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雑誌記事索引紹介「土偶を読むを読む」

2022年4月に竹倉史人と『土偶を読む』の索引を大宅壮一文庫HPで紹介しましたが『土偶を読む』に対する反論の書が先日出版されました。今回はその望月昭秀さんが書かれた『土偶を読むを読む』に関連する索引を紹介します。
※過去の索引紹介は大宅壮一文庫HP内でも紹介しています。
※ご希望の記事のコピーを取り寄せることができます。詳しくはHPの資料配送サービス案内をご覧ください。

竹倉さんは土偶は当時の人が食べていた「栗」や「クルミ」や「サトイモ」や「貝」などを象ってつくられた精霊像ではないか、という新説を打ち出し『土偶を読む』で発表しました。『週刊現代』2023年7月22日号によると発売から数カ月で学術書としては異例の2万部を突破したしそうで、優れた研究や論評に贈られる「サントリー学芸賞」も受賞しました。
No1
歴史読み物 縄文を読む「土偶論争」が面白いことになっている 全国各地で2万点も発見 みんなはまり込んで、大騒動に ※竹倉史人氏が著した『土偶を読む』を検証、土偶や古代史に関する新説が出てきたときの向き合い方
発言者 小久保拓也/望月昭秀/坂野徹/誉田亜紀子
雑誌名 週刊現代
発行日2023年07月22日
ページ152-155

『土偶を読む』では「ついに土偶の正体を解明しました」と記述され、ものすごい発見だと思いました。
しかし、望月さんの『土偶を読むを読む』では「目から鱗を落としてしまった人は、もう一度その落とした鱗を探してもらうことになる」と語り反論を展開します。

No2
インタビュー/書評
クローズアップニッポン 著者インタビュー 望月昭秀ほか『土偶を読むを読む』 謎に満ち満ちた縄文の「なぜ」に魅せられて ※『土偶を読む』への反論の書を編んだ
発言者望月昭秀
雑誌名プレジデント
発行日2023年08月18日
ページ106

『土偶を読むを読む』の前半は「検証」で、主に指摘するのは「類例」と「編年」の照らし合わせの少なさです。ある食材と似ていると例に出された土偶は「類例」の中の1例で、結論に合うようなものを選んでいるように思えるそうです。またどんな手法を使った考察であってもどこかのタイミングで編年に照らし合わせる作業が必要で竹倉説にはそれが欠けているそうです。
また『土偶を読む』を評価した専門外の知識人への批判も記述されています。自身がジャンルの専門外であること前提にした上で評価すべきだと指摘しています。
後半は9人の専門家が論考をよせていて、これまでの土偶研究の流れや、なぜ専門外の識者やメディアは評価したが「専門家」が取り合わなかったのかも対談・座談形式を含めてわかるようになっています。
特におもしろかったのは東京都立大学人文社会学部教授の山田康弘さんの、「一般書」と「学術書」を区別する必要があるというお話でした。「学術書」には参考文献の記載方法に、ある一定の体裁があり『土偶を読む』の参考文献の記述では「学術書」とは判断しづらいそうです。
一方「一般書」でしたら個人の考えを過去の流れや参考文献などを踏まえずに書くことができます。専門家は「学術書」とはとらえなかったということでしょう。
とはいえ、『土偶を読む』で土偶に興味を持った人はたくさんいますし、『土偶を読むを読む』でもより興味は深まったのではないでしょうか。一般の読者でも両方を読み縄文時代に思いを馳せるのは楽しいことです。
Copyright (C) OYA SOICHI LIBRARY 2023


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