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大宅壮一文庫索引班の日々困惑日記(1)大宅壮一文庫ってどんなところ?



 はじめまして、大宅壮一文庫索引班のぐるぐるねこと申します。
 といっても、「大宅壮一文庫って何よ、新潮文庫みたいなもの?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、簡単に大宅壮一文庫ってどんなところなのか説明させてください。

 大宅壮一文庫は日本で唯一の雑誌専門の図書館です(他国にあるのかどうかはわかりません)。雑誌といっても業界誌、学術誌でしょ?と言われることもありますが、いえいえ、ごく普通の書店で売られている週刊誌、月刊誌などが所蔵のメインです。

 かつてマスコミで活躍していた、当館の名前になっている大宅壮一(1900-1970)という評論家がおりました。大宅壮一は自分の執筆の際、書籍や新聞だけでなく雑誌記事を参考図書にしていたのです。最新号のみならず古い雑誌も収集していまして、古本屋をめぐって雑誌を購入していたそうです。司馬遼太郎先生が執筆前に古本屋で関連資料を買い占めていたのと同じような感じでしょうか。

大宅壮一の娘で現在評論家、大宅壮一文庫理事長である大宅映子は、父・大宅壮一が取材で各地に出かけた時取材先から荷物が届き、土産と思って喜んで開けると大量の古雑誌が出てきてがっかりしたと語っています。また、古本の競売にも参加し、他の業者はぎりぎりの値段で入札するのに、大宅壮一は出せる金額で入札していたため、連戦連勝、古本屋から嫌がられていたというエピソードも残っています。

 そうやって集めた大量の雑誌から、必要な時に必要な記事を探し出せるように索引をつくりました。大宅壮一は書庫全体を1冊の辞典と考えていたのです。インターネットができる遥か昔の1960年代、検索を重要視していたのはかなりすごいことだと思いませんか?

 大宅壮一の死後、20万冊の雑誌と膨大な数な雑誌記事索引が遺されました。これらを引き継いで一般公開したのが雑誌専門図書館の大宅壮一文庫というわけです。

 私はそこで雑誌記事索引を毎日毎日作り続けています。1日8時間、週5日、週刊誌や月刊誌を読むのが仕事なのです。こんな仕事、なかなかないですよね。

 大宅壮一文庫の索引は唯一無二でユニークだとお褒めの言葉を頂戴するのですが、それを維持していくのは結構大変。そんな大宅壮一文庫索引班の日々を紹介していきたいと思います。(ぐるぐるねこ)

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