「学問」とか
「学問」という言葉そのものは人口に膾炙しているわけですが、「学問」というのは、時に怪しげで、時に胡散臭くも感じさせるものです。
大学は学問の場である。これは確かでしょう。では「学問をやる場」なのかというと、これは大学院レベルの話であって、学部レベルでは「学問に触れる場」というのが実相を捉えた言い方でしょう。講義ではそれぞれの学問分野について専門家の先生が教えてくれますし、図書館に行けば学問について書きまとめた文献に触れることができます。
大学入試には、こうした学問に触れるために適性があるかどうか、あるいはそのための基礎学力があるかどうかを評価する役割があります。ただし、入学者の定員を満たすために得点上位者から入学を許可するという入試の性質上、受験者が少なければ適性や基礎学力がそれほどない人でも大学には入れてしまいます。こうなると、大学の授業では学問に触れる前に基礎学力の養成に時間をかける必要があります。
学問に触れることは楽しいと個人的には思います。研究者として学問の担い手になればそれはそれで厳しいでしょうが、教養として、あるいは将来就く職業に必要な常識(common knowledge)として学問に触れるのは非常に刺激的です。日本では残念ながらあまり学問は重視されません。それでもせっかく時間と金をかけて大学に通うのであれば、学問に触れてほしいと思いますし、そのために行きたい大学を選んで受験勉強に励むというのも、今では少数派かもしれませんが、悪いことでも古いことでもないと思うのです。