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大宅壮一文庫索引班の日々困惑日記(8)専門家だってわかんないよっていう病名問題


雑誌の人気記事の一つに医療情報があります。健康雑誌はもちろん一般週刊誌、女性誌にも必ず特集や連載があったりします。大宅壮一文庫の索引でも、かなりのボリュームを占めるジャンルです。大宅壮一文庫の古い索引でもやっぱり件数が多いので、この分野は古今東西(きっと世界もそうに違いない)老若男女問わず関心が高いテーマなのでしょうね。

私は索引班の中では医療雑誌、科学雑誌を担当しているので医学担当(他のスタッフよりちょっとは詳しい、という感じ)です。医学の索引を多く採録していますが、医学系ってまあ面倒。

医学の専門家ではないから、というのはもちろんです。しかし医学系の話題は、他のジャンルにはない独特の厄介さがあります。

それは、専門雑誌に書かれる正式な病名と、一般雑誌に書かれる病名が違っていることも多い、ということです。時には略し、時には雑誌(あるいは世間が)が勝手な病名をつける…これらが正式な病名と一致するのかどうか、索引を分類する時、その病名が妥当か検討する必要がでてくるのです。

特に精神医学分野に顕著で、新型うつ病など〇〇うつ病という名前って世間にあふれてますよね。でも大抵正式な病名ではありません。でも記事としてはたくさん出てくる、だったらたとえ正式じゃなくてもキーワードにしたほうがいい?…と悩んじゃうのです。

加齢黄斑変性症という眼の病気があります。雑誌では“加齢”という言葉が略されていることもあります。黄斑変性症って加齢が原因じゃないものもあるのか?ならば病名のキーワードは“加齢”をつけないで“黄斑変性症”にしたほうがいいか、と悩みました。そこで看護師の妹に質問をしました。答えは「眼科専門じゃないからそんなことまで知らん」でした。

医療関係者でもわからないっていうんですよ?素人がわかるわけないじゃないですか。

あと、病名って時代で結構変わるんです。それらを同じ病気か調べる必要もあります。それから日本語の病名は病名の前に原因を置くことが多い(〇〇性△△症みたいに)ので、その原因の〇〇性を含めた病名それぞれをキーワードにすると、1つの病気でキーワードが複数になるので、原因部分をカットしてキーワードにすることも多いのですが、本当にそれで大丈夫?と不安になります。

それでもこれはインターネットが今のように発達する前のお話。最近はインターネットで医学情報が調べられるようになり、かなり楽になりました。それでも悩むことにはかわりません。

件名項目の体系項目の分類先の変更も必要になります。大宅壮一文庫には“奇病一般”という件名項目があります。この項目の古い索引を見ると、原因がわからないのはとりあえずここに分類しとけ、と思っていたふしがあります。その後原因がわかった病気は、しかるべき項目に移さなければいけないのです。ちなみに“奇病一般”に分類されている古い記事には、おどろおどろしい病名がたくさんあって、結構面白いです。

いくらたくさん雑誌を読んでいても、しょせん素人。大変なんです、専門的ま記事を分類するのって。
                                                                                         執筆(ぐるぐるねこ)

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