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「基礎」をなめている人々

塾や予備校の講師の求人で、「基礎レベルの授業ですので、教科書程度の知識があれば大丈夫です」などと説明してあるのを見たことがあります。この説明の意図は、「あまり専門的な知識がなくても授業ができます」ということでしょう。これが教育産業の現実です。

基礎を教えるには、基礎を教えるための知識や方法があります。特に、国語や英語のような言語教育や、あるいは数学教育の場合、教師がたまたまその科目が得意で半ば無意識的に身に付けてしまったことを、生徒に身に付けさせるためには、その身に付けさせ方を知識として持つ必要があります。

英語教師が日本語文法の知識を持つことも、そうした知識の一部です。訳してはいけないだとか、英語で考えろ、などと言っても、私たちの頭の中は母語である日本語に支配されており、外国語を見たり聞いたりすると、頭の中では無意識のうちに対応する日本語を探そうとしているのです。このときに、英語の苦手な生徒は得意な人間には想定外の対応関係を形成してしまうことがあります。教師はこのプロセスを予測して、回避したり修正したりできるようなノウハウが求められます。

塾や予備校で基礎を扱う講座の受講をご検討の際は、実際に授業をごらんいただき、そうした配慮が行き届いているかどうか見極める必要があります。

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