[Excel]ファイルを引き継いだらやること ⑨計算式を消さない/消させない(シートの保護)
[Excel]ファイルを引き継いだらやること シリーズ その⑨
【まとめ】
計算式を消さない/消させない方法(シートの保護)
1 データ(生数値や文字列)を入れるセルは「セルの書式設定」(Ctrl + 1)の「保護」タブの「☑ロック」のチェックを外す
2 ツールバーの「校閲」⇒「シートの保護」⇒ OK
*Alt ⇒ R ⇒ PS ⇒ OK でも同じ
3 上記で「ロック」のチェックを外したセル以外は入力ができなくなる。
4 入力できるようにするには、2と同じ操作で、ツールバーの「校閲」⇒「シートの保護」の解除 ⇒ OK
*Alt ⇒ R ⇒ PS ⇒ OK でも同じ
注意:シートが保護されていること、または、シートの保護の解除の仕方を記載しておいた方がいい
【説明】
計算式が入っているセルに、生数値(データ)を入力すると、計算式は上書きされて消えてしまいます。
すると、計算が正しくできなくなります。
複雑な計算式だと、復元するのは面倒です(*1)。
前にも書きましたが、職場では「計算式、消しちゃった」という小さな叫び声を時々聞きます(*2)。
*1 類似セルのコピーで何とかなる場合が多い(数式のみの貼り付けが必要な場合あり)。
*2 Ctrl + Z(やり直し)で何とかなる場合が多い。
また、他の人(所属外や外部組織)に入力を依頼する場合(照会もの)は、計算式が消されてしまう(生数値で上書きされてしまう)おそれが高くなります。
そうならないため、前記事のとおり、計算式が入っているセルには自動で色を付ける、という方法がありますが、これはあくまでも「注意喚起」。
色が付いていても、生数値を入れられたらおしまいです。
上書きを防ぐには「セルに生数値を入力できないようにしておく」ことが重要です。
いわゆる「セルの保護」です。
ただし・・・
エクセルの「保護」はちょっと違う?
エクセルの「保護」は、一般的な「保護」とは、考え方がちょっと違います。
一般的には、
「入力されたくないセルを指定して保護する」
だと思います。
でも、エクセルでは、
「入力されてもいいセルを指定して、保護(ロック)の対象から外し、それ以外は入力できないように保護する」という考えです。
結果的には同じなのですが、
「保護したいセルを選ぶ」ではなく、
「保護しなくいいセルを選ぶ」のです。
そして「シート全体」を保護するのです。
例を挙げて説明します。
例えば、こんな表
水色セルは計算式が入っています。
今回の例では「保護したい」セルです。
「単価」の欄は「種類」欄と同じものを「単価表」からXLOOKUP関数を用いて自動表示しています。
つまり、計算式が入っています。
もし「C3」セルに、直接「6」という生数値を打ち込んでしまうと・・・
生数値が入ったので、「計算式が入ったら水色にする」という条件から外れるため、セルが白くなりました。
「6」と入れても、今回は「金額」が正しく計算されています。
しかし、次回以降の単価改定の際、「単価表」の単価を直しても、集計表の「単価」には反映されないので、計算に誤りが出ます。
上の表は、集計表と「単価表」が並んでおり、またシンプルな構造なので、「単価」は「単価表」から持ってきていると分かるので、こんなことは起きづらいでしょう。
また、生数値を入れると色が消えるので「おかしい」と気づきやすいでしょう。
しかし実務ではもっと複雑な表を使いますから、誤りに気づきづらいでしょう(通常は、「単価表」のようなものは別シートにしておきます。)。
「注意」しなくても大丈夫にしておくのが「仕組み」
上書きによる計算式の消失というミスを起こさないためには、「計算式の入っているセルは入力しないでください」と注意書きをしてもダメです。
それは「仕組み」ではありません。
「注意」を求めることは、入力者の労力を奪うことです(勿論、それが必要な時もあります)。
「注意しなくても大丈夫にしておく」のが「仕組み」です。
つまり、上書きされては困るセルには、入力できなくしてミスを防ぐのが「仕組み」です。
と言っても、やり方は簡単です。
セルの上書きを防ぐ方法
1 データ(生数値や文字列)を入れるセルは「セルの書式設定」(Ctrl + 1)の「保護」タブの「☑ロック」のチェックを外す
データ(生数値だけでなく文字列でも)を入れるセルを指定したら(一つでも複数でも可)、「セルの書式設定」(Ctrl + 1)を開きます。
「セルの書式設定」の小ウィンドウが開いたら、「保護」タブを選びます。
「☑ロック」となっているところの「☑」をクリックし、「□」にして、チェックを外します。
これで、このセルが入力してもいいセル(=保護されないセル)になります。
ただし、この状態では、またシート自体が保護されていないので、他のセルも入力可能のままです。
そこで、次の操作で「シートの保護」を行います。
2 ツールバーの「校閲」⇒「シートの保護」⇒ OK
*Alt ⇒ R ⇒ PS ⇒ OK でも同じ
これで、シートが保護され、1でロックのチェックを外したセル以外は入力ができなくなります。
「シートの保護」をクリックすると、こんな↓↓↓小ウィンドウが出てきます。
チェック欄が色々あって迷いますが、とりあえずは、そのまま「OK」を押下して構いません(該当の項目に☑を入れれば、シートの保護をしていても、該当の操作を行うことが可能になります)。
*通常「パスワード」欄には何も入れない方がいいでしょう。下手にパスワードを設定すると忘れたときに面倒です。
3 「ロック」のチェックを外したセル以外は入力ができなくなる。
「シートの保護」が設定されると、「ロック」の☑がされたままのセルに入力使用等すると・・・
このような↑↑↑エラーメッセーが出ます。
長くて、一見なんだかわかりません(書いてある通りなのですが)。
「変更するにはシートの保護を解除してください」とありますが、やり方が分からないと混乱してしまいます。
「シートの保護の解除」は次の通りです。
4 入力できるようにするには、2と同じ操作で、ツールバーの「校閲」⇒「シートの保護」の解除 ⇒ OK
これで、「シートの保護」が解除され、計算式の修正等が可能になります。
注意:シートが保護されていること、または、シートの保護の解除の仕方を記載しておいた方がいい
シートが保護されていると、上のようなエラーメッセージが出ます。
「シートの保護」が何なのかよくわからない人は、これを見て困ってしまいます。
そのため、「シートの保護」をする場合は、その旨の説明、あるいは「シートの保護の解除の仕方」を記載しておくことをお勧めします。
説明はこんな感じです。
この説明はオブジェクトですが、印刷しない設定にできます(右クリックの「サイズとプロパティ」の「プロパティ」の「☑オブジェクトを印刷する」の☑を外す)。
以上が「計算式を消さない/消させない」方法です。
「ファイルを引き継いだら」の項目も以上になります。
①から⑨の全てをかならず行う必要はありませんが、業務に応じて行うと、自分の業務が、あるいはほかの人の作業が楽になる(迷いやミスや手戻りが減る)と思います。
以上、参考になれば幸いです。
(作成 1日 2h)