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大宅壮一文庫索引班の日々困惑日記(4)「一生使わない知識問題」


私は毎日毎日雑誌を読むのが仕事。担当雑誌を1冊1冊読んで索引を作成しています。担当雑誌は一般週刊誌から経済誌、科学雑誌、スポーツ誌などありとあらゆるジャンルにわたっています。

女性誌や生活情報誌に載っている情報は、普段の生活に役立ちますし、一般週刊誌に載ってる情報も、現在のニュースや社会情勢を知っておくのにとても助かります。自分の趣味に関する情報はとっても嬉しいです。知っておいて損はない情報が雑誌の中にはたくさんあります。

たとえ生活に直接役立たなくても、雑学っぽい内容は他の人と会話しているときに話すと、意外と喜んでもらえたり、興味を持ってもらえることもあるので、それはそれで有益であると思っています。昔、父に「どんな人とでも、初対面の人でも5分間、話し続けられる人は成功する」と言われたことがありますが、ある種真理かも、と思います(私がそれで成功しているかどうかは別問題ですが…)。

雑誌の情報の中でも、絶対に一生使うことのない、というよりむしろ使うべきではない、使う状況になりたくはない知識なんかも入ってきます。
私はは大宅文庫索引班の中では事件・犯罪担当と言われています。実話系の雑誌、アングラ系の雑誌、サブカルに強い雑誌を多く担当しているからです。その中に出てくる情報は、一般の人は別に知らなくても一生生きていくのに困らない、というものもたくさんあるのです。

例えば、飲み屋におけるビール瓶を使った喧嘩の正しい方法(よく仁侠映画なんかには出てくるシーンですよね)。ダンプを建物に突っ込ませる時の効果的な方法(時々ニュースになりますよね)。食事がおいしくて環境が一番いい刑務所…etc.普段の生活で役立つことはまずありませんし、この知識が役立つことがない一生を送りたいと心から願っています。

こういう分野に限らず、索引作成の過程で得た情報や知識は、たぶん95%以上が知らなくても困らないことなんだろうな、と感じています。それでも毎日まっとうな知識も、どうでもいい知識もありとあらゆる情報が自分の頭の中に落ちてくる毎日、私はとても気に入っています。その情報が無駄か無駄じゃないかなんて、その瞬間にはわからないんですから。

あ、でも、絶対役にたたないと思っていたさっきのアングラ情報、ここでネタになることで役に立ちましたね。ほら、やっぱり無駄かどうかなんてわからないでしょ?
                        執筆(ぐるぐるねこ)

大宅文庫の詳細情報はこちらを参照ください→公益財団法人大宅壮一文庫 (oya-bunko.or.jp)

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