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大学入試長文問題:記述式と選択式

「長文問題」の設問

今回は大学入試の長文問題のお話です。「長文問題」という言い方も古風ですが、内容理解を問う設問ばかりではないのであえて「読解問題」ではなく「長文問題」と今回は呼ぶことにします。

とはいえ、どのような設問であっても、英文そのものを理解する力が基盤となります。このため、「英文を読めるようになること」が受験英語の中心となるわけです。もちろん実際には、英語の文章に対して設けられた問題に解くことが必要になります。この設問には大きく分けて記述式と選択式があります。記述式は日本語または英語を書いて答えるもので、下線部和訳と日本語による内容説明が主流となっています。一方の選択式はマークシートを塗りつぶしたりや解答欄に記号を書き込むことで答えるもので、いわゆる内容一致問題のほか、下線部を英語や日本語で言い換える問題、空所を設けてその空所を満たすのに適切な語句を選ぶ問題など、設問の形式は多岐に亘ります。

記述式と選択式、どちらが難しいのか

記述式と選択式では、記述式の方が難しいと感じる人が多いようです。これは答案としての形を作るというレベルであれば、確かにその通りでしょう。記述式は自分で解答を書き出さなければなりませんから、答えがわからなければ書き出せません。一方の選択式の問題は解答の候補があらかじめ提示されているわけですから、よくわからなくても適当に解答することができます。つまり、「適当な解答」に至るまでのハードルが記述式の方が高いのです。

しかしながら、得点になる解答、ということになると、選択式の方が難しいとも言えます。記述式の設問では中間点が設定されていることが多く、例えば配点が5点の設問であれば部分的に正解できていれば3点もらえる、といったことがありえます。これに対して、選択式の問題では中間点が設定されないので、惜しい誤答もまったく分かっていない誤答も0点です。正解が選べた人だけが5点もらえます。もちろん適当に選んでたまたま正解することもありますが、その程度の精度では確実に合格することを考えると不安が残ります。解答の精度を上げて確実に解ける問題のレパートリーを増やしていくことを考えると、選択式もそれなりに難しいということになります。

記述式と選択式、どんな知識が必要か

記述式では、和訳や内容説明などの日本語を書いて答える設問が多いので、日本語の的確な表現力が求められます。このために日本語の語彙や文法の知識を意識することが必要です。この意識化のために和文英訳を練習問題として用いることも効果的です。

和文英訳という学習は、日本文を正確に理解し、その理解内容を英語で表現するというトランスレーションの営みです。このときに複数通りの英語表現が可能になります。この言い換え可能性を追求していくと、選択式の内容一致問題を解くときなどに役立ちます。本文とこの選択肢は言い換えになるのかならないのか、という判断を正確に行うことができれば、内容一致問題を解答する精度が向上します。もちろん下線部の言い換え問題にも対応できます。

文法学習を深化させるために和文英訳を用いることは大学受験英語においても極めて有効なのですが、その活用の仕方は記述式対策と選択式対策では少し違うと言えます。


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