天ぷらが食べたい


今日は誕生日だというのに
先週からずるずる引きずってきた風邪がどんどんひどくなり、誕生日前日には38度台の発熱。
インフルエンザでもコロナでもない風邪だから
解熱剤を飲んで出勤するしかなかった

なんて誕生日だ
最悪だ

そのうち辞めてやると唱えながら解熱剤を飲んで仕事へ行った
普通に忙しい仕事の一日を過ごした

帰りは実家に寄って、ご飯を食べさせてもらい
お風呂で鼻歌を歌い
愛犬を愛でて帰ってきた

普段と変わらない1日だった
誕生日とて普通の1日だった

だけど自分の家に帰る車の中でぼーっと今日1日を振り返ってみると、今日1日良い日やったなぁと思った

今日は、かなり危険な状態で入院され、集中治療室に移動していた患者さんが病棟に帰ってこられて初めて顔を見れた
思い返せば、前日まで元気にしていたその患者さんは、入院してすぐに、「急変した時にどこまで救命するか明日までに考えておいてください」と医師に説明され、ショックを隠しきれない状態だった
ご主人は泣きながら帰られた
どう言葉をかけていいかわからない中、涙を堪えながらその患者さんの話を聞き、ケアした
その次の日に集中治療室に移動され、
あの患者さんはどうなるんだろうと心苦しかった

しかし、治療が功を奏し、またもう一度、お会いすることができた
前よりも元気な姿を見れた
そして、私に、
「天ぷらが食べたいの、天ぷら出してもらえるように言ってくれない?」
と私に切実に訴えられた
「天ぷらかぁ、天ぷらはまだ無理かなぁ。でもそれぐらい元気になったってことですね。」
と笑いながら返した
平凡でちょっとクスッと笑える会話ができたことが、なんだかとっても嬉しかった

台風の中、面会に来られたご主人は横でとても嬉しそうな顔をしていた


車の中でそのやりとりを思い出し、
にやにやと思い出し笑いをした

あー、今日の誕生日、なんにも特別なことはない誕生日やったけど、なんかいい1日やったな 

解熱剤飲んで仕事行ったかいあったな

そんなことを思いながら車を走らせた

「喜んでいる者たちとともに喜び、
泣いている者たちとともに泣きなさい。」やなぁ
(ローマ人への手紙 12章15節)


28歳になって
仕事も遊びもそこそこ充実してる
だからといってやりたいことできているのか
やらなければならないことできているのか
これでいいのかな
何が正解なのかな
これからどうしていったらいいんかな
ぐるぐる考えていたけれど
特別なことは別にいらなくて
特別ではない日常の中で、気づいてない幸せを
毎日探しながら、ともに笑いともに泣く日々をこのまま続けていったらいいんじゃないかな
神様とともに

と思う、28歳誕生日でした

次は患者さんが天ぷら食べてる姿見たいな

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