルダを作成してその中で以下のコマンドを実行します(username, password, ipアドレスは自分のものに置き換えてください)

"ffmpeg -i rtsp://username:password@192.168.1.20/stream1 -c:v copy -c:a aac -hls_time 2 -hls_list_size 10 -hls_flags delete_segments -start_number 1 live.m3u8"

 するとコマンドを実行したフォルダに、2秒ごとに分割された最新の映像がHLSファイルとして保存され、自動で更新保存されていきます。

ブラウザで表示するページを作成する

 次にこれらのHLSファイルをブラウザで表示するためのページを作成します。HLSが保存されているフォルダ内で、index.htmlという空のファイルを新規作成して、以下のコードを記述して保存してください。

index.htmlを作成

<!doctype html>
<html>
<head>
    <title>Live</title>

    <meta charset="utf-8" />
    <meta http-equiv="Content-type" content="text/html; charset=utf-8" />
    <meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1" />
    <script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/hls.js@latest"></script>
</head>

<body>
  <video id="video" width="640" height="360" controls></video>
  <script>
    document.addEventListener('DOMContentLoaded', function() {
      const video = document.getElementById('video');
      const hlsUrl = 'live.m3u8';

      if (Hls.isSupported()) {
        const hls = new Hls();
        hls.loadSource(hlsUrl);
        hls.attachMedia(video);
        hls.on(Hls.Events.MANIFEST_PARSED, function() {
          video.play();
        });
      } else {
        console.error('HLS is not supported in this browser');
      }
    });
  </script>
</body>
</html>

Webサーバーを立ててファイルを配信する

 あとは保存されていくHLSファイルと、作成したhtmlをクライアントに配信するだけです。Pythonを使えばコマンドひとつでWebサーバーを実行することができます。

 新しいコマンドラインを開き、HLSファイルとhtmlを保存したフォルダ内で以下のコマンドを実行します。
"python -m http.server 8000"

クライアントからアクセスする

 あとはクライアント(同ネットワーク内の別のPCやスマホなど)のブラウザで、"http://192.168.1.10:8000/"へアクセスすれば、カメラの映像を確認できます。ただし、”192.168.1.10”の部分は、配信サーバー(RaspberryPi)のIPアドレスに置き換えてください。

最後に

消費リソース

 配信中の配信サーバーのCPU使用率はRaspberryPi5で5~10%, メモリ使用量はGUI環境でも合計560MBほどでした。したがって、廉価モデルであるRaspberry Pi Zeroでも十分実行可能と思います。



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