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ジャニオタ索引者のドル誌ナナメ読み(9)「ジュニア黄金期」

ジャニーズファン界隈に衝撃を与えた「高橋優斗」の退所ですが、それはひとえに彼がジュニアのアイコン的存在だったからに他なりません。
時代背景やキャラクターに違いはあれど、ジュニア時代の「滝沢秀明」に通ずるものがあると思われていたがゆえの衝撃だと思います。
というわけで、今回は“ジュニア黄金期(時代に関わらずこの言葉で統一)”に言及してみたいと思います。

ジュニア黄金期について厳密に定義されているわけではないのですが、いわゆる第1期はざっくり言うと「滝沢秀明」や「嵐」「山下智久」などがジュニアに在籍していた時期になると思われます。
「KinKi Kids」のバックなどで注目されたジュニアですが、ジュニア主体のバラエティ番組なども登場して人気が高まり、ジュニアだけでのコンサートが成り立つようになったわけです。
黄金期はそこに複数の才能がしのぎを削ることで成り立ちます。それゆえ、自ずと光と影が生じるのも必至。
「嵐」や「タッキー&翼」のデビュー、有望視されていたジュニアの不祥事退所などもあって第1期の黄金時代は終息していった感があります。

第1期「ジュニア黄金期」を象徴する存在はもちろん「滝沢秀明」なのですが、個人的には「小原裕貴」の存在も大きかったと思っています。
圧倒的な可愛さで人気を博していましたが、大学卒業のタイミングでジュニアを卒業。事務所とも良好な関係を維持したまま広告代理店に就職した経緯を持ちます。
もちろん、芸能界とは別の道、しかも広告代理店ということで事務所としても関係を悪化させる理由もないのですが…
ファンにきちんと報告し、活動を共にしてきたジュニアからも祝福されるカタチでジュニアを卒業したのは、珍しいケースではないでしょうか。
ある意味、ジュニアの進路選択に大きな前例を作ったように思います。
後年のデビュー組ではありますが、「マリウス葉」の退所にも通ずるところありますよね。
また、同時にグループに属さず役者としてのポジションを確立していった「生田斗真」「風間俊介」の功績も大きいと思います。

第2期の“ジュニア黄金期”についても触れてみようかと思います。
こちらもまた時期は曖昧ですが、6人体制の「King&Prince」がジュニアに在籍していた頃が最盛ではないでしょうか?
「King&Prince」のデビューと活躍を経てもジュニアの人気は継続し、「Snow Man」「SixTONES」のデビュー、そしてコロナ禍への突入。その辺りが一つの区切りだと思われます。
個人的には2018年の『ジャニーズJr.祭り』が大きなトピックだったのではないかと感じています。
「Snow Man」「SixTONES」の同時デビューが発表されたイベントですね。
これはジュニアにとっても抜き打ちの発表だったようで、2組の同時デビューはジュニアやファン双方に波紋を残したカタチになりました。
得にジュニアの年上組としてスノストと一緒に活動していた「Travis Japan」「Love-tune」にはツラいものがあったと思われます。
実際にイベントが映像化された『素顔4』にはその様子がハッキリと残されていますし、ドキュメンタリー番組『RIDE ON TIME』や『素顔4』関連のYouTube動画でもその辺の様子は垣間見ることが出来ます。
そのなかで生まれた「宮近海斗」の“残酷さもエンターテイメント”という発言は、「Travis Japan」のデビューをめぐる言説を通り越して、広くアイドルのデビューをめぐる悲喜交々のシチュエーションで引用される言葉となりました。
そして、もう一組の「Love-tune」は、その年に全員ジャニーズを退所し、2019年に「7ORDER(project)」として始動するに至ったわけです。
『ジャニーズJr.祭り』が直接の原因ではないかもしれませんが、デビューに関してあれこれ考える契機になった可能性はあるのではないでしょうか?
余談ですが、2018年の『ジャニーズJr.祭り』は呼称が複数存在するので、ご注意を。
通称「8・8」、そして『素顔4』(円盤のタイトル)は『ジャニーズJr.祭り(2018年)』の別称となります。

とにかくジュニアの競争は過酷です。
基本的にまずユニットに属していないとデビューは出来ないですし、そのユニットがいわゆるグループとして認知されるまでにも時間がかかり(途中消滅あり)、グループが単独で全国ツアーしてもまだデビュー出来ない状況が続きます。
デビューの条件も明文化されていないですし、過去にはジュニア歴が浅い子のデビューもありました。
ジュニアの人数に比べて、圧倒的にデビューできるグループが少ないんですよね。
才能と意欲があるのに、デビューのビジョンが描けないジュニアはある段階で事務所を退所し、他事務所でのデビューやアイドル以外の道を模索することになるわけです。
今はいろんなメディア媒体があるので、デビューしていないグループの音楽配信などあってもいいように思うのですが、ファンの方もCDデビューという形式に拘りがあるので、なかなか難しいのかな…と思ったりします。
なお、『Myojo』には10000字インタビューという、デビューを果たしたグループの個人ロングインタビューが存在します。デビュー組のインタビューという、ある意味勝ち残った側の視点ではありますが、「僕がジュニアだったころ」のサブタイが示す通り、デビューを模索していた頃の苦労談が綴られています。
どのグループにも葛藤や苦悩があり、ジャニーズ内での過酷な競争が垣間見える資料性の高い記事です。
ちなみに大宅文庫で『Myojo』は索引対象雑誌ではないのですが、何年何月号という号数指定があれば閲覧・コピーが可能となっています。

競争を勝ち抜き、一定期間活動を持続できたジュニアはすべからく才能があります。
しかも、ジュニアの才能は歌や踊り、演技といったものだけじゃないんですよね。
MC力だったり、グループをまとめる力や臨機応変な対応力…
芸能以外の分野でも頭角を現わす才能を持っている人材だと思います。
ファンとしては、この事務所のままで芸能の才能を咲かせてもらいたい!というのが願いだとは思いますが、能力の高さゆえにいろんな事に挑戦してみたいと思う人がこれかも出てくるのかもなぁ…と思ったり。
また、いろいろなことにチャレンジしやすい環境も整いつつありますしね。
大宅文庫としては「高橋優斗」の個人名も、現行メンバーに先駆けて作成しました。今後の活躍が、また一つのモデルケースを生むのか…気になるところではあります。
                              執筆(N)

大宅文庫が扱っているドル誌については別記事の〈ジャニーズ関連雑誌の所蔵状況について〉の参照をお願いします。
索引化していない雑誌も所蔵があればば見ることは可能なので、予めファンサイトなどで下調べされてから来館されると、調べ事もスムーズに捗ると思います。
大宅文庫の詳細情報はこちらを参照ください→公益財団法人大宅壮一文庫

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