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お墓について
10月に父が亡くなり、6月に納骨を終えました。
「お墓はいらない」と言っていた父でしたが、お骨をずっと自宅に安置していくわけにもいかず、どこかを探さないといけない・・・。お墓選びは色々悩みました。
当初は、海洋散布が良いのではと思いました。
「お墓はいらない」という父の意思を尊重できます。ただ母は海まで行く体力がなく、天候にも左右されやすい。調べると手続きがなかなか大変そう。郵送で散布してもらえるサービスもありましたが、それは抵抗があり却下。
続いて樹木葬墓地。
一定期間すぎると永代供養してもらえる継承不要のお墓が増えており、選択肢がたくさんある分、何を基準に選んだら良いのか、これまた悩みます。
仏教的な納骨堂よりは、自然溢れる樹木葬墓地が父らしく感じ、永代供養してもらえる樹木葬墓地をいろいろ探しました。樹木葬といっても、木の周りに埋めてもらえるというわけではなく、石板へ彫刻したり個別埋葬となるので、なかなかお金がかかります。使用料とは別に、石彫刻代や法事などを含めると、最低料金から+20万くらいかかる感じ。
合祀も検討しました。自然溢れる合祀施設であればいいのかなと思えましたが、調べたところは宗教的な雰囲気が強く、「父らしくない」ような気がして、気がのりませんでした。料金相場としては10万ぐらい。父の価値観からすると「お墓にお金をかけるくらいなら美味しいものを食べなさい」と言われそうなので、これが一番利にかなっているのかもしれませんが。。。
自宅から遠いお墓はお参りができないし、お参りに行かないお墓に納骨する意味が果たしてあるのだろうかと考えると、「母が気軽にお墓参りができる場所」の中から、絞り込むことにしました。
自宅から徒歩圏内の永代供養してもらえるお寺は3つ。いずれも宗派問わず・檀家にもならずでしたが、雰囲気は3寺3様。うち一つは宗教的な要素が強い施設だったので、太陽の光が降り注ぐ樹木葬墓地のある2つの寺院に絞りました。
1つ目のお寺は、父と母が毎日欠かさず行っていた散歩コースの中にあり、日頃から慣れ親しんだお寺。常にお花が絶えず、お寺の雰囲気も申し分なく、安心できます。そこに数年前に樹木葬墓地ができており、価格はやや高めなので父は「こんな高いところはないよ」と話していました。価格の高さは安心料。ちょっと高くても日常の中に父との接点を持てるのだから良いのでは?と私は考えていました。保険の支払いも終わり、治療費や葬儀代含めても多少余裕がありました。父が備えた遺産として父のために使用したいと考えていました。
しかし、母はその値段に難色。。。石板も石の種類から文体など選択肢が様々できましたが、選択肢がありすぎて選べないのだそう。。。そう言われてしまうと、宗派問わずというものの、法事は半強制的な注記があったり、入る人数は最大5霊まででしたが、最後の一人が入らなければ、ずっと使用できてしまうことになり、体制的に大丈夫かなという心配。事前に入る数は伝える必要があり、私がこのお墓に入るかどうか・・・あと十年もして一人だったら、一緒に入れるようにしたほうが安心だけど、現時点では決めたくないなという思いもあり・・・
もう一つのお寺は、ほとんど行ったことはないけれど、日頃よく利用するスーパーの裏手にあり、アクセス面では買い物ついでに気楽にたち寄れるお寺。繁華街に近いので治安面では不安がありましたが、お寺そのものの雰囲気は悪くはなく、樹木葬墓地もかなり埋まっている状態でした。契約してから50年間(最大3霊)まで入ることができ、延長も可能。1霊でも3霊でも価格は変わらず、料金が明瞭でわかりやすかったこと、法事も任意でしなくても良いかったことも我が家にあっていました。石板の種類は1種類で彫刻のみをアレンジでき、これなら選べると母も納得できる内容でした。3ヶ月ほど考え(姉の出方を見守り)、こちらのお寺の樹木葬墓地に納骨することに決めました。石板は母が頑張って決めてくれて、家名ではなく「ありがとう」の文字とすずらんの絵を入れていただくことになりました。
お墓というのは少しおどろおどろしい雰囲気を感じていました。
今回、父のお墓選びをしたことで、お墓というのは、「人生を懸命に生きた人たち」が眠っているあたたかな場所なのだなということを知りました。中には無念な思いを抱いたまま亡くなった方もいるかもしれません。何か罪を犯した人もいるかもしれません。けれども、皆が懸命に生きていたことと思います。誰もが残された人の幸せを願って人生を終えると私は信じたい。
「救急車を呼んだら恨む」と父に言われていましたが、救急車を呼んでしまいました。「誰にも知らせるな」と言われても知らせたし、お墓も作ってしまいました。だけど、父が本当に恨むなんて思えません。もし何かこの先不幸があったとしても、それとこれは別です。日々丁寧に生きていく、父のように。