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ライフラインが全て止まっても作れる、食べられる防災食:親子で防災 〜五感を研ぎ澄まして命を守る〜

先週に引き続き、台東区生涯学習課主催ラーニングスクエア「親子で防災 〜五感を研ぎ澄まして命を守る〜」5回連続講座の2回目でした。

1回目の様子はこちらから。

五感を使って、をテーマにした親子防災講座で、第1回目は聴覚の「聴く」、視覚の「見る」でした。
第2回目は味覚で「味わう」活動を行いました。

まずは、防災備蓄の考え方としてメジャーになって来た「ローリングストック法」についてご紹介し、具体的にどのような食品を備蓄したら良いのかご紹介致しました。

ローリングストック法が合理的なのは、普段から食べ慣れたものを備蓄すると言う考え方が生活にフィットしているからなんです。
小さな子供や高齢者は、切羽詰まった状況でも普段食べ慣れないものはなかなか食べられないものなので、普段から食べ慣れている食材を少し多めに買い置きする事で備蓄も兼ねているわけです。
今回の講座では、備蓄に向いているそのまま、または水戻しするだけで食べられる乾物類をご紹介致しました。

ライフライン(電気、ガス、水道)が全て止まってしまった想定で、食べられる食材、作れるお料理をご紹介しています。(水道が止まる想定ですが、備蓄の水は少量使えるものとしています。)

今回ご用意したものは
・海苔
・とろろ昆布
・切り干し大根
・マッシュポテト
・粉末スープの素(冷たい牛乳を使うタイプ)
・パン粉
・ライスペーパー
・フリーズドライの雑炊
・カップうどん
・缶詰(ツナ、コーン)
・粉チーズ
・トマトジュース
・おこげ(備蓄用長期保存可能食品)
です。

通常は熱湯を使って調理する食品でも、実は水で戻して食べられるものがいくつかあり(全てではありません)、それらの食べ方、調理のコツなどをお伝え致しました。

意外と知られず、応用が効くのはマッシュポテトです。水で戻せば茹でて潰したじゃがいもなので、災害時などは離乳食にも使えます。
このマッシュポテトをオイルや汁ごとのツナ、コーンと混ぜると、コロッケの中身のような味になります。ここにマヨネーズを入れると、ポテトサラダですね。炭水化物が豊富なので主食としても充分活用出来ます。

海苔はそのまま食べられるのはもちろん、上記のポテトサラダを巻いて海苔巻き風に食べるのもおすすめです。食器などが無くても手巻きで食べられますね。

とろろ昆布は、そのままおやつとしても召し上がれますし、水で戻してお吸物にすることも出来ます。アルファ化米のおにぎりなどを巻くのにも良いですね。

海苔やとろろ昆布などの海藻類は、缶詰やレトルト食品に不足しがちな食物繊維とミネラルが摂れます。

切干大根も、水戻しだけで食べられます。
戻したままですと、ちょっと独特の香りがあって子供たちも眉をしかめましたが、戻してしっかり水気を絞った切干大根をはちみつビネガー(甘酢やすし酢でOK)で味付けしたところ、全員が「おいしい!おいしい!」と食べてくれました。
「今日は練習だから、苦手だったら無理に食べなくていいよ」と言ったので、戻したままの切干大根は残していた子も、味付けしたものは美味しい!と食べていました。
即席でシャキシャキとした歯応えのなますのように食べられます。
こちらも大根ですので、食物繊維や鉄分、カルシウムなどのビタミン、ミネラルが摂れます。

干し野菜は栄養補給を考えると優秀な食材ですが、干したキノコ類は雑菌がいる場合があり、椎茸皮膚炎などを発症する可能性があるので、加熱して下さい。

意外なところでは、パン粉も活用が出来る食品です。パン粉は文字通りのパンの粉なのでそのままでも食べられますし、スキムミルクを溶いたもので戻せば、離乳食に便利なパン粥になります。
今回は5〜7歳のお子さんだったので、スキムミルクではなくトマトジュースと粉チーズでピザ風?ドリア風?に召し上がって頂きました。トマトジュースにトマトの旨味がありますし、粉チーズを入れたことで、塩分とチーズのコクと旨味が合わさり、意外とこれだけでも料理として成立します。これも美味しいと人気でした。
粉チーズは常温保存出来るものと出来ないものがあるので、表示をご確認下さい。また、開封後はなるべくお早めにお召し上がり下さい。

ちょっと変わり種として、タイ料理の生春巻きに使うライスペーパーも水戻しだけで食べられるので、あると意外と色々使えて、殺伐とした避難生活でも、子供と一緒にお料理が出来て主食代わりにもなるおススメな食材です。
今回は、上記のポテトサラダ風を包んで召し上がって頂きました。

ライスペーパーに水をかけて戻すのも、具を包んでくるくる巻くのもとても楽しそうでした。
ラップをしいた上に置いて水をかけて満遍なく水を行き渡らせれば戻るので、ラップさえあれば他の調理器具などは使いません。

辛い大変な状況でも、子供の笑顔があれば気持ちを取り戻せると思うのです。そのきっかけになると良いなと思ってご紹介致しました。
ライスペーパー自体に味がほとんどないので、甘くもしょっぱくも食べられるので色々な食べ方が出来ると思います。

後半は、市販のインスタント食品でも水で調理可能な食品をご紹介致しました。
春夏限定で販売される「冷たい牛乳で溶ける」シリーズのポタージュです。
「冷たい牛乳」でも溶けるなら、水でも同様に溶けると言う事ですので、水で溶きます。
物足りなかったらスキムミルクを足すと満足感が上がります。

フリーズドライの雑炊なども水だけで調理可能なので、講座が始まったタイミングで水を入れておきました。
カップ麺のうどんも同様にして水を入れておきました。うどんは麺が太いので、1時間程度かかってしまいましたが、ラーメンでしたらもう少し早く食べられます。

いかがでしたでしょうか?
備蓄品と言うと、つい缶詰やレトルト食品と思いがちですが、そう言った加工度が高い食品はどうしても塩分過多だったり、脂質が多かったりして、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足しがちになりますので、今回ご紹介したような加熱調理せずに食べられる素材に近い常備品やそれらを組み合わせることで、災害時でも少しでも栄養バランスと体調を整える食事を摂る事が出来ると思います。

意外と加熱せずに食べられる食材もあるので、備蓄品の見直しの際は是非お試し下さいませ。

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古谷 真知子:家庭料理のコンシェルジュ
試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!