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皿洗いの二度手間問題に関する考察とその解決法:お皿の洗い方

※長文です。お時間のある時にどうぞ。

炊事の主担当でない人がお皿を洗った時に、お皿に洗い残しや油のベタベタが残っていてもう一度洗い直さなければならない問題を「皿洗いの二度手間問題」と名付けました。

※食洗機があるお宅の方はとうぞ閉じて下さい。

先日、台東区男女共同推進プラザにて「やってみよう!男性のためのハッピーな家事シェア〜知っておきたい3つの事と困った時の簡単レシピ〜」講座を開催したきっかけとなった問題です。

仕事柄、炊事を主に担当している方とお話する機会が多いのですが、「自分が出来ない時にお皿を洗ってくれるのはとても助かるし、有り難いのだけど、どうしても洗い残しや油のベタベタが気になって二度手間になる事が多い」と言います。

これ、正直な話、大変共感します。

我が家の場合ですと、炊事の主担当は私。
私が不在だったり体調不良の場合は夫がやっています。夫は一人暮らしの経験があるので、レシピがあれば料理も出来ますし、洗濯もしますし、家事は一通り出来ます。
(この点は義母が素晴らしく。夫が家を出て自活する、と言った時に「家事が一通り出来るようになってから出て行きなさい」と言われたそうです。ブラボー!!)

にもかかわらず!

やはり夫が洗ったお皿には洗い残しやベタベタが残っている事が多いのです。
やはり気になって、私がもう一度洗います。

なぜこういった事象が起きるのか

ではなぜこういった事象が起きるのか、考えてみました。

1つは、「習った事がない」から皿洗いが苦手、と言うもの。
夫を含む現在40代前後の男性は学校で家庭科を習っていない人が多いのです。
思い出してみて下さい。時間割が「技術・家庭」となっており、男子は技術、女子は家庭科に別れて授業をしていませんでしたか?
そもそも学校で習っていないのです。(私も学校で皿洗いを習ったかと言われると、洗い方を習った記憶はありませんが、家庭科の調理実習の後など洗わざるを得ない状況はありました。)
もちろん、家庭で教えれば良いのですが、高度経済成長中のバブル期に、男子に皿洗いを教える事の優先順位がいかほどか、想像に難くありません。

要するに、単に「洗い方を知らない」と言うのが大きな理由として挙げられます。

こう言うと、「皿くらい教わらなくても洗えるわ!」と憤慨する向きもあるかと思いますが、なかなかどうして。家事を「誰でも出来ること」と軽視している証拠です。これも皿洗いが苦手な要因の1つですね。

料理をはじめとした家事は、科学的な知識が必要な場合が多く、皿洗いも例外ではありません。
アルカリ性の油汚れとタンパク質汚れは、どうしたらよく落ちるのか?どうしたら分解されるのか?と言った問いでもあるのです。
こう言った知識を意識しないまま、皿を洗うので洗い残しが発生するのです。

ちょっと言葉が過ぎました。

さて、次の要因です。
普段から炊事を主担当としない人が皿を洗った場合、得てして「食器を戻す」作業までしていない事が挙げられます。
皿洗いを1つ1つの動作に落とし込むとこうなります。

①食べ残しなどを捨てる
②食器に付着した油汚れなどを拭う
③スポンジと洗剤で洗う
④洗剤をすすぐ
⑤水切りかごに並べる
⑥食器を拭く
⑦乾いた食器を棚に戻す

炊事の主担当は、この作業を一連の流れとして無意識に行っています。しかし、そうでない人が皿洗いと言われたら③〜⑤までだと思っているようです。我が家の子供達も同様です。

ここでも、皿洗い作業の「全体(一連の流れ)」が「わからない」から、わかる部分だけをやる、と言う事態になってしまうのですね。

それと、これは主担当側の問題なのですが、洗った食器をどこに戻したら良いのかわかるような収納になっていないので戻せない場合も多々あります。(我が家はこのパターンです。仕事柄食器が多過ぎるので、何をどこに戻したら良いか家族がわからないんですね。これは自覚しています。私が悪い。)

その結果、どうなるか。

食器を拭いたり棚に戻すことが無いので、自分が洗った食器に洗い残しがあったりベタベタが残っている事に気付かないんです。

夫にも聞きましたが、わざと洗い残したり、ベタベタのままにしているわけではないんです。洗い終わった皿をもう一度触る機会が無いから自分が洗った皿がきれいになったのか、なっていないのか、わかっていなかったのです。

良かれと思ってやったのに、お互いにモヤモヤするのはこう言う事なのですね。
やってもらってありがたいけれど、もう一度洗い直す二度手間を思うと素直に喜べない、その原因は「知らなかったから」なんですね。ウソのようなホントの話です。

それと、もう1つ。
食器洗い洗剤のテレビCMを見ると、油が浮いた水に洗剤を一滴ポタッとたらしただけで水面に浮いた油がサーっと消えて見える演出がよくありますよね。その後、水ですすいだお弁当箱がキュッキュッと音を立ててきれいになった様子が映されます。

あれを見たら、スポンジの泡が食器の汚れに触れた瞬間に分解されて全てキレイになると思いますよね?
正直私もそう思っていました。だから、何度も洗い直したり、ムキになって洗剤を原液のままつけたのに、プラスティック製のお弁当箱やタッパーのベタベタがなぜキレイにならないのか本当に納得いかないんです。

これに関しては、本当に知識の問題で、プラスティック製品には親油性と言う油を引き付ける性質があるのです。
ですから、表面がなめらかな新品のお弁当箱や汚れがついてすぐならば落ちやすいのですが、長く使っていればいるほど、目に見えない凹凸が出来て荒れた表面に油が残って汚れが落ちにくくなっているのです。
(醤油のシミも付けてすぐなら落ちますが時間が経つと落ちなくなりますよね)

では、どうしたら良いのでしょうか?
油汚れに関しては、上記の②が重要です。洗剤で洗う前に大まかな油汚れを古布やキッチンペーパーで拭き取って物理的に除去しておくと、洗い上がりが全く違います。洗った後に残ったベタつきに関しても同様です。

どうしたらきれいに洗えるのか

いよいよ本題です。
一般的な洗い方の手順としては、上記の①〜⑦です。おさらいしてみましょう。

①食べ残しなどを捨てる
お皿に残った食べ残しなどの固形分を生ゴミ入れに捨てます。

②食器に付着した油汚れなどを拭う
お肉の脂やハンバーグソースなどお皿にこびりついた汚れをスクレーパーなどで集めて生ゴミ入れに捨てたり、古布やキッチンペーパーで拭き取ります。環境を考えると、なるべく煮汁なども排水口に流さないようにしたいところです。

③スポンジと洗剤で洗う
スポンジやナイロンたわしなどに洗剤を取り、泡立てて、コップなどの汚れの少ないものから順に洗います。汚れが溜まりやすい糸底も忘れずに洗います。

④洗剤をすすぐ
食器についた洗剤を洗い流します。油汚れがひどい時はお湯ですすぐとより効果的です。桶を2つ用意して、貯めた水で予洗仕上げをすると節水になります。

⑤水切りかごに並べる
洗った食器を水切りかごや水切りマットに並べて水気を切ります。

⑥食器を拭く
布巾で食器に残った水気を拭き取ります。
ご家庭によってはこの工程を省く場合もあります。我が家でも、水切りかごに入れた食器が乾くまで放置し、乾いたら棚に戻すようにしています。お湯ですすぐと乾きも早いですね。

⑦乾いた食器を棚に戻す
きれいになった食器を元々あった場所に戻します。

ここまでして、「皿洗い」と言う家事が終わります。

ご家庭によっては、②と③の間に桶に洗剤を薄めた水かお湯を張っておいて、浸け置きする場合もありますね。ご飯やパン屑などの炭水化物のこびりつきはこの工程があると、ふやけてきれいに落ちやすくなります。

いかがでしょうか?
ご家庭のキッチンの広さや動線によって多少の違いはあっても、大まかにはこの様な流れになっていませんか?

この一連の流れを、家族で、もしくはパートナーと共有出来ているでしょうか?
それぞれのご家庭のやり方があると思いますので、それをきちんと伝えて共有しましょう。

他の家事においても、情報共有は大切です。
ここが疎かになっている事が多いので、お互いにモヤモヤしたり、上手く分担が出来ない事が多いのです。

伝える際は、感情的にならず、事実のみを伝えるようにすると角が立たないのですが、難しいようであればこの記事をご覧頂くのもよろしいかと思います。

皿洗いの二度手間問題、解決のお役に立てましたら幸いです。

試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!