日本維新の会・教育無償化を実現する会 池下卓 衆議院議員 第213回国会 衆議院 法務委員会 第3号 令和6年4月2日
166 池下卓
○池下委員
日本維新の会・教育無償化を実現する会の池下卓でございます。本日もよろしくお願いします。
いよいよ本日から、民法改正、家族法改正の本格審議が始まったということであります。当然、児童虐待であり、またDV等、これが実際に行われている場合ということに関しましては、これは許されてはならないものだと考えております。
ところで、一方、別居時から、また離婚直後から、片方の親がお子さんを連れ去って、連れていって、そして長い間親に会えないお子さん、そして子供に会えない親御さん、今回、たくさんの方々からその話を聞かせていただきまして、本当に胸が痛む思いがいたしました。中には、離婚をする際に、弁護士が、子供を連れ去れば親権が取れるというビジネスモデルをつくっているという話も聞いております。
そういうことは、もう決してしてはならないという具合に考えておりますし、その中で、私は、やはりお子さんといいますのは、状況にももちろんよりますけれども、父母双方から愛されて、養育され、そして監護される共同親権、これを本来は進めていかなければならないという立場から質問の方をさせていただきたいという具合に思います。
そこで、まず、ちょっと資料の一枚目を御覧いただきたいなという具合に思うんですが、こちらの方、三月二十七日に、政府広報オンラインXの方で出されているものです。「親子交流のことで困ったら」というタイトルで、「家庭裁判所で解決できるかもしれません。」と、できるかもしれないし、できないかもしれないということで出されているわけなんです。
今、日弁連のアンケートの方で、家庭裁判所で面会交流が認められたにもかかわらず約四四%が交流が実施されていないという調査結果もあります。今、これを私はXの方で見させていただきましたけれども、本当に悲痛なコメントがたくさんありましたし、そして、たしか民事局長宛てにも抗議の文書が出ているということで承知しております。
なぜこのように、別居親の親の方の心を逆なでるというかあおるというか、それも民法改正直前のタイミングでということで、また、履行勧告、面会交流を促すということですけれども、それがなかなかできていない状況が多い中でなぜこのようなメッセージを今回出されたのか、大臣の方にお伺いしたいと思います。
167 小泉龍司
○小泉国務大臣
家庭裁判所は親子交流等の家庭に関する事件の主要な解決手段ではありますが、親子交流を含めて、子の監護に関する相談窓口や紛争解決手段は家庭裁判所に限られるものではなく、それぞれの父母にとってどのような解決手段が適切であるかは事案に応じて異なるという点が一つ、また、親子交流の実施を求める父母が家庭裁判所に対して調停、審判の申立てをしたとしても、相手方の主張も踏まえて判断されることになるため、当該父母の希望どおりの解決となるとは限らない、こういった点を踏まえまして、御指摘の文書は「家庭裁判所で解決できるかもしれません。」と記載したものでございます。
いずれにしても、父母の離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られることは子の利益の観点から重要であり、本改正案は、安全、安心な親子交流の適切な実現につながるものと認識しております。
168 池下卓
○池下委員
確かに、相手方がいるので、大臣がおっしゃるとおりなんです。やり方もいろいろある、ADRもあるし家裁もあるしということを当然理解はしているものの、わらをもつかむ思いで家裁に行って認められたにもかかわらず何年も会えないよという、本当にたくさんいらっしゃいますので、ちょっとかなり不用意なメッセージも含まれていたんじゃないかなという具合に思います。
さて、ここからが本題になるわけなんですけれども、先日の私の一般質疑の中で、今回、共同親権が協議が調わない場合、家庭裁判所の判断が入る、その判断基準というのは、これから、新しいものですから、今回の国会審議の議論が重要視されるのではないかということをお話し申し上げました。当然これはこれまでの法制審議会での議論というのも含まれていると私は認識をさせていただいているんですが、そこで、裁判所が親権者を定めるという要件についてまずお伺いをしていきたいと思うんです。
当然、現在の現行法上でもそうですけれども、婚姻中の場合は父母共に、双方が子供の親権を持っていますよということなんですが、今回新しい改正法ができた場合なんですけれども、一度は婚姻状態ですよ、それが離婚しましたよというときに、父母どちらか片一方に改めて親権を付すという考え方をされるのか、若しくは、一度は結婚状態ですので、親権は両方持っていますよという中で、家庭裁判所が判断をして、どちらか片一方の親権を制限することによって単独親権にしていくのか、どちらの考え方なのか、お伺いしていきたいと思います。
169 小泉龍司
○小泉国務大臣
離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかについては、個別具体的な事情に即して、子の利益の観点から最善の判断をすべきであると考えられます。
こうした考え方に基づいて、本改正案では、裁判所が離婚後の親権者を判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子の関係や父と母の関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととされており、御指摘のような考え方のいずれにも基づくものではございません。
170 池下卓
○池下委員
今答弁いただきました。当然、子の利益というのは分かるんですけれども、ただ、やはりそこの根本の部分がはっきりしていないからこそ、今回の議論といいますのは迷走していくものではないかなという具合に考えております。
現行法上でもそうなんですけれども、先ほど申し上げました、婚姻時は共同親権ですよと。今の仕組みの中でもありますけれども、親権停止であったりとか親権喪失であったり、こういう制度は今現在でもあるわけなんですね。これは、共同で親権を持っている状況から片一方の親の親権を制限するということがなされているわけですので、当然、今の流れに沿いますと、これを原則としていかれるのではないかなということを私は考えております。
そこで、法務省さんの方にお伺いをしたいなと思うんですけれども、現行法上の親権喪失であったりとか親権停止、これは民法上で定められていますけれども、その内容と要件についてお伺いをしたいと思います。
171 竹内努
○竹内政府参考人
お答えいたします。
民法第八百三十四条は、父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、請求により親権喪失の審判をすることができると規定しております。
また、民法第八百三十四条の二は、父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、請求により親権停止の審判をすることができると規定をしております。また、同条は、家庭裁判所が親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定めると規定しております。
172 池下卓
○池下委員
ありがとうございます。
親権喪失、親権停止の部分につきましても今るるお話をいただきましたが、やはり中心になっていますのは、子供の利益を著しく害しないであったりとか、子供の利益を害しない、やむを得ない場合等々入っているかなと思うんですけれども、それが今、現行法であるわけです。
そこで、今回の改正法の方でも、大臣も何回も何回も言われておりますけれども、やはり大事なのは子供の利益ですよということだと思います。そうすると、今、親権停止、親権喪失の話をしていただいたんですけれども、今回の改正法といいますのは、やはり、先ほどの親権停止、親権喪失と同じように、子の利益を害するという、これと同意義として考えていいのか、また、法制審議会でもこの議論はなされてきたという具合に思いますけれども、法解釈の観点からお伺いをしたいと思います。
173 竹内努
○竹内政府参考人
お答えいたします。
御指摘の親権喪失等に関する規定は、父母が婚姻中であるか離婚後であるかを問わず、父母の一方又は双方による親権行使が困難又は不適当な事案に適用されるものでございますが、本改正案の親権者の指定に関する規定は、これとは異なりまして、離婚後の親権者をどのように定めるかを判断する際に適用されるものでございます。
そして、本改正案の親権者の指定に関する規定では、裁判所が離婚後の親権者を判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととしております。この場合におきまして、父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないこととしております。その上で、子の利益を害すると認められるときの例として、虐待等のおそれがあると認められるときと、DV被害を受けるおそれ等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときを挙げております。
このように、裁判所が離婚後の親権者の定めを判断する場面では、子の利益の観点から、父母が共同して親権を行うことが困難であるかどうかにも着目した判断を含むものでございまして、先ほど申し上げましたような親権喪失や親権停止等の要件と必ずしも一致するわけではございません。
174 池下卓
○池下委員
必ずしも一致するわけではないということですけれども、今聞いていても、かなり近しい部分はあったのかなという具合に思います。
共同で父母が養育できるときという話もありますが、ちょっと大臣、関連してお伺いをしたいなと思うんです。さっきもちょっとお話が出ていたんですけれども、今、例えばの例ということで、芸能人の元夫婦の例で、離婚はしたけれども、双方、彼氏、彼女はいたとしても、お父さん、お母さんとお子さんの関係は良好だ、時々面倒を見合っている、これはすばらしいケースだと思いますけれども、今言ったようなケースだけを、今現在、単独親権ですから、それを共同親権にしていこうとだけ思われているのか、それとも、少々葛藤はあったとしても、子供の利益を最優先に考えたときに、やはりこれは共同親権でやっていった方がいいだろう、そういう共同親権の仕組みを増やしていこうと本来的に思われているのか、まずは大臣の基本的な考えをお伺いしたいと思います。
175 小泉龍司
○小泉国務大臣
夫婦関係とそして親子関係、それが合成されて家族というものが形成されています。その中で、我々は、今回の法案は子供の利益を中心に立てているわけです。
子供の利益の中には、子供を育てる環境、つまり両親の関係性も当然そこには入ってくるわけであります、織り込まれてくるわけです。ですから、こちらを強く持つのか、こちらを強く考えるのかというお尋ねだと思いますけれども、家族というものを全体として見て、その中で子供の利益が一番図られる、そういう状況、これは千差万別かもしれません、様々なケースがあると思いますので、できるだけそれぞれの状況に沿った形を提供できるような法制にしていく、それが根本的な考え方です。
176 池下卓
○池下委員
父母の関係ということも挙げられました。また後ほどそちらのことは細かい話を別途させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
資料の二枚目の方をちょっと見ていただきたいなと思うんですけれども、こちらは、さっきの方、ちょっと戻りますが、「父母の離婚後等の親権者の定めについての論点整理」ということで、サブタイトルをちょっとつけさせていただいております。こちらの方をちょっと読ませていただきたいと思うんですが、線が引かれているところですね。こちらは一応、法制審議会の第三十四回の会議の中で出されている資料ということで御認識いただければと思います。(二)のところを読みます。
離婚時の親権者の定めを身分の関係の変動の内容という観点から改めて整理してみると、この場面における裁判所の判断は、父又は母に対して新たに親権を付与するかどうかを判断するものではなく、その双方が親権者であった従前の状態を継続するか、その一方の親権を制限する状態に変更するかという判断をするものとして捉えることができる。そして、民法において、親権者の親権を制限する方向での身分関係の変動を生じさせるためには、子の利益を著しく害する、子の利益を害する、やむを得ない場合などの一定の要件が必要とされる。
ということで、法制審議会の家族部会の方で議論されてきたわけです。
そこで、ちょっと改めて聞きます。まあ、お答えはもう大体分かっているわけなんですけれども。当然、婚姻時の共同親権の状況から片一方の親権を制限するということでこちらは書かれているわけなんですが、そのときには子供の利益を考えてくださいねということで書かれているんですけれども、こうすると、その意味を考えると、やはりこれは原則的に共同親権をやっていくという具合にちょっと読み取れると思うんですけれども、見解をお伺いします。
177 竹内努
○竹内政府参考人
お答えいたします。
法制審議会家族法制部会におきましては、離婚後の親権者を判断するに当たっての考慮要素や判断枠組みにつきまして様々な角度からの議論がされたところでありまして、委員御指摘の部分は、法制審議会における調査審議の過程において出た考え方の一つを紹介したものでございます。
お尋ねの共同親権を原則とするという表現は多義的に用いられておりますため、一義的にお答えすることは困難でございますが、本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものでございます。
その上で、離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかにつきましては、個別具体的な事情に即して、子の利益の観点から最善の判断をすべきであると考えておりまして、本改正案もこのような考え方に沿ったものでございます。
178 池下卓
○池下委員
何といいますか、非常に中途半端な感じかなという具合に思うわけなんですけれども。
これも関連してちょっと大臣にお伺いしたいんですが、一応、今回の法案の中身、共同親権という言葉がうたわれているわけなんです。これはまさかなんですけれども、以前より日本はハーグ条約で連れ去りであったりとか国際的な非難を受けているという状況なんですけれども、まさかこれは外圧からの影響で法律を改正するわけではないと思うんですけれども、そこら辺の見解を簡単にお答え願えたらと思います。
179 小泉龍司
○小泉国務大臣
家族法制というのは、その国の文化、社会、そういったものに深く根差している、そういうものだと思います。ですから、一義的に、まず国内での国民の皆様方の考え方、こういったものがベースになります。ただ、一切、海外のことが視野に入らないのか、これは自然にいろんな情報も入りますし、働きかけもありますから、そういったものが全く遮断されているわけではありません。
180 池下卓
○池下委員
全く視野に入っていないわけではないということで、やはり今、海外でも多くの国が共同親権がメインになってきているというところになってくるわけなんですけれども。
そこで、今、今回でも、子供の利益を害するということが何回も出てきておりますけれども、じゃ、片方の親御さんが片方の親に対して、一方的に、関わりたくないよとか、口も聞きたくないよと、これは当然、暴力とか経済的DVとかは別として、一方的な、感情的な主張のみで裁判所が単独親権にするのかというところら辺を判断することがないのかどうかというのをちょっとお伺いをしたいんですが、どのように運用されていくのか、お伺いします。
181 小泉龍司
○小泉国務大臣
本改正案では、離婚後の親権者の定めについて父母の協議が調わないときは、裁判所が、子の利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方のみとするか判断することとしております。
この場合において、父母の協議が調わない理由には様々なものが考えられることから、当事者の一方が御指摘のような主張をしていることのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないのは、かえって子の利益に反する結果となりかねない。そこで、本改正案では、裁判所は、父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるかなどの観点を含め、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して実質的、総合的に離婚後の親権者を判断すべきこととしております。
182 池下卓
○池下委員
今お答えいただきました。当然、DVと児童虐待等はあってはならない事態ですので、それは除外するといたしまして、本当に、今大臣が言われた中で、いろんな観点から判断をされるかと思うんですけれども、やはりちょっとした感情的なことで、子供に会えない親、親に会えない子、これがずっと増え続けていくということは是非とも避けていただかなければならないと思いますので、しっかりと、今御指摘させていただいたことも運用上で反映させていただきたいなという形で思います。
それでは、先ほどもちょっと議論で出ておりましたけれども、父母の人格尊重とか協力義務について少し触れていきたいという具合に思います。
家庭裁判所で調停合意や審判で認められた親子交流、これがどの程度あるのか、まずお伺いをしていきたいと思うんですけれども、最新の調査で、親子交流の取決め率、実施率の状況及び家庭裁判所に調停を申し立てた場合の直接交流が認められる場合がどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。
183 竹内努
○竹内政府参考人
御質問の前半部分について、法務省の方からお答えいたします。
令和三年度全国ひとり親世帯等調査によりますれば、母子世帯における親子交流の取決め率は三〇・三%、履行率は三〇・二%でございます。
184 馬渡直史
○馬渡最高裁判所長官代理者
家裁における直接交流が認められる割合というのは、直接的な統計を取っておりませんので、分かりません。
以上です。
185 池下卓
○池下委員
分からないというところなんですよね。
そこで、ちょっと資料もつけさせていただいているので、これは参考資料の三枚目、四枚目、五枚目というところで書かせていただいております。母子世帯の面会交流の取決め状況ということで、面会交流の取決めをしているというのが三〇・三%ありますよと。今答えていただいたところですよね。面会交流を実際に取決めをしてから、実施状況というのが、現在でも行っているというのが三〇・二%、これまで行ったことがあるというのが二〇・九%という形になっています。
ただ、先ほど、直接面会交流が認められたよねということであるのが、資料の五枚目になってまいります。この五枚目の方なんですけれども、これも法制審議会の方のデータで出ているんですかね、家事手続を利用した親子の直接交流が認められる割合ということで書いてあります。(二)のところに、面会交流、五〇%程度が合意若しくは認容されており、却下、取下げは三〇%で推移ということで、認められている中で、正確には五一・三%なんですけれども、五一・三%程度しかこれは認められていない状況だと思います。
そこで、大臣にお伺いをしていきたいと思うんですけれども、直接交流が認められた割合の現状について、大臣の所感をお伺いしたいと思います。
186 小泉龍司
○小泉国務大臣
父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られることは、子の利益の観点から重要であると考えておりますが、親子交流を実施するか否か、あるいは実施する場合の方法等については、個別具体的な事情に照らして、子の利益を最も優先して定められるべきものであるため、御指摘の割合、今、五一・三%、これについて評価することは差し控えたいと思います。
187 池下卓
○池下委員
評価することは差し控えたいということですね。
当然、交流のやり方も、間接交流であったり直接交流であったりというところがあるかと思うんです。間接交流といいますのは、写真とかお手紙のやり取りをされて交流をされている間接交流。直接交流も、当然お会いされてということなんですけれども。
これまでもちょっといろいろな当事者の方々からお話を聞いたわけなんですけれども、これはある女性の方の例だったんですけれども、お子さんが小さいときに、自分が育児ノイローゼになったんだ、そのときに、育児ノイローゼなので、泣いている子をちょっと一回たたいてしまったんだ、ただ、その後離婚されて、お子さんと別居状況になったときに、産後うつであったりとかノイローゼというのがなくなったとき、本当にいいお母さんになられたと。最初は、間接交流ということで、テレビ電話であったりとかいうことでやっていて、お母さんとお子さん、最初は嫌がっていたかもしれない、間接的にやっていたかもしれないんですけれども、だんだんだんだん慣れてきて、これが直接交流の方につながっていったというお話を私は今回聞かせていただきました。
やはり、直接交流に向けた取組というのを是非ともしていただきたいという具合に思うわけなんですけれども、ちょっと改めてお伺いしたいんですが、家庭裁判所の調停において合意した場合、若しくは審判で親子交流が命じられた場合、その後の実施率、交流されている実施率をお伺いしたいと思います。
188 馬渡直史
○馬渡最高裁判所長官代理者
親子交流の事件につきまして、家庭裁判所において調停が成立し、あるいは審判がされて確定した場合には、事件は終局し、裁判所における手続は終わることとなります。
お尋ねのような親子交流を実施した割合につきましては、いわば裁判所の手を離れたところであるものでありまして、我々としては把握しておりません。
189 池下卓
○池下委員
把握していないということなんですよね。
まさに、裁判所なので、裁判が終わったら、もうそれで終わりです、はい、グッドバイというわけじゃないですけれども、終わりですよということになるかと思うんですが、資料の六枚目をちょっと見ていただきたいなと思います。
こちらは、裁判所は取っていないので、日弁連さんのアンケートということで御承知いただきたいんですけれども、裁判所の調停で合意した面会交流はできていますかということで出ているんですけれども、一番下ですね、全く面会できていないというのが四四%もあるわけなんですよね。本来であれば、裁判所の調停で合意した、裁判所での審判で、会ってくださいね、会えますよということでなった場合には、当然、法的な履行義務もあるかと思いますけれども、実際はこれだけ実現していない。
これは冒頭、資料の一番目、政府の広報Xでしたっけ、そちらの方でも、家庭裁判所で解決できるかもしれないと。こういう状況なんですよ。この四四%の方々といいますのは、いや、認められているにもかかわらず我々は会えないんですよ、お子さんと会えないんですよ、こういうことを言われているわけなんですよ。
ですので、調停で合意や家裁で親子交流が認められたということは、子供に資するという判断を家裁がやっているわけですから、不履行となった事案に対してしっかりと是正していただきたいと思いますし、これは改正、民法が変わったときに、この履行を担保する資料としてしっかりと調査すべきだと思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
190 小泉龍司
○小泉国務大臣
法務省としては、親子交流に関し、これまでも協議離婚に関する実態調査や未成年期に父母の別居や離婚を経験した子に関する調査など、様々な実態調査を行ってきております。
今後、本改正案が成立した場合には、その施行状況も注視しつつ、引き続き関係省庁等とも連携して適切に対応していきたいと思います。
191 池下卓
○池下委員
適切に対応する、やっていただくという認識でよろしいですか。うなずいていただければ。
192 小泉龍司
○小泉国務大臣
先生の御議論も含め、この委員会で、法案を通していただく前に様々な御議論があると思います、そういったものを全て含めて踏まえ、適切に対応していきたいと思います。
193 池下卓
○池下委員
やっていただけるものと信じております。
ということで、これはやはりエビデンスがないと、改善策をつくっていこうにも前に進まないと思いますので、やはり根拠資料というのは非常に大事だと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
なかなか、今現在の状況を見ますと、面会交流、認定されていても履行できていないのかなということで思うんですけれども、さて、今後、改正後、子供の利益を守るために親子交流がどのように改善されるのか、お伺いをします。
194 竹内努
○竹内政府参考人
お答えいたします。
父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られることは、子の利益の観点から重要であると考えております。また、親子交流の実施に当たりましては、その安全、安心を確保することも重要なことです。
本改正案では、こうした観点から、婚姻中の父母の別居時における親子交流に関する規定や、家庭裁判所が当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定、あるいは父母以外の親族と子との交流に関する規定をいずれも新設することとしております。
これらの規定におきましては、子の利益を最も優先して考慮しなければならないことや、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がないことを要件とすることなどによりまして、親子交流やその試行的実施が子の利益にかなう形で行われることを確保することとしております。
195 池下卓
○池下委員
新たに取組をされるというところは承知をいたしましたけれども、まだまだその中身については、細かいところについてはどうなるか僕らも分かっていない、省令とか政令とか、細かいところで定められるのかというところもちょっと分からない部分があるわけなんですけれども、そこら辺はしっかりと、御期待されている方々がいらっしゃいますので、明確にしていただければなという具合に思います。
そこでまた、改正民法の下で、家裁で手続で親子交流が認められたにもかかわらず、同居の片一方の親御さんの意向で不履行となった場合、子供と別居親が会えない場合に、改正民法ではどのような対応をなされるのか、お伺いいたします。
196 小泉龍司
○小泉国務大臣
本改正案では、親権の有無、婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならない、また、父母は子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならない、これを明確化しているわけでございますが、家庭裁判所が親子交流についての定めをしたものの、父母の一方がこれを履行しない場合、個別具体的な事情によっては、先ほど来申し上げております、父母相互の人格尊重義務あるいは協力義務に違反するという評価を下される場合があると考えております。
197 池下卓
○池下委員
今御答弁いただきました。資料の最後、七枚目のところ、今大臣に御答弁いただきました人格尊重であり努力義務であったりとか、これも法制審議会の方の資料の中で出ています。
今、明確に父母の人格尊重、努力義務、離婚後もということだと思うわけなんですけれども、そこで、もしこの規定に違反した場合、面会交流、協力してやりましょうということなんですけれども、違反した場合にどのような取扱いになるのか、親権の変更が可能になるのかどうか、様々、るるあるかと思うんですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
198 小泉龍司
○小泉国務大臣
あくまで一般論でございますけれども、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の指定、変更の審判や親権喪失、親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があると考えられます。
199 池下卓
○池下委員
じゃ、確認なんですけれども、家裁が認めた親子交流を一方的に実施しなかった場合、親権変更の申立てにもなる、また、共同親権、婚姻時は共に親権を持っていますよという状況の中で、裁判所が離婚時に判断しますよ、家裁で判断しますよというときに、別居時に連れ去って会わせないとかというケースがあるかと思うんですけれども、そういうときに、片一方の親権、単独親権にする場合でもマイナス要素になるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
200 竹内努
○竹内政府参考人
お答えいたします。
本改正案によりますれば、親権者変更の申立ては、子の利益のため必要がある場合に認められることになります。また、裁判所がその判断をするに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととされております。
これらを踏まえまして、あくまでも一般論としてお答えをいたしますと、親権者変更の判断においては、父母の一方が子の養育に関する責任をこれまで十分に果たしてきたかや父母相互の人格尊重義務や協力義務を遵守してきたかも考慮要素の一つであると考えられます。
201 池下卓
○池下委員
今、人格尊重、協力義務、これを守らないと、そういうところも評価に反映してくるという話があったかなという具合に思います。
当然、DV案件、虐待案件というのは許されるべきでもありませんし、そこら辺はきっちりと守らなきゃ、その方々の人権を守ってあげなきゃいけないというのは当然そうです。
一方、それは、当然、民法の幅の中だけではできないので、刑法であったりとかDV法の改正であったりとか、事情によって変わりますので、そこら辺はしっかりと別の部分で手当てをしていかなければならないなという具合に考えているわけなんですが、ただ、今回、親権というところですので、明確に人格尊重、努力義務というのが出ていますので、そこら辺、本当に感情的な部分だけでずっと一生子供に会えない、親に会えないという状況をなくしていかなければならないという具合に思っております。
その中で、離婚時といいますのは、当然、高葛藤という状況というのは容易に想像ができるわけです。中には、やはり、子供を連れていったときに、父母の片一方がもう片一方の親のことを口悪く罵ってみたり、それが期間が長く続きますと、どうしてもお子さん側として、ああ、うちの片親はそうなんかなということで、嫌悪感を持ってしまって、家裁の調査官と面会したときには、片一方の親には会いたくないんだわという意見を言うかもしれないということが想像されるわけです。
そうすると、父母の人格尊重であったり努力義務であったりとか、こういうところが今お話に挙がりましたけれども、片親が片親の悪口を言うことによって、会えない親御さんというのは、お子さんに対して非常にマイナス要素になるわけなんです。この場合なんですけれども、先ほど申し上げましたように、親子交流を断絶した場合と同様、親権変更などの申立ての理由となって、義務に反した親御さんの方はマイナス評価になるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
202 竹内努
○竹内政府参考人
お答えいたします。
親権者変更の申立てでございますが、先ほど申し上げましたとおりでございまして、子の利益のために必要がある場合に認められるものでございまして、裁判所がその判断をするに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないとされております。
これらを踏まえまして、あくまでも一般論としてお答えをいたしますと、本改正案では、父母相互の人格尊重義務や協力義務の規定を新設しておりまして、この義務を遵守してきたかも親権者変更における考慮要素の一つであると考えられます。
その上で、父母の一方の言動が父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反したものと評価されるかということにつきましては、個別の事案において、そのような言動をした理由や背景事情等の様々な事情を踏まえた上で判断されるべき事項であると考えております。
203 池下卓
○池下委員
先ほどと同様であるということで、これはちょっと確認させていただきたかったので、ありがとうございます。
時間もなくなってまいりましたので、もう終わりにさせていただきたいと思うんですけれども、やはりお子さんの利益、いろんな利益の形があるかと思いますけれども、私はしっかりと、まずはお子さんを共に育てる共同親権を原則とすべきだと思いますし、例外として、いろんな、暴力等々、経済的等々ありますので、それは単独親権にしていく。その中で、やはり実効的にやっていく場合には、子供を共に育てるための共同養育、共同監護計画も必要だと思いますし、初めて離婚、まあ初めて離婚というのもおかしいかもしれませんけれども、離婚後にどう養育していくのかということで、親に対しても離婚後の講座というものをつくりながら、しっかりと子供が安心して暮らせる世界をつくっていければなという具合に思っております。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
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