「2冊目の単語帳」(原文ママ)
PINNACLEという「単語集」
こんな「単語集」が出ました。購入直後の持田の所感はこちら。
暗記用英単語リストだった「単語集」から、読み込むことによって単語を学ぶ「語彙学習参考書」への進化を感じさせる1冊です。
語彙の「とりたて学習」
「とりたて学習」という概念があります。ことばを読み書きや会話といった実戦的な活動の練習の中で学んでいくのではなく、文法などを切り離して集中して学ぶことを言います。PINNACLEの登場によって、机に向かって英単語を学ぶ時間を設定して学習するという新習慣が生まれるかもしれません。
従来のリスト型単語集では、どちらかというとスキマ時間に眺めて覚えるという使い方が多かったのですが、内容が充実し、総合英語の参考書を思わせるサイズ感の「単語集」となれば、じゃあ机に向かってがっつり英単語やろうかな、という気持ちにもなるものです。
「2冊目の単語帳」について
大学受験英語では「2冊目の単語帳」(原文ママ)と言われることがあります。これは入試必修単語と呼ばれるようなレベルの語彙を身につける単語集が1冊目で、難関大で出題される英文に見られるような「難単語」を収録している単語集を2冊目に使う、という考え方に基づくものです。
問題は、入試必修単語と呼ばれるレベルの語彙は単語集で覚えることが必須なのか、ということです。「必修」と呼ばれるのは入試英語において高頻度で出現する語であるからです。出現頻度の高い語であるならば、辞書を引きながら学習していけば自然に身につくわけで、必ずしも単語集という手段を用いる必要はないと考えることもできるわけです。あるいは学習過程で出てきた単語を単語帳に書き出して覚えることもできるわけです。実は今回の記事のタイトルに「原文ママ」を付けた意図はここにあります。
つまり、「英単語はリストを暗記するもの」という暗黙の前提があるから「2冊目の単語帳」と言われるわけです。実際には1冊目相当の英単語の学習は、必ずしも単語集に頼る必要はなく、単語帳の活用も含めて別のやり方もあるのです。どのやり方が良いのかは学習者である受験生自身にとって実践しやすいかどうかで決めればよいのです。もちろん、通っている高校や予備校で範囲指定の小テストなどが行われる場合はその環境を活かす学習法が優先されます。
その一方で、「難単語」と呼ばれる語群は頻度は高くないけれども、見かけた時に類推に頼るのでは時間が余計にかかるし理解の精度も落ちるために、覚えておいた方が有利とされるものです。こうした「難単語」こそが「単語集」の活用によって効果的に学ぶことができる英単語群であると言えます。
そしてまた、難単語集の使い方、生かし方も多様です。志望校や自分の学習スタイルに合わせて最適な活用法を実践することが求められます。